Microsoft Excel 2019には、さまざまな金融機能を実行するための強力なツールが組み込まれています。これらのツールは、財務分析、投資計算、ローン管理、予算編成などの多くの分野で広く使用されています。ここでは、Excel 2019で利用できる主な金融関数について詳しく説明します。
1. PMT関数(支払額の計算)
PMT関数は、ローンの月々の支払額を計算するために使用されます。この関数は、利率、支払期間、ローンの現在価値(元本)を考慮して、定期的な支払額を求めます。

構文:
=PMT(利率, 支払期間, 現在価値, [将来価値], [支払のタイミング])
- 利率: 期間ごとの利率
- 支払期間: 支払い回数
- 現在価値: ローンの元本
- 将来価値: 最終支払い時に残る金額(省略可能)
- 支払のタイミング: 支払いが期首か期末かを指定(省略可能)
例: 10年の住宅ローンで、年利3%、元本が3,000,000円の場合
=PMT(0.03/12, 120, -3000000)
この式は月々の支払い額を計算します。
2. FV関数(将来価値の計算)
FV関数は、一定の利率で投資がどれくらい増えるかを計算するために使用されます。定期的な支払いがある場合や、あるいは単一の元本を投資した場合の将来の価値を求めます。
構文:
=FV(利率, 期間, 支払額, 現在価値, [支払のタイミング])
- 利率: 各期間の利率
- 期間: 支払回数または期間数
- 支払額: 各期間の支払い額
- 現在価値: 現在の投資額(元本)
- 支払のタイミング: 支払いタイミング(省略可能)
例: 毎月10,000円を年利5%で10年間積立てた場合
=FV(0.05/12, 120, -10000, 0)
この式は積立後の将来の金額を計算します。
3. NPV関数(正味現在価値の計算)
NPV関数は、将来のキャッシュフローの現在価値を求めるための関数です。投資やプロジェクトの採算性を評価するために使用されます。割引率(利率)を使用して、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引きます。
構文:
mathematica=NPV(割引率, キャッシュフロー1, キャッシュフロー2, ..., キャッシュフローN)
- 割引率: 各期間の割引率
- キャッシュフロー: 各期のキャッシュフロー
例: 割引率が10%で、今後5年間にわたるキャッシュフローがそれぞれ100,000円、200,000円、300,000円、400,000円、500,000円の場合
=NPV(0.1, 100000, 200000, 300000, 400000, 500000)
この式は、キャッシュフローの現在価値を計算します。
4. IRR関数(内部収益率の計算)
IRR関数は、投資の内部収益率(IRR)を計算するために使用されます。この関数は、正味現在価値(NPV)がゼロになる割引率を求めるため、投資の収益性を評価するために利用されます。
構文:
=IRR(キャッシュフロー, [推定値])
- キャッシュフロー: 各期のキャッシュフロー
- 推定値: 初期の推定値(省略可能)
例: 初期投資が-1,000,000円で、5年間にわたるキャッシュフローが100,000円、200,000円、300,000円、400,000円、500,000円の場合
=IRR(-1000000, 100000, 200000, 300000, 400000, 500000)
この式は、投資の内部収益率を計算します。
5. RATE関数(利率の計算)
RATE関数は、投資またはローンの利率を求めるために使用されます。支払額、期間、元本などから利率を計算します。
構文:
=RATE(期間, 支払額, 現在価値, [将来価値], [支払のタイミング], [推定値])
- 期間: 支払い回数
- 支払額: 各回の支払額
- 現在価値: 元本
- 将来価値: 最終的な価値(省略可能)
- 支払のタイミング: 支払いタイミング(省略可能)
- 推定値: 利率の初期推定値(省略可能)
例: 月々の支払額が50,000円、5年間、元本が2,500,000円の場合
=RATE(60, -50000, 2500000)
この式は利率を計算します。
6. CUMIPMT関数(利息の累積計算)
CUMIPMT関数は、ローンの指定された期間における累積利息を計算します。
構文:
=CUMIPMT(利率, 期間, 現在価値, 開始期間, 終了期間, 支払のタイミング)
- 利率: 各期間の利率
- 期間: 支払い回数
- 現在価値: 元本
- 開始期間: 利息計算の開始期間
- 終了期間: 利息計算の終了期間
- 支払のタイミング: 支払いタイミング(省略可能)
例: 5年間、年利3%、元本2,000,000円で、3年目から5年目の利息を計算する場合
=CUMIPMT(0.03/12, 60, 2000000, 36, 60, 0)
この式は指定された期間の累積利息を計算します。
7. CUMPRINC関数(元本の累積計算)
CUMPRINC関数は、ローンの指定された期間における累積元本返済額を計算します。
構文:
=CUMPRINC(利率, 期間, 現在価値, 開始期間, 終了期間, 支払のタイミング)
- 利率: 各期間の利率
- 期間: 支払い回数
- 現在価値: 元本
- 開始期間: 元本計算の開始期間
- 終了期間: 元本計算の終了期間
- 支払のタイミング: 支払いタイミング(省略可能)
例: 5年間、年利4%、元本3,000,000円で、2年目から4年目の元本返済額を計算する場合
=CUMPRINC(0.04/12, 60, 3000000, 24, 48, 0)
この式は指定された期間の累積元本返済額を計算します。
Excelの金融関数は、投資家、財務アナリスト、企業の経理部門などにとって非常に便利です。これらの関数を適切に使いこなすことで、複雑な財務計算を簡単に行い、意思決定をサポートすることができます。