TOEFL(トーフル)とIELTS(アイエルツ)は、どちらも英語を母国語としない人々が英語能力を証明するために受ける試験ですが、試験内容や評価基準にいくつかの重要な違いがあります。本記事では、TOEFLとIELTSの違いについて、試験形式、目的、内容、評価方法、利用目的などを包括的に解説します。
1. 試験の概要と目的
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は、主にアメリカの大学や大学院に入学するための英語能力を測る試験です。これに対して、IELTS(International English Language Testing System)は、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、英語を公用語とする国々の大学や移民申請などでも広く利用されています。両試験とも英語の四技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)を測定しますが、目的に応じて必要な試験を選ぶことが一般的です。

2. 試験形式の違い
TOEFLは主にコンピュータベースで行われるインターネット型試験(iBT)です。これに対し、IELTSはペーパーベース(Academic試験)とコンピュータベース(Computer-Delivered試験)があります。特に、IELTSでは紙の試験とコンピュータ試験が選べる点が特徴です。
TOEFL:
- リスニング: 約60〜90分。講義形式と会話形式の音声を聞き、その内容に基づいて質問に答える形式。
- リーディング: 約60〜80分。大学レベルのテキストを読み、理解した内容に基づいて問題に回答する。
- ライティング: 約50分。エッセイを書き、与えられたトピックに基づいて意見を述べる。
- スピーキング: 約20分。コンピュータに向かってマイクで発言し、質問に回答する形式。
IELTS:
- リスニング: 約30分。4つのセクションに分かれており、講義や日常会話を聞き取って答える形式。
- リーディング: 約60分。学術的な内容と一般的な内容の両方が出題され、複数の質問形式に回答する。
- ライティング: 約60分。2つのタスクがあり、与えられたグラフや表の情報を基にレポートを作成するタスクと、意見を述べるエッセイを書くタスクが含まれる。
- スピーキング: 約11〜14分。インタビュアーとの対話形式で、日常的なトピックに関する質問に答える。
3. 評価方法とスコア
TOEFLのスコアは、各セクション(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)で0点から30点の範囲で評価され、合計スコアは120点満点です。これに対して、IELTSは各セクションで1点から9点のバンドスコアで評価され、全体のスコアも1から9の範囲になります。両試験とも、スコアが高いほど英語能力が優れていると見なされますが、IELTSは0.5点刻みで評価されるため、より細かいスコアリングが特徴です。
4. 試験時間
TOEFLの試験は約4時間かかりますが、IELTSは約2時間45分です。TOEFLは試験内容が多岐にわたるため、時間が長くなります。IELTSは、試験内容の一部が実際のインタビュー形式になるため、スピーキングセクションの時間も含めるとトータル時間はやや短くなります。
5. 試験内容の特徴
TOEFLとIELTSの最も大きな違いは、スピーキングテストの形式です。
TOEFL:
TOEFLのスピーキングセクションはコンピュータに向かって話す形式であり、自己表現力よりも情報を正確に伝える能力が重視されます。コンピュータに向かって話すため、受験者は自分の発言に対する即時のフィードバックを得ることができません。
IELTS:
IELTSのスピーキングセクションはインタビュー形式で、実際の試験官と対話を行います。この形式は、実際の会話力を測るため、より自然な会話の流れを意識した評価が行われます。対話形式であるため、受験者は直接的な反応を得ることができ、緊張感を和らげることができる場合があります。
6. 試験の準備と学習方法
TOEFLの試験では、学術的な内容や大学の授業に関連するトピックが多く出題されるため、アカデミックな英語力を中心に準備することが重要です。試験に向けた模擬試験やオンラインの練習問題が豊富にあります。
IELTSは、より多様な日常的なトピックや生活場面に関連する内容が出題されるため、実生活に即した英語力を強化することが求められます。特にスピーキングやライティングでは、日常的な英会話のスキルを磨くことが有効です。
7. 利用目的と選び方
TOEFLは、主にアメリカの大学や大学院に進学するための英語力を証明するために必要とされることが多いですが、その他の国々でも利用されています。一方、IELTSは、イギリスやオーストラリア、カナダなど英語圏の国々での学位取得や移住に必要とされることが多く、特にイギリスでの使用が広いです。
また、IELTSは、移民申請やビザ申請などの場面でも要求されることが多く、TOEFLよりも実生活に直結した英語力を求められる場合があります。
8. 結論
TOEFLとIELTSは、どちらも英語の能力を証明するための重要な試験ですが、目的に応じてどちらを受験するかを選ぶことが大切です。TOEFLは学術的な英語力を測るため、アメリカの大学への進学を希望する場合に適しています。一方、IELTSは、より多様な目的で利用できる試験であり、特にイギリスやオーストラリア、カナダでの学びや移住を目指す人々に適しています。
試験の形式、内容、評価方法の違いを理解し、どちらが自分に合っているかを検討することが重要です。