ネットワーク

MACアドレスの仕組みと役割

MACアドレス(Media Access Control Address)は、ネットワーク機器に割り当てられた一意の識別番号で、主にイーサネットやWi-Fiネットワークなどの通信に使用されます。このアドレスは、物理アドレスとも呼ばれ、デバイスがネットワーク上で通信する際に他の機器と区別するための重要な役割を果たします。MACアドレスは、OSI参照モデルのデータリンク層で使用され、通常、ネットワーク機器(コンピュータ、ルーター、スイッチ、ネットワークカードなど)のハードウェアに組み込まれています。

MACアドレスの構造

MACアドレスは通常、48ビット(6バイト)の長さを持ち、16進数で表記されます。これを通常は6つの2桁の16進数で区切り、コロン(:)またはハイフン(-)で区切って記述します。例えば、以下のような形式で表記されます:

makefile
00:14:22:01:23:45

ここで、最初の3バイト(6桁)は**OUI(Organizationally Unique Identifier)**と呼ばれ、これはネットワーク機器を製造する会社を識別するために割り当てられた番号です。残りの3バイト(6桁)は、製造された機器ごとに一意の番号を割り当てられ、その機器を個別に識別するために使用されます。

例:

makefile
00:14:22(OUI):01:23:45(機器の識別番号)

MACアドレスの役割

MACアドレスは、ネットワーク機器が他の機器と通信する際に、その機器を識別するために使われます。例えば、Wi-Fiルーターに接続する際、ルーターは接続するデバイスのMACアドレスを確認し、許可されたデバイスかどうかを確認することができます。これにより、ネットワーク上でのアクセス管理やセキュリティ強化が可能になります。

MACアドレスの使い道

  1. ネットワーク機器の識別: すべてのネットワーク機器にはユニークなMACアドレスが割り当てられているため、他の機器との通信を確実に識別できます。

  2. ネットワーク管理: 管理者は、MACアドレスを使用してネットワーク上の特定のデバイスを監視したり、アクセスを制限したりすることができます。

  3. セキュリティ: 一部のネットワークでは、特定のMACアドレスをホワイトリストに登録することで、許可されたデバイスのみがネットワークにアクセスできるようにすることができます。

  4. DHCPサーバーでのIPアドレス割り当て: DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーは、MACアドレスに基づいて特定のIPアドレスをデバイスに自動的に割り当てることができます。

MACアドレスの変更(スプーフィング)

MACアドレスはハードウェアに組み込まれているため、基本的には変更できませんが、ソフトウェアや設定を使って変更することも可能です。これを「MACアドレスのスプーフィング」と呼びます。スプーフィングを利用すると、ネットワーク上で他の機器のMACアドレスを模倣したり、特定のMACアドレスを偽装することができます。この技術は、セキュリティテストやネットワーク管理で利用されることがありますが、不正な目的で使用されることもあるため、注意が必要です。

MACアドレスとIPアドレスの違い

MACアドレスとIPアドレスは、どちらもネットワーク上でデバイスを識別するためのものですが、その役割には違いがあります。

  • MACアドレス: ネットワーク機器のハードウェアに一意に割り当てられる物理アドレスです。ネットワーク機器同士が直接通信する際に使用されます。
  • IPアドレス: ネットワーク上での論理アドレスであり、インターネットを通じてデバイスを識別するために使用されます。IPアドレスは、インターネットやLAN内でルーティングされる際に重要な役割を果たします。

MACアドレス表の形式

MACアドレスは通常、16進数で表記されるため、次のような形式で表示されることが一般的です:

フォーマット
00:14:22:01:23:45 通常のMACアドレス
0014.2201.2345 ピリオド形式
00-14-22-01-23-45 ハイフン形式

また、OUI(最初の3バイト)は、特定の企業に割り当てられているため、インターネットで企業の名前や製品の詳細を調べることができます。例えば、00:14:22というOUIは、ある特定の企業によって割り当てられていることがわかります。

結論

MACアドレスは、ネットワーク機器の識別において非常に重要な役割を果たします。その構造は、物理アドレスとして機器間の通信を確実に行うための基本的な要素です。また、ネットワーク管理やセキュリティ強化、IPアドレスの割り当てなど、さまざまな用途があります。MACアドレスは、機器の製造時に割り当てられる一意の番号であり、これによりネットワーク上での通信が円滑に行われます。

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