MLA(モダン・ランゲージ・アソシエーション)スタイルは、特に文学、言語学、人文学の分野で広く使用される文献引用スタイルです。ここでは、MLAスタイルにおける引用方法や参考文献の作成方法について、包括的に説明します。
1. MLAスタイルの基本的な特徴
MLAスタイルの目的は、読者に文献の出所を明確に示し、研究や議論の信頼性を高めることです。このスタイルでは、著者名、タイトル、出版情報などの詳細を簡潔に、かつ統一された形式で記載します。MLAスタイルの特徴的な点は、以下の通りです。
- 文中引用(インターナル・シチュエーション):文献を引用する際、引用部分の後に著者の姓とページ番号を括弧内で記載します。
- 参考文献リスト(Works Cited):参考文献はページの最後に「Works Cited」としてリスト化し、各文献はアルファベット順に並べます。
2. MLAスタイルでの文中引用
文中での引用は、読者がどの資料を参照しているのかを一目で理解できるように簡潔に行います。基本的な形式は以下の通りです。
書籍の場合:
- 引用形式:著者名(姓のみ)とページ番号を括弧内で示します。
例:
(田中 45)
複数の著者がいる場合:
- 引用形式:最初の著者の姓と「et al.」を使用します(「et al.」は「その他」の意味で、通常は3名以上の著者に使用します)。
例:
(佐藤 et al. 120)
特殊な場合:
- 無名の著者や編者:タイトルを引用に使用します。
例:
(『日本の歴史』 56)
3. 参考文献リスト(Works Cited)の作成
参考文献リストには、引用したすべての資料をアルファベット順に並べて記載します。それぞれの資料の書誌情報は、特定の順番に従って整えます。以下は、代表的な資料ごとのMLAスタイルに基づく書き方です。
書籍の参考文献
書籍の場合、基本的な書誌情報は次の通りです。
- 形式:著者の姓, 名. 『書名』. 出版社, 出版年.
例:
田中, 一郎. 『日本の歴史』. 新潮社, 2020年。
論文や記事の参考文献
学術論文や雑誌の記事の場合、次の書式に従います。
- 形式:著者の姓, 名. “記事タイトル.” 『雑誌名』, vol. 巻号, no. 号, 出版年, pp. ページ番号.
例:
佐藤, 二郎. “現代文学の傾向.” 『文学論集』, vol. 15, no. 2, 2019年, pp. 123-145。
ウェブサイトの参考文献
ウェブサイトの参照は、ウェブサイト名、著者名、記事タイトル、公開日などを含めます。
- 形式:著者の姓, 名. “記事タイトル.” 『ウェブサイト名』, 公開日, URL.
例:
高橋, 三郎. “日本の気候変動.” 『気象情報センター』, 2018年6月15日, www.weathercenter.jp/climate.
映画やDVDの参考文献
映画やDVDを引用する場合、制作会社や監督名、公開年などの詳細を記載します。
- 形式:タイトル. 監督名, 出版社, 公開年.
例:
『天空の城ラピュタ』. 監督: 宮崎駿, スタジオジブリ, 1986年。
4. 引用に関する注意点
MLAスタイルで文献を引用する際、いくつかの重要な注意点があります。
- 一貫性:文中引用と参考文献リストの形式は常に一貫性を保つ必要があります。
- 著者名の順序:著者名は必ず「姓, 名」の順番で記載します。複数の著者がいる場合は、最初の著者を姓-名の順に記載し、2人目以降の著者は「名 姓」の順で書きます。
- ページ番号:論文や書籍を引用する際、可能な限りページ番号を記載し、参照箇所を明確にします。
5. MLAスタイルの改訂
MLAスタイルは時折改訂されます。最新のスタイルに従って文献を引用するために、MLAの公式ガイドラインを確認することが推奨されます。特に、オンラインリソースやソーシャルメディアの利用が増えているため、ウェブサイトやデジタル資料の引用方法に関するガイドラインも進化しています。
6. 参考文献リストの書式
参考文献リスト(Works Cited)は、次のように配置します:
- 1行目は左端に配置し、次の行からはインデントを2文字分空けて記載します(ハンギングインデント)。
- アルファベット順で、著者名を基に並べます。
- 著者が不明な場合は、書名を最初に記載します。
例えば:
田中, 一郎. 『日本の歴史』. 新潮社, 2020年。
佐藤, 二郎. “現代文学の傾向.” 『文学論集』, vol. 15, no. 2, 2019年, pp. 123-145。
7. 結論
MLAスタイルは、学術的な文章における信頼性を高めるために重要な役割を果たします。文中引用や参考文献リストの作成方法を理解し、正確に引用することで、研究の整合性を保ち、他者の知的財産を尊重することができます。MLAスタイルを使いこなすことは、学問的な文章作成において不可欠なスキルのひとつと言えるでしょう。
