ネットワーク

SCCMのディスカバリー機能解説

SCCM(System Center Configuration Manager)は、マイクロソフトが提供する企業向けのシステム管理ソフトウェアです。これにより、組織内のコンピュータやデバイスを一元的に管理することができます。SCCMの管理機能の一つに「ディスカバリー(Discovery)」があります。ディスカバリーは、ネットワーク内で管理対象のコンピュータやデバイスを検出するプロセスです。この機能を利用することで、SCCMは環境内に存在するすべてのデバイスを把握し、それらを管理対象として登録することができます。

この記事では、SCCMにおける「ディスカバリー」の種類について詳しく解説します。

1. Active Directory グローバルカタログディスカバリー

Active Directory(AD)グローバルカタログディスカバリーは、SCCMがADにアクセスして、ネットワーク上のコンピュータ情報を取得する方法です。このディスカバリーは、ネットワーク内で管理対象のコンピュータを検出するために最も一般的に使用されます。

  • 主な機能

    • Active Directory内に登録されているすべてのコンピュータを検出できます。

    • ADを利用するため、ドメインコントローラーと連携して動作します。

    • SCCMが管理するコンピュータの情報(IPアドレスやホスト名など)を自動的に取得できます。

  • 使用方法

    • 「ディスカバリーツール」設定から、グローバルカタログを使ってコンピュータを検索します。

    • 組織内でWindowsベースのシステムが多い場合に有効です。

2. ネットワークディスカバリー

ネットワークディスカバリーは、ネットワーク上に存在するすべてのデバイス(コンピュータ、プリンタ、ルーター、スイッチなど)を検出する方法です。SCCMが特定のサブネットをスキャンし、デバイスを発見します。

  • 主な機能

    • サブネットに接続されているすべてのIPアドレスをスキャンし、リストに追加します。

    • ネットワーク全体を検出するため、ワークグループやドメインに属さないデバイスも発見できます。

    • IPアドレスに基づいて、管理対象のデバイスを検出することができます。

  • 使用方法

    • 管理者が設定したサブネットの範囲内でネットワークディスカバリーを実行します。

    • 特に、ネットワーク内で動的に追加されたデバイスを素早く検出するために使用されます。

3. インターネットディスカバリー

インターネットディスカバリーは、SCCMがインターネット経由で接続されているデバイスを検出する方法です。これは主にモバイルデバイスやリモートワーカーが利用するインターネット接続を介して管理対象のデバイスを把握するために使用されます。

  • 主な機能

    • インターネット経由で接続されたコンピュータやデバイスを検出します。

    • ネットワークに接続していないデバイスも、インターネット経由でSCCMに登録できます。

  • 使用方法

    • インターネットに接続されているデバイスが管理対象に加わる際に使用されます。

    • 特に外部からリモートアクセスするユーザーを管理するために有用です。

4. リモートディスカバリー

リモートディスカバリーは、ネットワーク内で他の管理対象システムにリモート接続して、その情報を取得する方法です。このプロセスを通じて、管理者はローカルネットワーク上だけでなく、遠隔地にあるデバイスも検出することができます。

  • 主な機能

    • ネットワーク内にアクセスできないデバイスを遠隔から検出します。

    • 一部のデバイスがネットワークに物理的に接続されていない場合でも、リモートでスキャンできます。

  • 使用方法

    • 管理者がリモートアクセスを使用して、遠隔地にあるコンピュータを検出します。

5. ユーザーディスカバリー

ユーザーディスカバリーは、特定のユーザーアカウントに関連付けられたコンピュータを検出する方法です。ユーザーがどのコンピュータを使用しているかを追跡することができ、特にシンクライアントやノートパソコンの管理に役立ちます。

  • 主な機能

    • ユーザーごとに管理されているコンピュータを追跡します。

    • ユーザーが使用するデバイスの管理を簡素化します。

  • 使用方法

    • ユーザーアカウントとその使用しているコンピュータをディスカバーします。

6. ウェアハウスディスカバリー

ウェアハウスディスカバリーは、サーバーやデータセンター内で管理対象のデバイスを検出する方法です。このディスカバリーを使用することで、大規模なネットワークや複雑なインフラストラクチャの中で効率的にデバイスを管理することができます。

  • 主な機能

    • データセンター内の物理的なサーバーや仮想マシンを検出します。

    • データセンター内で動的に追加されたデバイスを即座に検出できます。

  • 使用方法

    • サーバーや仮想化環境で運用されているデバイスを管理する際に使用します。

結論

SCCMのディスカバリー機能は、ネットワーク内で管理対象のデバイスを効率的に検出するために重要な役割を果たします。これらのディスカバリー技術を駆使することで、企業はより効率的にインフラを管理し、リソースを最適化することができます。各ディスカバリー方法の特性を理解し、適切に活用することが、SCCMを最大限に活用するための鍵となります。

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