OmegaTは、翻訳者が効率的に作業を進めるためのオープンソースの翻訳支援ツール(CATツール)です。このツールは、主に翻訳メモリ(TM)を使用して翻訳をサポートし、過去の翻訳作業を再利用することで、作業の一貫性とスピードを向上させます。OmegaTを使い始めるためには、以下のステップに従うことが重要です。
1. OmegaTのインストール
まず、OmegaTを公式ウェブサイトからダウンロードします。ダウンロードページにアクセスし、お使いのオペレーティングシステムに対応するバージョン(Windows、Mac、Linux)を選びます。インストールファイルを実行して、指示に従ってインストールを完了させます。インストール後、OmegaTを起動します。

2. 新しいプロジェクトの作成
OmegaTを開いたら、まず新しい翻訳プロジェクトを作成します。「ファイル」メニューから「新規プロジェクト」を選びます。プロジェクトを作成するためには、以下の情報を入力する必要があります:
- プロジェクト名: 任意の名前を入力します。
- ソース言語: 翻訳元の言語を選択します。
- ターゲット言語: 翻訳先の言語を選択します。
- プロジェクトフォルダ: 作業を保存するためのフォルダを指定します。
これでプロジェクトの準備が整いました。
3. 翻訳メモリの設定
OmegaTは、翻訳メモリ(TM)を使用して、以前の翻訳を再利用します。新しいプロジェクトを作成した際に、翻訳メモリを設定することができます。既存の翻訳メモリを使用する場合は、「ツール」メニューから「翻訳メモリの管理」を選び、TMファイルをインポートします。新しいTMを作成することもできます。
4. 翻訳ファイルのインポート
翻訳するファイルをプロジェクトにインポートするには、プロジェクトフォルダ内で「ソースフォルダ」を選択し、翻訳対象となるファイル(通常は.docx、.xls、.html、.xmlなど)をドラッグ&ドロップで追加します。これにより、翻訳対象のテキストが表示され、翻訳作業を進めることができます。
5. 翻訳作業の開始
翻訳を開始するには、OmegaTのメイン画面に表示されたセグメント(翻訳単位)を一つずつ翻訳していきます。各セグメントは、翻訳メモリや機械翻訳(例えばGoogle翻訳やDeepL)から提案された翻訳を表示することもあります。セグメントごとに翻訳を入力し、「Ctrl+Enter」で翻訳を確定します。
6. 検索機能の利用
OmegaTには検索機能があり、以前に翻訳した単語やフレーズを素早く見つけることができます。「検索」メニューから「翻訳メモリを検索」を選択し、必要な語句を入力することで、過去の翻訳を検索できます。この機能は、大規模な翻訳プロジェクトで非常に便利です。
7. プロジェクトの保存とエクスポート
翻訳が進んできたら、作業を定期的に保存することが重要です。「ファイル」メニューから「保存」を選んで、作業内容を保存します。翻訳が完了したら、「ファイル」メニューから「エクスポート」を選択し、最終的な翻訳ファイルを所望の形式で出力します。
8. 結果の確認
翻訳が完了したら、最終的な翻訳結果を確認します。OmegaTには、ファイルをプレビューする機能も備わっています。プレビューを確認することで、翻訳が正確かつ整合性が取れているかどうかをチェックできます。
9. 複雑なファイル形式の処理
OmegaTは、単純なテキストファイルだけでなく、複雑なファイル形式(例えば、HTML、XML、Adobe InDesignなど)の翻訳もサポートしています。これらの形式を処理する際には、適切な設定を行うことが重要です。OmegaTは、特定のファイルタイプに合わせたフィルタを提供しており、設定からフィルタを選択することで、複雑なフォーマットにも対応できます。
10. 高度な設定とカスタマイズ
OmegaTには多くの高度な設定やカスタマイズオプションがあります。例えば、ユーザー辞書や機械翻訳エンジンの設定、スクリプトの利用など、翻訳作業を効率化するための多くの機能が提供されています。これらを利用することで、作業のスピードや精度を向上させることができます。
まとめ
OmegaTは、オープンソースでありながら、非常に強力で柔軟な翻訳支援ツールです。初心者でも使いやすいインターフェースを提供しており、翻訳メモリや機械翻訳の活用により、翻訳作業を効率的に進めることができます。翻訳作業に必要なファイルのインポートから、翻訳メモリの管理、最終的なエクスポートまで、OmegaTはすべてのステップをサポートします。翻訳者が高品質な翻訳を迅速に提供するために、このツールは非常に役立つものとなるでしょう。