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PVSTとRSTPの比較

PVST(Per VLAN Spanning Tree)とRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)の完全ガイド

コンピュータネットワークにおいて、複数のスイッチが接続された環境では、ループを避けるために「スパニングツリー」という技術が使用されます。スパニングツリーは、複数のパスが存在する場合に、冗長なリンクを一時的に無効化して、ネットワーク内でのループを防ぎます。PVSTとRSTPは、スパニングツリーのプロトコルの一部であり、それぞれ異なる方法でネットワークの効率性や冗長性を管理します。本記事では、これらのプロトコルについて、詳細に解説します。

1. PVST(Per VLAN Spanning Tree)について

PVST(Per VLAN Spanning Tree)は、Ciscoが導入したスパニングツリープロトコルで、VLANごとに独立したスパニングツリーを提供します。これは、VLANごとに最適なルートを選択することを可能にし、ネットワーク全体でのトラフィック効率を向上させることができます。

PVSTの基本的な動作

PVSTは、VLANごとに別々のスパニングツリーインスタンスを作成します。例えば、VLAN 10とVLAN 20に異なるスパニングツリーが作成され、それぞれのVLANに対して最適なパスが決定されます。このアプローチにより、異なるVLANが独自に冗長パスを持つことができ、より効率的なトラフィックの流れを実現します。

  1. STPの役割
    スパニングツリープロトコル(STP)は、ネットワークの冗長リンクを無効化してループを防ぐ役割を果たします。PVSTは、STPをVLANごとに適用することにより、特定のVLANのために最適なスパニングツリーを形成します。

  2. VLANごとのスパニングツリー
    複数のVLANを運用する場合、PVSTはVLANごとに独立したスパニングツリーを管理します。これにより、VLAN 10のトラフィックが冗長リンクを利用できる一方で、VLAN 20は異なる冗長リンクを使用することが可能になります。

PVSTの利点と欠点
  • 利点

    1. 各VLANで異なる最適なパスを選択できるため、トラフィックの負荷分散が可能。
    2. VLANごとに独立したスパニングツリーが存在するため、冗長性が向上し、ネットワークの耐障害性が強化される。
  • 欠点

    1. 各VLANごとにスパニングツリーを設定するため、設定が複雑になることがある。
    2. ルートブリッジ選出において、ネットワークの管理が複雑になることがある。

2. RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)について

RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)は、従来のSTP(Spanning Tree Protocol)の改善版です。RSTPは、スパニングツリーの収束時間(ネットワークが安定するまでの時間)を大幅に短縮することを目的としています。これにより、ネットワークの冗長性を保ちながら、より迅速に障害から回復することが可能になります。

RSTPの基本的な動作

RSTPは、従来のSTPにおけるタイムアウトを短縮し、リンクの状態変化を素早く認識できるように設計されています。RSTPでは、各ポートが次の3つの状態のいずれかに設定されます。

  1. Discove(発見)
  2. Learning(学習)
  3. Forwarding(転送)

これにより、ポートが迅速にスイッチングされ、トラフィックの流れを停止することなく、障害の回復が可能になります。

RSTPの利点と欠点
  • 利点

    1. 高速な収束
      RSTPは、障害発生時に収束を非常に迅速に行い、ネットワークの復旧を早めます。従来のSTPでは数十秒から数分かかる場合がありましたが、RSTPでは数秒で収束します。

    2. ポートの状態管理が簡単
      RSTPでは、各ポートが「Discarding」「Learning」「Forwarding」のいずれかの状態を持つだけであり、シンプルで効率的です。

  • 欠点

    1. 互換性の問題
      既存のSTPネットワークと完全に互換性があるわけではなく、RSTPを使用する場合には、RSTP対応の機器が必要です。
    2. 設定の理解が必要
      RSTPは、従来のSTPに比べて設定が若干複雑で、理解して運用するには経験が必要です。

3. PVSTとRSTPの比較

特徴 PVST RSTP
収束時間 高速だが、RSTPより遅い 非常に高速(数秒)
スパニングツリーの管理 VLANごとに個別に管理 グローバルに管理
冗長性 VLANごとに最適な冗長パスを提供 自動で最適なパスを選択
適用シナリオ 複数のVLANを持つ大規模ネットワーク 高速な回復が求められる環境
設定の難易度 やや複雑 シンプルだが理解が必要

4. 結論

PVSTとRSTPは、どちらもネットワークにおける冗長性と信頼性を向上させるための重要な技術ですが、それぞれの特性に応じて使用するシナリオが異なります。PVSTはVLANごとに独立したスパニングツリーを提供し、VLANごとの最適な冗長パスを利用できる点が特徴です。一方、RSTPは収束時間が非常に速く、リンク障害からの回復を迅速に行うことができるため、ネットワークが常に稼働していることを保証するのに最適です。適切なプロトコルを選択することで、より安定したネットワークを実現できます。

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