CSS(Cascading Style Sheets、カスケーディング・スタイル・シート)は、ウェブページの外観を決定するために使用されるスタイルシート言語です。HTMLがウェブページの構造を定義するのに対し、CSSはそのデザインやレイアウトを担当します。ウェブデザインにおけるCSSの役割は非常に重要であり、ユーザーインターフェイスの視覚的な美しさや使いやすさを向上させるために欠かせません。この記事では、CSSの基本的な使い方について、完全かつ包括的に解説します。
1. CSSの基本構文
CSSは、セレクタ、プロパティ、値の三つの主要な要素で構成されています。基本的な構文は以下の通りです。

cssセレクタ { プロパティ: 値; }
-
セレクタは、どのHTML要素にスタイルを適用するかを指定します。
-
プロパティは、スタイルを適用する特性(例えば色やフォントサイズ)です。
-
値は、そのプロパティに対する具体的な設定値です。
例えば、以下のCSSは、すべての段落(
タグ)に文字色を赤くするスタイルを適用します。
cssp {
color: red;
}
2. CSSの適用方法
CSSをHTMLに適用する方法は3つあります:インラインスタイル、内部スタイルシート、および外部スタイルシートです。それぞれの方法を順番に見ていきましょう。
2.1 インラインスタイル
インラインスタイルは、HTMLの各要素に直接CSSを記述する方法です。この方法は個別の要素にのみスタイルを適用したいときに使用します。例えば、次のように
タグ内にスタイルを設定します。
html<p style="color: blue; font-size: 16px;">これは青色の文字です。p>
インラインスタイルは簡単に使用できますが、ページ全体に同じスタイルを適用するのが難しく、管理が煩雑になる可能性があるため、あまり多用はしません。
2.2 内部スタイルシート
内部スタイルシートは、HTMLドキュメントのタグ内にCSSを記述する方法です。これにより、ページ全体にスタイルを適用できます。次の例のように、
タグ内にCSSを記述します。
html<head>
<style>
body {
background-color: lightgray;
}
p {
color: darkblue;
}
style>
head>
内部スタイルシートは、ページ単位でスタイルを管理できるため、インラインスタイルよりも効率的ですが、複数のページに同じスタイルを適用する場合には不便です。
2.3 外部スタイルシート
外部スタイルシートは、別のCSSファイルを作成して、それをHTMLドキュメントにリンクさせる方法です。この方法が最も推奨され、特に複数のページに同じデザインを適用したい場合に便利です。
例えば、styles.css
というCSSファイルを作成し、以下のようにHTMLファイルにリンクさせます。
html<head>
<link rel="stylesheet" href="styles.css">
head>
外部スタイルシートを使用することで、複数のページで同じスタイルを一元的に管理でき、コードの再利用が容易になります。
3. CSSセレクタの種類
CSSでは、スタイルを適用するHTML要素を指定するためにさまざまなセレクタを使用できます。主なセレクタは以下の通りです。
3.1 要素セレクタ
要素セレクタは、特定のHTML要素全体にスタイルを適用します。例えば、すべての
タグに対してスタイルを適用する場合、以下のように記述します。
cssh1 {
font-size: 2em;
color: green;
}
3.2 クラスセレクタ
h1 {
font-size: 2em;
color: green;
}
クラスセレクタは、HTMLの任意の要素にクラスを指定し、そのクラスにスタイルを適用する方法です。クラスセレクタは、複数の要素に同じスタイルを適用する場合に便利です。クラスはドット(.
)で始めます。
css.button {
background-color: #4CAF50;
color: white;
}
HTMLでこのクラスを使用するには、次のように指定します。
html<button class="button">クリックbutton>
3.3 IDセレクタ
IDセレクタは、特定のHTML要素に一意の識別子(ID)を指定し、そのIDにスタイルを適用します。IDは#
で始めます。
css#header {
background-color: #333;
color: white;
}
HTMLでIDを指定するには、次のように記述します。
html<div id="header">ヘッダーdiv>
IDはページ内で一度しか使用できないため、特定の要素にスタイルを適用する際に便利です。
3.4 子孫セレクタ
子孫セレクタは、親要素の中にある特定の子要素を指定してスタイルを適用します。スペースで区切ったセレクタで指定します。
cssdiv p {
color: blue;
}
これは、すべての
タグに青色の文字を適用します。
4. CSSプロパティ
CSSには数百種類のプロパティがあります。ここでは、よく使用されるプロパティをいくつか紹介します。
4.1 色に関するプロパティ
-
color
:文字の色を指定します。 -
background-color
:要素の背景色を指定します。
4.2 フォントに関するプロパティ
-
font-size
:文字のサイズを指定します。 -
font-family
:フォントの種類を指定します。 -
font-weight
:文字の太さを指定します。
4.3 マージンとパディング
-
margin
:要素の外側の余白を指定します。 -
padding
:要素の内側の余白を指定します。
cssdiv {
margin: 20px;
padding: 10px;
}
4.4 ボーダー
-
border
:要素の枠線を指定します。
cssdiv {
border: 2px solid black;
}
5. レスポンシブデザインとメディアクエリ
レスポンシブデザインは、デバイスの画面サイズに応じてウェブページのレイアウトを調整する方法です。これを実現するために、CSSのメディアクエリを使用します。メディアクエリは、特定の条件(画面幅、解像度、向きなど)に基づいて異なるスタイルを適用します。
css@media screen and (max-width: 600px) {
body {
font-size: 14px;
}
}
この例では、画面幅が600px以下のデバイスに対して、フォントサイズを14pxに設定しています。
6. CSSの重要な概念
6.1 カスケードと継承
CSSの「カスケード」とは、複数のスタイルが適用された場合に、どのスタイルが最終的に適用されるかを決定するルールです。スタイルは優先順位に従って適用されます。
-
重要度が高いスタイルが最優先されます。
-
インラインスタイルは、外部や内部スタイルシートよりも優先されます。
-
同じ要素に対して複数のスタイルが指定されている場合、最後に定義されたものが適用されます。
6.2 アニメーションとトランジション
CSSでは、アニメーションやトランジションを使って要素の動きを制御することができます。これにより、ページを動的にすることができます。
css@keyframes slide {
from {
transform: translateX(0);
}
to {
transform: translateX(100px);
}
}
div {
animation: slide 2s ease-in-out;
}
この例では、要素が左から右にスライドするアニメーションが2秒間で実行されます。
7. まとめ
CSSは、ウェブデザインの中で非常に重要な役割を果たし、ページの見た目やレイアウトを制御するための強力なツールです。セレクタ、プロパティ、メディアクエリ、アニメーションなどを活用することで、洗練された、レスポンシブなウェブデザインを作成することができます。理解と練習を重ねることで、より高度なデザインを実現することができるでしょう。