Linuxでは、passwd
と adduser
コマンドを使用してユーザーアカウントの管理やパスワードの設定を行います。これらのコマンドは、システムのセキュリティを確保するために非常に重要です。以下に、それぞれのコマンドの使い方と、システムでどのように管理できるかについて詳しく説明します。
passwd
コマンドによるパスワード管理
passwd
コマンドは、Linuxシステムでユーザーのパスワードを設定または変更するためのツールです。このコマンドは、管理者(root)や該当するユーザー自身によって使用できます。

基本的な使用方法
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現在のユーザーのパスワードを変更する
ユーザー自身が自分のパスワードを変更する場合、次のコマンドを実行します:bashpasswd
コマンドを入力すると、現在のパスワードを求められ、その後、新しいパスワードを2回入力するよう指示されます。パスワードは視覚的に表示されませんが、正常に入力されると変更が完了します。
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別のユーザーのパスワードを変更する(管理者権限が必要)
管理者(root)は、他のユーザーのパスワードを変更できます。この場合、以下のようにコマンドを使用します:bashsudo passwd <ユーザー名>
例えば、ユーザー「taro」のパスワードを変更する場合は、次のように入力します:
bashsudo passwd taro
新しいパスワードを入力するよう求められます。
パスワードポリシーの設定
passwd
コマンドには、パスワードの有効期限や履歴などを設定するオプションがあります。これらは主にセキュリティを強化するために使用されます。
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パスワードの有効期限を設定する
chage
コマンドを使用して、ユーザーのパスワードが変更されるまでの期限を設定できます。例えば、30日後にパスワードを更新するように設定するには、次のように実行します:bashsudo chage -M 30 <ユーザー名>
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パスワード変更を強制する
ユーザーが次回ログイン時に必ずパスワードを変更しなければならないように設定するには、次のコマンドを使用します:bashsudo chage -d 0 <ユーザー名>
adduser
コマンドによるユーザー管理
adduser
コマンドは、Linuxシステムに新しいユーザーを追加するためのコマンドです。このコマンドを使用することで、ユーザーアカウントを作成し、関連する設定を行うことができます。
基本的な使用方法
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新しいユーザーを追加する
新しいユーザーを追加するには、adduser
コマンドを使用します。例えば、ユーザー「taro」を追加するには、次のように実行します:bashsudo adduser taro
このコマンドを実行すると、システムはユーザーのホームディレクトリを作成し、パスワードの設定やユーザー情報の入力を求めます。必要に応じて、ユーザーに関連する詳細情報(名前、電話番号など)を入力できます。これらの情報は省略可能です。
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追加するグループを指定する
adduser
コマンドでは、ユーザーを特定のグループに追加することもできます。例えば、「taro」ユーザーを「sudo」グループに追加するには、以下のようにします:bashsudo adduser taro sudo
これにより、ユーザー「taro」がsudo権限を持つことになります。
追加オプション
adduser
コマンドにはいくつかのオプションがあります。以下にいくつか例を示します:
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ユーザーのホームディレクトリを変更する
通常、
adduser
コマンドは新しいユーザーのホームディレクトリを自動的に作成しますが、既存のディレクトリを使用することもできます。例えば、/home/otherdir
にホームディレクトリを変更するには、次のように実行します:bashsudo adduser --home /home/otherdir taro
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ユーザーのシェルを指定する
ユーザーに特定のシェルを指定することもできます。例えば、ユーザー「taro」に
/bin/bash
シェルを設定するには、次のようにします:bashsudo adduser --shell /bin/bash taro
ユーザーアカウントの削除
作成したユーザーアカウントを削除するには、deluser
コマンドを使用します。このコマンドは、指定したユーザーアカウントをシステムから削除します。
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ユーザーアカウントの削除
例えば、ユーザー「taro」を削除するには、次のように実行します:
bashsudo deluser taro
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ユーザーのホームディレクトリも削除する
ユーザーアカウントを削除すると、そのユーザーのホームディレクトリは削除されません。もし、ユーザーのホームディレクトリも含めて削除したい場合は、次のようにします:
bashsudo deluser --remove-home taro
結論
passwd
と adduser
は、Linuxシステムにおいてユーザーアカウントの管理やパスワードの設定に不可欠なコマンドです。これらのコマンドを適切に使用することで、システムのセキュリティを確保し、効率的にユーザーアカウントを管理することができます。特に、パスワードの有効期限や強制変更、ユーザーのグループ設定など、セキュリティを強化するためのオプションを活用することが重要です。