プログラミング

Go 言語の構造体完全ガイド

Go 言語における「構造体(Struct)」は、複数の異なる型のデータをひとまとめにして扱うための強力なデータ型です。構造体は、実際のプログラムで複雑なデータを表現する際に非常に便利であり、Go の強力な型システムを活かすために欠かせない要素となっています。この記事では、Go 言語における構造体の基本的な使い方から、高度な利用方法まで、包括的に解説します。

1. 構造体の基本

構造体(Struct)は、フィールドと呼ばれる変数の集まりです。各フィールドは異なる型を持つことができ、構造体のインスタンスを作成することで、これらのフィールドに値を格納することができます。

構造体の定義

構造体を定義するには、type キーワードを使用します。構造体のフィールドは、型名の後にフィールド名を記述することで定義します。以下は、簡単な構造体の例です。

go
package main import "fmt" // 構造体の定義 type Person struct { Name string Age int } func main() { // 構造体のインスタンス化 p := Person{Name: "Alice", Age: 30} fmt.Println(p) }

この例では、Person という構造体を定義し、その中に NameAge というフィールドがあります。この構造体を使って、p というインスタンスを作成し、NameAge に値を代入しています。

2. 構造体の初期化方法

構造体のインスタンスを初期化する方法は、いくつかの方法があります。

フィールド名を指定して初期化

go
p := Person{Name: "Bob", Age: 25}

フィールド名を指定しない初期化

構造体のフィールドを指定せずに初期化する場合、順番に値を設定します。この場合、構造体のフィールド順序が重要です。

go
p := Person{"Charlie", 35}

ゼロ値で初期化

構造体を初期化せずに宣言すると、そのフィールドは型のゼロ値で初期化されます。例えば、string 型のフィールドは空文字列、int 型のフィールドは 0 で初期化されます。

go
var p Person fmt.Println(p) // 出力: { 0}

3. 構造体のポインタ

Go 言語では、構造体をポインタとして扱うことが一般的です。ポインタを使うことで、構造体のインスタンスをコピーすることなく、効率的に値を変更することができます。

ポインタを使った構造体の操作

構造体のポインタを使って値を変更する方法は以下の通りです。

go
package main import "fmt" type Person struct { Name string Age int } func main() { p := &Person{Name: "David", Age: 40} p.Age = 41 // ポインタを使ってフィールドを変更 fmt.Println(*p) // 出力: {David 41} }

ポインタを使うことで、構造体のフィールドを直接変更することができます。

4. メソッドの定義と構造体

Go 言語では、構造体にメソッドを定義することができます。メソッドは、構造体のポインタまたは値レシーバーとして定義できます。

値レシーバーによるメソッド定義

値レシーバーを使うと、構造体のコピーが渡されます。つまり、元の構造体は変更されません。

go
func (p Person) Greet() { fmt.Println("Hello, my name is", p.Name) }

ポインタレシーバーによるメソッド定義

ポインタレシーバーを使うと、構造体自体が渡されるため、元の構造体を直接変更することができます。

go
func (p *Person) SetAge(age int) { p.Age = age }

5. 埋め込み構造体(匿名フィールド)

Go 言語では、構造体内に他の構造体を埋め込むことができます。これにより、埋め込まれた構造体のフィールドを直接アクセスできるようになります。埋め込み構造体を使うことで、コードの再利用性が向上します。

埋め込み構造体の例

go
type Address struct { Street string City string } type Person struct { Name string Age int Address // 埋め込み構造体 } func main() { p := Person{Name: "Eve", Age: 50, Address: Address{Street: "Main St", City: "New York"}} fmt.Println(p.Name) // "Eve" fmt.Println(p.Street) // "Main St" - 埋め込まれた構造体のフィールドにアクセス }

6. 構造体の比較

Go では、構造体同士を比較することができます。ただし、比較するためには、構造体のフィールドが比較可能な型である必要があります。例えば、ポインタ型やスライス型のフィールドを含む構造体は、比較することができません。

go
p1 := Person{Name: "Alice", Age: 30} p2 := Person{Name: "Alice", Age: 30} fmt.Println(p1 == p2) // true

7. 構造体のJSONとの相互変換

Go では、encoding/json パッケージを使用して構造体と JSON 形式のデータを相互変換することができます。これにより、外部の API とのデータのやり取りが簡単になります。

構造体を JSON に変換

go
import "encoding/json" type Person struct { Name string `json:"name"` Age int `json:"age"` } func main() { p := Person{Name: "Alice", Age: 30} data, _ := json.Marshal(p) fmt.Println(string(data)) // {"name":"Alice","age":30} }

JSON から構造体に変換

go
data := `{"name":"Bob","age":25}` var p Person json.Unmarshal([]byte(data), &p) fmt.Println(p) // {Bob 25}

8. 結論

Go 言語における構造体は、データを整理し、効率的に処理するための基本的なデータ型です。構造体を使うことで、複雑なデータ構造を簡単に表現でき、メソッドやポインタを使うことで柔軟な操作が可能になります。Go の強力な型システムを最大限に活用するためには、構造体の理解と適切な利用が不可欠です。

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