BlackはPythonコードの整形ツールであり、コードの可読性を保ちながら一貫性のあるスタイルに整形するためのツールです。Blackの目的は、Pythonコードを「一貫したスタイル」に整形することで、プログラマーがコードのフォーマットに悩む時間を削減し、コードレビューを効率的に行えるようにすることです。本記事では、Blackの特徴、インストール方法、設定方法、使用方法について詳しく解説します。
1. Blackの特徴と利点
Blackは、Pythonコードを自動で整形し、標準化されたスタイルガイドに従うツールです。Blackを使用すると、以下のような利点があります。

- 一貫性: Blackはすべてのコードに一貫したスタイルを適用し、コードの整形に関する議論を省略します。これにより、チーム全体でのコードスタイルに対する統一が取れます。
- 時間の節約: コード整形にかかる手動作業を減らし、コードの可読性を保ちながら作業を効率化します。
- PEP 8準拠: Blackは、PythonのスタイルガイドであるPEP 8に従いながら、さらに一貫したフォーマットを適用します。
- 自動化: コードレビュー時にフォーマットに関する問題を指摘する手間を省き、実際のロジックやアルゴリズムに集中できるようにします。
2. Blackのインストール方法
BlackはPythonのパッケージとしてインストールできます。以下の手順でインストールできます。
2.1 pipでのインストール
BlackはPyPI(Python Package Index)に登録されており、pip
コマンドで簡単にインストールできます。以下のコマンドを実行してください。
bashpip install black
2.2 インストールの確認
インストール後、以下のコマンドでBlackが正しくインストールされたか確認できます。
bashblack --version
これでBlackのバージョンが表示されれば、インストールは成功です。
3. Blackの基本的な使い方
Blackはコマンドラインツールとして動作します。基本的な使い方をいくつか紹介します。
3.1 ファイルの整形
特定のPythonファイルを整形するには、以下のコマンドを使用します。
bashblack ファイル名.py
たとえば、example.py
というファイルを整形したい場合、次のように実行します。
bashblack example.py
これで、example.py
ファイルはBlackのスタイルガイドに基づいて整形されます。
3.2 ディレクトリの整形
ディレクトリ内のすべてのPythonファイルを一括で整形したい場合は、ディレクトリ名を指定します。
bashblack ディレクトリ名/
たとえば、src
というディレクトリ内のすべてのファイルを整形する場合、次のように実行します。
bashblack src/
3.3 変更内容の確認
Blackを実行すると、ファイルが変更されます。変更内容を確認したい場合は、--diff
オプションを使用します。
bashblack --diff ファイル名.py
これにより、どの部分がどのように変更されたのかを確認できます。
4. Blackの設定オプション
Blackは多くの設定オプションを提供しており、ユーザーのニーズに応じて細かく設定を変更できます。以下はその一部です。
4.1 行の長さを変更する
Blackのデフォルトでは、行の長さは88文字に設定されています。しかし、必要に応じて行の長さを変更することができます。例えば、行の長さを100文字に設定するには、以下のコマンドを使用します。
bashblack --line-length 100 ファイル名.py
4.2 再帰的に整形する
Blackは再帰的にディレクトリ内のすべてのPythonファイルを整形することができます。これを実行するには、--recursive
オプションを使用します。
bashblack --recursive ディレクトリ名/
4.3 一時的に整形を無効にする
一部の変更を無視して整形したい場合は、--skip-string-normalization
オプションを使用できます。このオプションを使用すると、文字列のリテラルに対する正規化(例えば、シングルクォートとダブルクォートの変換)が無効になります。
bashblack --skip-string-normalization ファイル名.py
4.4 変更を確認してから実行
--check
オプションを使用すると、実際にファイルを変更するのではなく、変更が必要かどうかを確認することができます。このオプションは、CI(継続的インテグレーション)でBlackを実行する際に便利です。
bashblack --check ファイル名.py
5. Blackの統合
Blackは、IDEやエディタに統合して使うこともできます。例えば、VSCodeやPyCharmではBlackを設定することで、ファイルを保存するたびに自動で整形されるように設定することができます。統合方法については、それぞれのエディタの設定メニューやプラグインの設定を参照してください。
5.1 VSCodeでの設定
VSCodeでBlackを使用するには、まずBlackの拡張機能をインストールし、settings.json
ファイルで以下の設定を追加します。
json{
"python.formatting.provider": "black"
}
これで、VSCode内でPythonファイルを保存するたびにBlackが実行され、コードが整形されます。
6. Blackのベストプラクティス
Blackを使用する際のベストプラクティスは以下の通りです。
- コードスタイルの統一: プロジェクト全体でBlackを使用し、コードスタイルに一貫性を持たせましょう。これにより、コードレビューが効率的になり、チーム全体でのコーディング規約を簡単に守ることができます。
- CI/CDに統合: CI/CDパイプラインにBlackを統合し、コードの整形が常に適用されるようにしましょう。これにより、コードが常に最新のスタイルガイドに従っていることを確認できます。
- 自動化: Blackを自動化ツールとして活用し、手動でのフォーマット作業を減らしましょう。これにより、プログラマーはより本質的な部分に集中できます。
結論
Blackは、Pythonコードの整形を簡単にし、コードの可読性と一貫性を保つための強力なツールです。インストールが簡単であり、コマンドラインから手軽に使用できるため、開発者やチーム全体でのコードスタイルの統一を促進します。Blackを使用することで、コードレビューを効率化し、クリーンでメンテナンスしやすいコードを保つことができます。