開発運用

RHEL ファイル管理ガイド

Red Hat Enterprise Linux(RHEL)におけるファイルとディレクトリの管理は、システム管理者にとって非常に重要な作業です。この記事では、RHEL環境におけるファイルとディレクトリの基本的な操作から高度な管理手法まで、幅広く解説します。RHELは、Linuxディストリビューションの中でも商業サポートがあり、企業環境での使用が推奨されています。そのため、安定したファイルシステムと効率的なファイル操作の知識が不可欠です。

1. ファイルシステムの基本概念

RHELにおけるファイルシステムは、データを格納するための論理的なストレージ構造です。Linuxでは、全てのファイルはディレクトリツリー(ファイルシステムツリー)内に存在し、ルートディレクトリ「/」から始まります。このツリー構造では、ユーザーやシステムが生成するすべてのファイルやディレクトリが一元的に管理されます。

1.1. 主要なディレクトリ構造

RHELでは、以下のような主要なディレクトリがシステムにおいて使用されます:

  • / ルートディレクトリ:全てのファイルシステムの起点
  • /home ユーザーディレクトリ:各ユーザーの個人データが格納される
  • /etc 設定ファイル:システム設定やサービス設定ファイルが保存される
  • /var 可変データ:ログファイルや一時ファイルなどの変動するデータが格納される
  • /tmp 一時ファイル:システムでの一時的なファイル保存場所
  • /usr ユーザー用のアプリケーション:システムアプリケーションやライブラリ、ドキュメントが保存される

2. ファイルとディレクトリの基本操作

RHELにおけるファイル操作は、主にコマンドラインを通じて行います。以下では、基本的なコマンドを紹介します。

2.1. ファイルの作成

新しいファイルを作成するためには、touchコマンドを使用します。例えば、新しいテキストファイルを作成するには次のコマンドを入力します:

bash
touch /path/to/your/file.txt

2.2. ファイルのコピー

ファイルをコピーするには、cpコマンドを使用します。例えば、file.txtを別のディレクトリにコピーするには以下のようにします:

bash
cp /path/to/file.txt /path/to/destination/

2.3. ファイルの移動

ファイルを移動するには、mvコマンドを使用します。移動するだけでなく、ファイル名の変更にも利用できます:

bash
mv /path/to/file.txt /path/to/new/location/

2.4. ファイルの削除

不要なファイルを削除するには、rmコマンドを使用します。削除したいファイルを指定して実行します:

bash
rm /path/to/file.txt

ディレクトリを削除する場合は、-rオプションを使います:

bash
rm -r /path/to/directory

2.5. ファイルの閲覧

ファイルの内容を表示するには、catコマンドやlessコマンドを使用します。例えば、file.txtの内容を表示するには次のようにします:

bash
cat /path/to/file.txt

2.6. ファイルの検索

RHELでは、findコマンドを使用して、特定の条件に合ったファイルを検索できます。例えば、特定のディレクトリ内で名前に「log」を含むファイルを検索するには次のコマンドを使います:

bash
find /path/to/directory -name "*log*"

3. パーミッションと所有者の管理

RHELでは、ファイルやディレクトリに対してアクセス権限(パーミッション)と所有者(オーナー)を設定することが重要です。

3.1. パーミッションの確認

ls -lコマンドを使用すると、ファイルやディレクトリの詳細な情報を表示できます。その中にファイルのパーミッション情報も含まれています:

bash
ls -l /path/to/file.txt

出力例:

csharp
-rw-r--r-- 1 user group 1234 Feb 24 10:00 file.txt

この例では、最初の部分「-rw-r--r--」がファイルのパーミッションを示しています。

3.2. パーミッションの変更

ファイルのパーミッションを変更するには、chmodコマンドを使用します。例えば、ファイルに書き込み権限を与えるには以下のようにします:

bash
chmod +w /path/to/file.txt

また、読み取り、書き込み、実行の権限を変更することもできます。例えば、すべてのユーザーに実行権限を付与するには次のようにします:

bash
chmod a+x /path/to/file.txt

3.3. 所有者の変更

ファイルの所有者を変更するには、chownコマンドを使用します。例えば、file.txtの所有者をnewuserに変更するには次のようにします:

bash
chown newuser /path/to/file.txt

4. ディレクトリの操作

ディレクトリの管理はファイルの管理と密接に関連しており、ファイルの格納場所を整理するために重要です。

4.1. ディレクトリの作成

新しいディレクトリを作成するには、mkdirコマンドを使用します。例えば、/home/user/docsというディレクトリを作成するには次のようにします:

bash
mkdir /home/user/docs

4.2. ディレクトリの削除

ディレクトリを削除するには、rmdirコマンドを使用します。ディレクトリが空でない場合はrm -rコマンドで削除する必要があります:

bash
rm -r /path/to/directory

5. シンボリックリンクとハードリンク

シンボリックリンクやハードリンクを使用すると、ファイルやディレクトリの別名を作成できます。

5.1. シンボリックリンク

シンボリックリンクは、ターゲットファイルへのポインタです。ln -sコマンドを使って作成します:

bash
ln -s /path/to/target /path/to/symlink

5.2. ハードリンク

ハードリンクは、ファイルの物理的なコピーであり、同じデータブロックを指します。lnコマンドを使って作成します:

bash
ln /path/to/original /path/to/hardlink

6. ファイルシステムのバックアップと復元

データの損失を防ぐため、定期的なバックアップは非常に重要です。RHELでは、tarrsyncコマンドを使用して、ファイルやディレクトリのバックアップを作成できます。

6.1. tarを使ったバックアップ

tarコマンドは、ファイルやディレクトリをまとめてアーカイブし、圧縮するために使われます。以下は、/home/user/docsディレクトリをバックアップするコマンドの例です:

bash
tar -cvf backup.tar /home/user/docs

6.2. rsyncを使ったバックアップ

rsyncコマンドは、効率的にファイルの同期やバックアップを行います。例えば、リモートサーバーにファイルをバックアップする場合は以下のようにします:

bash
rsync -avz /home/user/docs user@remote:/backup/

7. システム全体のストレージ管理

RHELでは、ストレージの管理に関してもいくつかの高度なツールが提供されています。fdiskpartedlsblkなどのコマンドを使用して、ディスクやパーティションの管理を行います。

7.1. ディスクの確認

システムに接続されているディスクやパーティションを確認するには、lsblkコマンドを使用します:

bash
lsblk

7.2. パーティションの作成と管理

fdiskpartedを使用して新しいパーティションを作成したり、既存のパーティションを管理したりします。


RHELのファイルとディレクトリ管理は、システム運用において重要なスキルです。これらの基本的なコマンドと手法を駆使することで、効率的なシステム管理が可能になります。

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