C++における「演算子の優先順位(オペレーターの優先順位)」は、式内での演算子がどの順番で評価されるかを決定する規則です。C++では、さまざまな種類の演算子が存在し、これらの演算子には優先順位が設定されています。優先順位は、演算がどの順番で行われるかに影響を与えるため、コードを書く上で非常に重要です。
この記事では、C++の演算子の優先順位に関する完全かつ包括的な説明を行います。まずは、優先順位がどのように決まるか、次に具体的な演算子の優先順位を例と共に紹介し、最後に演算子の優先順位をうまく活用する方法を解説します。

演算子の優先順位とは?
演算子の優先順位とは、式の中で複数の演算子が使われている場合に、それらがどの順番で評価されるかを決める規則です。例えば、a + b * c
という式では、掛け算 *
が足し算 +
よりも優先されます。このため、C++の演算子は、一般的に最初に評価されるもの(優先順位が高い)と後で評価されるもの(優先順位が低い)に分類されます。
演算子の優先順位の決定方法
C++では、演算子は優先順位に従って左から右、または右から左に評価されます。優先順位が高い演算子は先に評価され、低い演算子は後に評価されます。もし、複数の演算子が同じ優先順位であった場合、その評価順序は演算子の種類によって異なります。
演算子の優先順位のカテゴリ
C++の演算子は以下のように大きく分けることができます:
-
最上位演算子(高優先順位)
-
算術演算子
-
論理演算子
-
比較演算子
-
代入演算子
-
ビット演算子
-
その他の演算子(ポインタ演算子やインクリメント・デクリメント演算子など)
各カテゴリの演算子とその優先順位
以下はC++における主要な演算子とその優先順位を表したものです。優先順位が高いものから順に並べています。
1. 最上位演算子(高優先順位)
-
括弧
()
: 丸括弧内の式が最優先で評価されます。 -
配列インデックス
[]
: 配列アクセスも優先順位が非常に高いです。 -
関数呼び出し
()
: 関数呼び出しは最優先で評価されます。 -
メンバーアクセス
.
と->
: オブジェクトのメンバーにアクセスする演算子。 -
ポインタのデリファレンス
*
と参照&
: ポインタをデリファレンスする演算子や、変数の参照を得る演算子。
2. 算術演算子
-
掛け算・割り算・剰余
%
: 乗算*
、除算/
、剰余%
は優先順位が高い。 -
足し算・引き算: 加算
+
、減算-
。
3. 比較演算子
-
等号・不等号
==
,!=
: 比較演算子で、等しいかどうかを比較します。 -
大小比較演算子
<
,>
,<=
,>=
: 数値や文字列を比較します。
4. 論理演算子
-
論理積
&&
: 論理積は、両方の条件が真である場合に真になります。 -
論理和
||
: 論理和は、いずれか一方の条件が真であれば真となります。
5. 代入演算子
-
代入演算子
=
: 右辺の値を左辺に代入します。 -
複合代入演算子
+=
,-=
,*=
,/=
, など: 代入と演算を一緒に行います。
6. ビット演算子
-
ビット論理積
&
、ビット論理和|
、ビット排他的論理和^
: ビットレベルで演算を行います。 -
ビットシフト演算子
<<
と>>
: ビットのシフト操作を行います。
7. その他の演算子
-
インクリメント・デクリメント演算子
++
,--
: 変数の値を1増加または減少させます。 -
ポインタ演算子
&
と*
: 参照とポインタの操作に関わる演算子です。
演算子の優先順位と結合規則
演算子の優先順位に加えて、結合規則も重要です。結合規則は、同じ優先順位の演算子が複数存在する場合に、どの順番で評価されるかを決定します。
左結合(左から右へ評価)
-
算術演算子
+
,-
,*
,/
,%
-
比較演算子
==
,!=
,<
,>
,<=
,>=
-
論理演算子
&&
,||
-
代入演算子
=
,+=
,-=
,*=
,/=
右結合(右から左へ評価)
-
関数呼び出し
()
-
配列インデックス
[]
-
ポインタのメンバーアクセス
->
-
インクリメント・デクリメント演算子
++
,--
演算子優先順位の活用方法
C++では、演算子の優先順位を適切に理解し、使うことが非常に重要です。特に複雑な式を作成する際、意図した順番で評価されるように括弧 ()
を使って明示的に順番を指定することが推奨されます。例えば、次のように明示的に括弧を使うことで、評価順序を明確にできます:
cppint result = (a + b) * c; // 足し算を先にして、その結果に掛け算
結論
C++の演算子の優先順位と結合規則を理解することは、コードの動作を予測し、バグを防ぐために非常に重要です。式の評価順序を制御したい場合は、必ず括弧を使用して明示的に順番を指定することをおすすめします。この知識を身につけることで、C++プログラミングがより効率的で、意図した通りに動作するようになるでしょう。