開発運用

HAProxyによるWordPress負荷分散

HAProxyを使用して、WordPressとNginxをUbuntuで運用するための7層(アプリケーション層)負荷分散の方法について説明します。この記事では、HAProxyを使用してトラフィックを複数のNginxサーバーに分散させ、WordPressをホストする方法を完全かつ包括的に説明します。

HAProxyとは

HAProxy(High Availability Proxy)は、オープンソースの高性能なTCPおよびHTTPロードバランサーです。これを使用することで、Webアプリケーションの可用性とスケーラビリティを向上させることができます。HAProxyは、特に7層(アプリケーション層)での負荷分散を行う際に非常に効果的です。

前提条件

  • Ubuntuサーバーが2台以上存在し、そのうち1台にHAProxyをインストールして、残りのサーバーにNginxをインストールしてWordPressをホストする。
  • サーバーがインターネットに接続されている。
  • 必要なパッケージ(Nginx、WordPress、PHPなど)がインストールされている。

HAProxyのインストール

  1. HAProxyのインストール
    最初に、HAProxyをインストールします。以下のコマンドでインストールします。

    bash
    sudo apt update sudo apt install haproxy
  2. HAProxyの設定
    次に、HAProxyの設定ファイルを編集します。HAProxyの設定ファイルは/etc/haproxy/haproxy.cfgにあります。まず、このファイルをバックアップしてから編集します。

    bash
    sudo cp /etc/haproxy/haproxy.cfg /etc/haproxy/haproxy.cfg.bak sudo nano /etc/haproxy/haproxy.cfg

    設定ファイルの例は以下の通りです。この設定では、HAProxyがHTTPリクエストを受け取り、2台のNginxサーバーに負荷分散する設定になっています。

    bash
    global log /dev/log local0 log /dev/log local1 notice chroot /var/lib/haproxy stats socket /var/run/haproxy.sock mode 600 level admin user haproxy group haproxy daemon defaults log global option httplog option dontlognull timeout connect 5000ms timeout client 50000ms timeout server 50000ms frontend http_front bind *:80 acl is_wordpress path_beg /wp-admin /wp-login.php use_backend wordpress_back if is_wordpress default_backend nginx_back backend wordpress_back server wordpress1 192.168.1.2:80 check server wordpress2 192.168.1.3:80 check backend nginx_back server nginx1 192.168.1.4:80 check server nginx2 192.168.1.5:80 check
    • frontend http_front: HTTPリクエストを受け付ける部分です。/wp-admin/wp-login.phpのパスが含まれているリクエストをWordPressバックエンドに送ります。それ以外のリクエストは、nginx_backに送られます。
    • backend wordpress_backnginx_back: それぞれ、WordPressサーバーとNginxサーバーの設定です。ここでは、複数のサーバー(例えば、2台のWordPressサーバーと2台のNginxサーバー)にリクエストを分散します。
  3. HAProxyの再起動
    設定ファイルを編集した後、HAProxyを再起動して設定を反映させます。

    bash
    sudo systemctl restart haproxy
  4. HAProxyの状態確認
    HAProxyが正常に動作しているか確認するためには、以下のコマンドを実行します。

    bash
    sudo systemctl status haproxy

    また、HAProxyが正しく設定されているかを確認するために、haproxy.cfgの設定にエラーがないかをチェックするコマンドも使用できます。

    bash
    sudo haproxy -c -f /etc/haproxy/haproxy.cfg

Nginxの設定

次に、WordPressとNginxをセットアップします。

  1. Nginxのインストール
    まず、Nginxをインストールします。以下のコマンドでインストールします。

    bash
    sudo apt update sudo apt install nginx
  2. WordPressのインストール
    それぞれのNginxサーバーでWordPressをインストールし、PHP-FPMを使ってWordPressを動作させるように設定します。WordPressのインストール手順は公式サイトのガイドを参照してください。ここでは簡単な手順を説明します。

    まず、WordPressをダウンロードしてインストールします。

    bash
    wget https://wordpress.org/latest.tar.gz tar -xzvf latest.tar.gz sudo mv wordpress /var/www/html/
  3. Nginxの設定
    次に、Nginxの設定を行います。WordPressをホストするための仮想ホスト設定ファイルを作成します。

    bash
    sudo nano /etc/nginx/sites-available/wordpress

    設定ファイルの例は以下の通りです。

    nginx
    server { listen 80; server_name example.com; root /var/www/html/wordpress; index index.php index.html index.htm; location / { try_files $uri $uri/ /index.php?$args; } location ~ \.php$ { include snippets/fastcgi-php.conf; fastcgi_pass unix:/var/run/php/php7.4-fpm.sock; fastcgi_param SCRIPT_FILENAME $document_root$fastcgi_script_name; include fastcgi_params; } location ~ /\.ht { deny all; } }

    Nginxを再起動して設定を反映させます。

    bash
    sudo systemctl restart nginx

動作確認

すべての設定が完了したら、HAProxyを通じてWordPressサイトにアクセスし、負荷分散が機能しているかを確認します。ブラウザでHAProxyのIPアドレスにアクセスして、WordPressサイトが表示されれば成功です。

結論

この記事では、HAProxyを使ってUbuntu上でWordPressとNginxを運用するための7層負荷分散の設定方法を説明しました。HAProxyを使用することで、複数のNginxサーバーにトラフィックを分散し、WordPressサイトの可用性とパフォーマンスを向上させることができます。このアーキテクチャを使用すると、スケーラビリティの向上と冗長性を確保し、より多くのトラフィックを処理できるようになります。

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