SharePointにおけるウェブサイトのバックアップと復元
SharePointは、企業のドキュメント管理、チームコラボレーション、プロジェクト管理を支援する強力なプラットフォームです。多くの企業が、SharePointを利用してファイル共有、情報の保存、業務の効率化を図っています。しかし、システム障害やユーザーエラー、予期しないデータ損失が発生する可能性があるため、バックアップと復元のプロセスは不可欠です。本記事では、SharePointにおけるウェブサイトのバックアップと復元方法について、完全かつ包括的に解説します。

1. SharePointサイトのバックアップ
バックアップは、SharePointサイトに格納されたすべてのデータを保護するために必要なステップです。バックアップにはいくつかの方法がありますが、主要なものは以下の通りです。
1.1. SharePoint Onlineでのバックアップ
SharePoint Onlineでは、Microsoftがデータのバックアップと復元を担当します。ユーザーが直接バックアップを作成することはできませんが、Microsoftは自動的にデータをバックアップし、災害復旧のための機能を提供しています。
ただし、ユーザーが特定のコンテンツのバックアップを作成したい場合は、次の方法を検討できます。
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OneDrive for Businessによるバックアップ: SharePoint Onlineのドキュメントライブラリやファイルは、OneDrive for Businessに同期することができます。これにより、ローカルのバックアップコピーを作成し、必要に応じて復元することができます。
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PowerShellスクリプトの利用: SharePoint Online PowerShellを使用することで、サイトの構成やコンテンツをエクスポートすることができます。これにより、サイト全体のバックアップを取得することが可能です。
1.2. SharePoint Serverでのバックアップ
SharePoint Serverを使用している場合、管理者はSharePoint Central Administrationを使用してバックアップを管理します。SharePoint Serverでは、完全バックアップや差分バックアップなど、さまざまなバックアップオプションがあります。
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完全バックアップ: 完全バックアップは、SharePointサイトのすべてのデータをバックアップします。これには、サイトのコンテンツ、設定、テンプレート、ドキュメントなどが含まれます。
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差分バックアップ: 差分バックアップは、前回のバックアップ以降に変更されたデータのみをバックアップします。これにより、バックアップの容量を節約し、復元時間を短縮することができます。
バックアップは、SharePoint Central Administration の「バックアップと復元」セクションから実行することができます。また、PowerShellコマンドを使用してもバックアップを取得することができます。
2. SharePointサイトの復元
バックアップからデータを復元することは、データ損失が発生した場合やサイトが破損した場合に非常に重要です。復元の方法は、バックアップの形式や使用しているSharePointのバージョンによって異なります。
2.1. SharePoint Onlineでの復元
SharePoint Onlineでは、Microsoftがデータ復元をサポートしています。ユーザーは、以下の方法で復元を試みることができます。
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サイトのごみ箱: SharePoint Onlineには「ごみ箱」機能があり、削除したアイテムを最大93日間復元できます。この期間内であれば、ユーザーはごみ箱からファイルやアイテムを簡単に復元できます。
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OneDriveからの復元: OneDriveで同期しているファイルは、OneDriveの復元機能を使用して復元できます。この機能では、ファイルのバージョン管理や以前のバージョンの復元が可能です。
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Microsoftサポートによる復元: データがごみ箱からも削除され、その他の方法で復元できない場合、Microsoftサポートに依頼して復元作業を行うことができます。
2.2. SharePoint Serverでの復元
SharePoint Serverでは、バックアップからデータを復元する手順は次の通りです。
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Central Administrationでの復元: SharePoint ServerのCentral Administrationからバックアップを復元することができます。「バックアップと復元」セクションで、復元したいバックアップファイルを選択し、復元のオプションを設定します。
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PowerShellを使った復元: PowerShellを使用して、特定のサイトやコンテンツデータベースを復元することも可能です。
Restore-SPFarm
コマンドを使用することで、指定したバックアップから復元を行うことができます。
3. 定期的なバックアップと復元のベストプラクティス
SharePointのバックアップと復元を効果的に管理するためには、いくつかのベストプラクティスに従うことが重要です。
3.1. 定期的なバックアップのスケジュール
バックアップは定期的に行うことが必要です。特に、重要な変更を加えた場合や新しいコンテンツが追加された場合には、バックアップを実行することをお勧めします。SharePoint Serverでは、中央管理からスケジュールされたバックアップを設定できます。
3.2. バックアップの保存場所
バックアップファイルは、安全な場所に保存することが重要です。クラウドストレージや外部のバックアップサービスを利用することで、災害時のデータ損失を防ぐことができます。
3.3. テスト復元
復元手順を定期的にテストしておくことは、実際のデータ損失やシステム障害が発生した際に迅速に復元できるようにするために非常に重要です。テスト復元を実施して、バックアップが正常に機能することを確認しましょう。
4. まとめ
SharePointにおけるバックアップと復元は、データの保護とビジネスの継続性を確保するために不可欠なプロセスです。特に、SharePoint OnlineとSharePoint Serverではバックアップ方法や復元手順が異なりますが、どちらも定期的なバックアップとテスト復元を実施することが重要です。これにより、万が一のデータ損失やシステム障害にも対応でき、ビジネスの継続性を保つことができます。