ネットワーク

IPv4アドレスの完全ガイド

IPv4アドレスの完全かつ包括的な説明

はじめに

IPv4(Internet Protocol Version 4)は、インターネットで最も広く使用されているネットワークプロトコルの一つであり、インターネット上でデバイス同士が通信するために使用される論理的なアドレスです。IPv4アドレスは、ネットワークに接続される各デバイスに一意の識別子を提供し、データの送受信を可能にします。このプロトコルは、1981年に初めて導入され、現在に至るまで多くのネットワーク環境で使用され続けています。

本記事では、IPv4アドレスの仕組み、構造、使用方法、アドレス空間の限界について詳しく解説します。


IPv4アドレスの基本構造

IPv4アドレスは32ビット(4バイト)で構成され、通常は4つの「オクテット(8ビット)」に分けられ、それぞれが0から255の範囲の値を持ちます。各オクテットは「ドット(.)」で区切られ、一般的には次のような形式で表示されます:

192.168.1.1

この例では、各オクテットは以下のように表されます:

  • 192
  • 168
  • 1
  • 1

各オクテットは8ビットのバイナリ数に対応しており、例えば「192」は「11000000」に変換できます。したがって、IPv4アドレスは合計32ビット、すなわち4つのオクテットで構成されています。


IPv4アドレスのクラス

IPv4アドレスには異なる「クラス」があります。これらのクラスは、アドレスの使用目的に応じて分類されています。主なアドレスクラスには次のようなものがあります:

  1. クラスA

    • 範囲:0.0.0.0 ~ 127.255.255.255
    • 最初のビットが「0」で始まるアドレス。主に大規模なネットワークに使用されます。
    • ネットワーク部:8ビット、ホスト部:24ビット
  2. クラスB

    • 範囲:128.0.0.0 ~ 191.255.255.255
    • 最初のビットが「10」で始まるアドレス。中規模なネットワークに適しています。
    • ネットワーク部:16ビット、ホスト部:16ビット
  3. クラスC

    • 範囲:192.0.0.0 ~ 223.255.255.255
    • 最初のビットが「110」で始まるアドレス。小規模なネットワークで使用されます。
    • ネットワーク部:24ビット、ホスト部:8ビット
  4. クラスD

    • 範囲:224.0.0.0 ~ 239.255.255.255
    • マルチキャストアドレスとして使用され、特定のグループにデータを送信する際に利用されます。
  5. クラスE

    • 範囲:240.0.0.0 ~ 255.255.255.255
    • 実験的用途や予約されたアドレス領域です。一般的な使用には適しません。

サブネットマスク

IPv4ネットワークでは、サブネットマスクを使用してネットワーク部とホスト部を区別します。サブネットマスクは、ネットワークアドレスを定義するために使われ、IPアドレスと同じく32ビットの値です。

サブネットマスクは、通常次のように表されます:

255.255.255.0

これはバイナリでは次のように表されます:

11111111.11111111.11111111.00000000

サブネットマスクが「255.255.255.0」の場合、最初の24ビット(255)はネットワーク部を表し、残りの8ビット(0)はホスト部を表します。このようにして、ネットワーク内でのデバイスの識別が可能になります。


IPv4アドレスの割り当てとプライベートアドレス

IPv4アドレスは、インターネット上でグローバルに一意のアドレスとして割り当てられることが必要です。しかし、全てのデバイスがインターネットに接続されているわけではなく、プライベートネットワークを形成するために「プライベートアドレス」も使用されます。これらのアドレスはインターネット上で直接使用されることはなく、ネットワーク内部でのみ使用されます。

プライベートIPv4アドレスの範囲は次の通りです:

  • クラスA:10.0.0.0 ~ 10.255.255.255
  • クラスB:172.16.0.0 ~ 172.31.255.255
  • クラスC:192.168.0.0 ~ 192.168.255.255

これらのプライベートアドレスは、NAT(Network Address Translation)技術を使用することによって、インターネット上で共有されます。


IPv4アドレスの枯渇とIPv6への移行

IPv4アドレスは、32ビットの長さによって最大約43億個のユニークなアドレスを提供しますが、インターネット接続デバイスの増加に伴い、IPv4アドレスの枯渇が問題となっています。このため、IPv6という新しいプロトコルが登場し、128ビットのアドレスを提供することで、事実上無限のアドレス空間を提供します。

しかし、IPv6への移行は段階的に進行中であり、IPv4は今後も一定の期間使用され続けることが予想されています。ネットワーク機器やインフラの対応が進むにつれて、IPv6の普及が進んでいくと考えられています。


まとめ

IPv4はインターネットの基盤となるプロトコルであり、ネットワーク上でのデバイス間の通信を支える重要な役割を果たしています。アドレスの構造やクラス、サブネットマスク、プライベートアドレスなど、IPv4の仕組みを理解することは、ネットワークの設計や運用において不可欠です。しかし、IPv4アドレスの枯渇という課題に直面しており、今後はIPv6の導入が進んでいくことが予想されています。

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