PDW(Platelet Distribution Width)は血液検査で測定される指標の一つで、血小板の大きさのばらつき具合を示します。血小板は血液の凝固に関与し、出血が起こった際に血液の凝固を助ける重要な役割を果たします。PDWは、血小板のサイズのばらつきが異常である場合に示されることがあり、いくつかの病状を示唆する場合があります。
PDWの測定方法と基準値
PDWは、血液中の血小板の大きさの分布を示すため、血液検査の一部として自動血液分析機器を用いて測定されます。この値が高い場合、血小板の大きさに大きなばらつきがあることを意味します。一方、低い場合は血小板のサイズが均等であることを示しています。

PDWの基準値は施設や使用される機器によって異なりますが、一般的にPDWの基準値は9.6〜15.0 fL(フェムトリットル)程度とされています。この範囲内であれば、正常範囲内とされます。
PDWの異常値が示す可能性のある疾患
PDWが異常値を示す場合、いくつかの疾患が関与している可能性があります。具体的には以下のような病状が考えられます。
1. 血小板減少症
PDWが高い場合、血小板が異常に大きくなることがあります。これは血小板減少症に関連している場合があり、血小板の生産が不足するか、破壊が早く進んでいることが考えられます。血小板が大きいことで、血管内での凝固異常や出血が起こりやすくなる可能性があります。
2. 血小板増加症
PDWが低い場合、血小板が正常よりも均等なサイズを持っていることが多いです。これは血小板増加症の一部のケースで見られ、骨髄が過剰に血小板を生産していることを示唆します。血小板増加症には、血栓症や動脈硬化などのリスクが伴います。
3. 慢性疾患や炎症
PDWの変動は慢性疾患や炎症性疾患においても見られます。例えば、リウマチ性疾患や感染症、がんなどが関与することがあります。これらの疾患では、血液中の血小板の数や大きさに影響を与えることがあり、PDWの異常が示唆される場合があります。
4. 鉄欠乏性貧血
PDWが高い場合、鉄欠乏性貧血との関連が指摘されることもあります。鉄が不足すると、血小板の生成に異常が生じ、血小板が異常に大きくなることがあります。
5. 骨髄疾患
PDWの変動は、骨髄の異常がある場合にも見られることがあります。骨髄疾患では、血液細胞の正常な生成が阻害されることがあり、その結果、血小板のサイズにばらつきが生じることがあります。
PDWとその他の血液検査との関連
PDWは、他の血液検査と組み合わせて診断に利用されることが多いです。例えば、血小板数(PLT)や平均血小板容積(MPV)などと合わせて評価されることが一般的です。これらの値を総合的に分析することで、病態の詳細な評価が可能となります。
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PLT(血小板数): 血液中の血小板の数を示す指標で、PDWと合わせて分析することで、血小板の機能異常や異常増加、減少などを評価できます。
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MPV(平均血小板容積): 血小板の平均的な大きさを示す指標で、PDWとの相関が強いため、両方を比較することで血小板の機能や異常の有無を確認することができます。
PDWの異常値が示す治療アプローチ
PDWの異常値が確認された場合、その原因に応じた治療が行われます。例えば、血小板数の異常が確認された場合は、血液疾患の治療や炎症の管理、鉄分補充などが考慮されることがあります。PDW単独では診断を下すことは難しいため、その他の臨床症状や検査結果と併せて治療方針を決定します。
結論
PDWは血液検査において重要な役割を果たす指標の一つであり、血小板の大きさに関する情報を提供します。異常なPDW値は、さまざまな疾患や病状のサインとなる可能性があるため、異常値が示された場合には追加の検査が必要となります。血液検査の結果を正確に解釈するためには、専門医による総合的な診断が重要です。