SharePointは、企業や組織のための強力なコラボレーションおよびドキュメント管理プラットフォームです。SharePointの導入には、適切な準備と設定が不可欠です。本記事では、SharePointを使用するためのウェブおよびアプリケーションサーバーの設定方法について、完全かつ包括的に解説します。この記事を読むことで、SharePointを導入し、運用するための基本的なステップを理解することができます。
1. システム要件の確認
SharePointをインストールする前に、システムが必要な要件を満たしていることを確認することが重要です。SharePointには、サーバー、データベース、クライアント、ネットワークインフラなど、いくつかのコンポーネントが必要です。

1.1 ハードウェア要件
- プロセッサ: 64ビットプロセッサ(最小4コア、推奨8コア以上)
- メモリ: 最低16GB(推奨32GB以上)
- ディスク: SSD推奨、少なくとも100GB以上の空き容量
1.2 ソフトウェア要件
- オペレーティングシステム: Windows Server 2019またはそれ以降のバージョン(デスクトップエディションはサポート外)
- Webサーバー: IIS(Internet Information Services)インストール済み
- データベース: SQL Server 2019またはそれ以降のバージョン
- .NET Framework: 4.7.2以上
2. サーバーの準備
SharePointのインストール前に、必要なサーバーの準備を行います。これには、オペレーティングシステムのインストール、ネットワーク設定、セキュリティ設定、必要なソフトウェアのインストールが含まれます。
2.1 オペレーティングシステムのインストール
Windows Serverをインストールし、最新のパッチを適用します。インストール後、セキュリティ設定を強化し、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを適切に設定します。
2.2 IIS(Internet Information Services)のインストール
SharePointはIISを使用するため、IISがインストールされていない場合は、サーバーマネージャーからインストールします。
- 「サーバーマネージャー」を開きます。
- 「役割と機能の追加」からIISを選択し、必要なコンポーネント(Webサーバー、ASP.NETなど)をインストールします。
2.3 SQL Serverのインストール
SharePointはSQL Serverをデータベースバックエンドとして使用します。適切なSQL Serverのバージョンをインストールし、インスタンスを構成します。インストール中に、SQL Server Management Studio(SSMS)をインストールすることも推奨します。
3. SharePointのインストール
SharePointをインストールするためには、SharePointインストールメディアを準備し、必要な手順を踏んでインストールを実行します。
3.1 インストールファイルの準備
Microsoftの公式サイトから最新のSharePointインストールファイルをダウンロードします。インストールファイルはISO形式で提供されるため、マウントして必要なファイルを準備します。
3.2 SharePointのインストール実行
インストールウィザードを起動し、指示に従ってインストールを進めます。インストールの途中で、使用する言語、インストールするコンポーネント(Webアプリケーション、検索サービスなど)を選択します。
- 「SharePoint Serverのインストール」を選択します。
- 必要なインストールオプションを選びます。例えば、アプリケーションサーバー、検索サービス、Webフロントエンドなど、構成に応じて適切なオプションを選択します。
3.3 サイトコレクションの作成
インストールが完了した後、SharePoint管理シェルを使って、最初のサイトコレクションを作成します。これは、SharePointサイトが実際に動作するための基本となる部分です。
powershellNew-SPWebApplication -Name "SharePoint Web Application" -ApplicationPool "SharePoint Web App Pool" -URL "http://sharepoint" -Port 80 New-SPSite -URL "http://sharepoint/sites/yoursite" -Template "STS#0" -Title "Your Site Collection"
4. SharePointの設定
SharePointのインストール後、いくつかの設定を行います。これには、サービスアカウントの設定、アクセス権の管理、Webアプリケーションの設定などが含まれます。
4.1 サービスアカウントの設定
SharePointは複数のサービスを実行するため、各サービスに対して適切なサービスアカウントを設定する必要があります。通常、以下のアカウントを設定します。
- SQL Serverサービスアカウント
- SharePoint管理サービスアカウント
- SharePointコンテンツサービスアカウント
4.2 セキュリティとアクセス管理
SharePointは、ユーザーアクセスを制御するための詳細な権限管理機能を提供します。ユーザーグループ、役割、アクセス許可レベルを設定することができます。また、Active Directoryとの統合も可能です。
4.3 サイト構成のカスタマイズ
SharePointでは、サイトのテーマやレイアウトをカスタマイズすることができます。サイト内で使用するWebパーツの追加や、リスト・ライブラリのカスタマイズも行うことができます。
5. 保守と運用
SharePointを導入した後は、定期的なメンテナンスと運用が必要です。これには、データバックアップ、パフォーマンスの監視、セキュリティの更新が含まれます。
5.1 バックアップとリストア
SharePointには、サイトコレクションやコンテンツデータベースをバックアップするためのツールが組み込まれています。これらのバックアップを定期的に実行し、万が一の障害に備えます。
5.2 パフォーマンス監視
SharePointのパフォーマンスを監視するためには、Microsoft提供の「SharePoint監視ツール」を使用します。これにより、サーバーの稼働状況やレスポンスタイムを監視し、ボトルネックを特定することができます。
5.3 セキュリティの更新
SharePointは定期的にセキュリティパッチが提供されます。これらを適時適切に適用することが、システムの安全性を保つためには欠かせません。
結論
SharePointのインストールと運用には、しっかりとした計画と準備が必要です。ハードウェア、ソフトウェア、セキュリティの設定を適切に行い、SharePointの機能を最大限に活用することで、組織のコラボレーションを効率化し、ドキュメント管理を強化することができます。また、導入後のメンテナンスやアップデートも重要な役割を果たします。