CSS(カスケーディング・スタイル・シート)は、ウェブページのデザインやレイアウトを指定するために使用される言語で、HTMLやXMLドキュメントのスタイリングを担当します。CSSを利用することで、色、フォント、レイアウトなどを柔軟に制御できます。CSSの主要な要素である「セレクタ」、「プロパティ」、「値」を理解することは、ウェブデザインを効果的に行うための第一歩です。
この記事では、CSSにおける「タイプ」、「クラス」、「ID」のセレクタの使い方、そしてそれらを区別するための規則について完全かつ包括的に解説します。

1. CSSセレクタの基礎
CSSセレクタは、スタイルを適用するHTML要素を指定するために使われます。セレクタは、スタイルを適用する対象の要素を選び出すための「識別子」として機能します。CSSでは、主に以下の3種類のセレクタを使用します:
- タイプセレクタ(要素セレクタ)
- クラスセレクタ
- IDセレクタ
これらのセレクタを組み合わせて、より詳細で精密なスタイルの指定が可能になります。
2. タイプセレクタ(要素セレクタ)
タイプセレクタは、HTML要素のタグ名に基づいてスタイルを適用します。例えば、すべての
要素に対してスタイルを適用したい場合、次のように書きます。
cssh1 {
color: blue;
font-size: 24px;
}
この例では、
タグを持つすべての要素に対して、文字色を青に、フォントサイズを24pxに設定するスタイルが適用されます。タイプセレクタはHTMLタグ名に基づいてスタイルを適用するため、非常に広範囲に適用される特徴があります。
利点:
- 特定のHTMLタグに一括でスタイルを適用できる。
- シンプルで直感的に理解しやすい。
注意点:
- HTMLタグが変更されると、スタイルが思わぬ場所に適用される可能性があるため、他のスタイルが影響を受けることがあります。
3. クラスセレクタ
クラスセレクタは、HTML要素にclass
属性を付けて、特定のクラスを持つ要素にスタイルを適用します。クラスセレクタは、複数の要素に同じスタイルを適用したい場合に便利です。クラスセレクタはドット(.
)を前置きして書きます。
html<p class="highlight">これは強調されたテキストです。p>
<p class="highlight">これも強調されたテキストです。p>
css.highlight {
color: red;
font-weight: bold;
}
この例では、class="highlight"
を持つすべての
要素に対して、文字色が赤で太字になるスタイルが適用されます。
利点:
- 同じスタイルを複数の異なる要素に適用できる。
- より柔軟で再利用性が高い。
注意点:
- クラス名は他の要素でも使われる可能性があるため、スタイルの衝突を避けるためにユニークなクラス名を使うことが推奨されます。
4. IDセレクタ
IDセレクタは、HTML要素にid
属性を付け、そのIDに対してスタイルを適用します。IDはページ内で一意であるべきで、IDセレクタは#
記号を前置きして書きます。
html<div id="header">これはヘッダーです。div>
css#header {
background-color: lightblue;
font-size: 20px;
}
この例では、id="header"
を持つ
要素に対して、背景色が薄い青に、フォントサイズが20pxになるスタイルが適用されます。利点:
- ページ内で唯一のIDを使うため、スタイルが非常に限定的で衝突の心配が少ない。
- 高い優先度を持ち、他のセレクタよりも優先的にスタイルが適用される。
注意点:
- 同じページ内で同じIDを複数回使用してはいけないため、適切なID設計が求められます。
5. タイプ、クラス、IDセレクタの優先順位
CSSには、複数のスタイルが同じ要素に適用される場合の優先順位が定められています。優先順位は「CSSの特異性」によって決まります。特異性は、以下のルールに基づいて計算されます:
- インラインスタイル(最も高い優先順位)
- IDセレクタ(次に高い優先順位)
- クラスセレクタ、属性セレクタ、擬似クラス(次に優先される)
- タイプセレクタ(最も低い優先順位)
例えば、次のコードで
タグにスタイルを適用する場合、IDセレクタが最も高い優先順位を持つため、
#special
のスタイルが優先されます。
cssp {
color: green;
}
#special {
color: red;
}
html<p id="special">これは特別なテキストです。p>
この場合、
要素に
id="special"
が付いているため、文字色は赤になります。
6. セレクタの組み合わせ
CSSでは、複数のセレクタを組み合わせて、より具体的なターゲットを指定することができます。例えば、
タグの中の特定のクラスを持つ要素だけにスタイルを適用したい場合、次のように書きます。
cssdiv.highlight {
background-color: yellow;
}
このスタイルは、
タグ内のclass="highlight"
を持つ要素にのみ適用されます。
また、子要素や親要素に基づいてスタイルを指定する場合は、次のように記述します。
cssdiv > p {
color: blue;
}
この場合、
の直接の子要素である
タグにのみ青色が適用されます。
まとめ
CSSセレクタには、タイプ、クラス、IDという3つの主要な種類があり、それぞれに特性があります。タイプセレクタは広範囲にスタイルを適用し、クラスセレクタは柔軟で再利用可能なスタイルを適用します。IDセレクタはページ内で一意の要素に対して最も高い優先順位でスタイルを適用します。これらのセレクタをうまく組み合わせて、精密なスタイルをウェブページに適用することができます。
CSSを駆使することで、効果的にデザインをカスタマイズし、ユーザーに快適な閲覧体験を提供できます。