TOEFL(Test of English as a Foreign Language)とIELTS(International English Language Testing System)は、英語を母国語としない人々が英語の能力を測定するための最も広く認識されている2つのテストです。どちらも国際的な学術機関や移住機関において重要な資格として認められており、両者にはいくつかの顕著な違いがあります。本記事では、TOEFLとIELTSの違いについて、試験の形式、評価方法、受験の目的、そして受験者にとっての利便性に焦点を当てて解説します。
1. 試験の形式と構成
TOEFL:
TOEFLは主にインターネットベース(iBT)で実施され、受験者はコンピュータを使って試験を受けます。このテストは、英語のリスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4つのセクションで構成されています。各セクションの試験内容は以下のようになっています。
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リスニング: アカデミックな内容の講義やディスカッションを聴き、その内容に基づいて質問に答えます。
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リーディング: 3~4つのアカデミックな文章を読み、それに関する質問に答えます。
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スピーキング: コンピュータに向かってマイクを使い、与えられたテーマに対して意見を述べます。
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ライティング: 2つのエッセイを書く課題が出題されます。一つは与えられた文章を基に論じるタイプ、もう一つは自身の意見を述べるタイプです。
IELTS:
IELTSは、主にペーパーベースまたはコンピュータベースで受験できますが、リスニングとスピーキングセクションは常に対面で行われます。IELTSも4つのセクションで構成されており、その内容は以下の通りです。
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リスニング: 4つの録音を聴き、それに基づいて質問に答えます。内容は日常的な会話からアカデミックな講義まで多岐にわたります。
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リーディング: 3つの文章を読み、それに関する質問に答えます。アカデミックモジュールとジェネラルトレーニングモジュールがあり、後者は主に移住などの目的で利用されます。
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スピーキング: 対面でのインタビュー形式で行われ、試験官と1対1で会話をします。
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ライティング: 2つのエッセイを書く課題があります。一つは与えられた情報に基づいてデータを分析し、もう一つは自分の意見を述べるタイプです。
2. 評価基準とスコア
TOEFL:
TOEFLのスコアは各セクションが30点満点で、全体で120点満点となります。スコアの範囲は0から120点で、各セクションのスコアが独立して評価されます。多くの大学や移住機関では、80~100点以上を求めることが一般的です。
IELTS:
IELTSのスコアは1から9のバンドスコアで評価され、各セクションについて個別にスコアが付けられ、全体のスコアはその平均になります。例えば、スコアが「6.5」の場合、各セクションのスコアがそれに相当します。大学や移住機関では、通常6.0~7.5を要求することが多いです。
3. 試験の目的と受験者の選択
TOEFL:
TOEFLは、主にアメリカやカナダを中心にしたアカデミックな目的で利用されます。特に、英語を使用する大学に進学するために必要な英語力を証明するための試験として最も多く利用されています。そのため、アメリカの大学などでは、TOEFLスコアが入学に必要な要件として設定されていることが多いです。
IELTS:
IELTSは、アカデミックな目的だけでなく、移住や就職のためにも利用されます。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、英語圏の多くの国で認知されており、移住ビザ申請や就職活動にも使用されることが多いです。また、アメリカの一部の大学でもIELTSが認められています。
4. スピーキングセクションの違い
TOEFL:
TOEFLのスピーキングセクションは、コンピュータを通じて行われるため、受験者は試験官と直接対話することはありません。コンピュータに向かって質問に答える形式です。このため、対面のコミュニケーションに不安がある受験者には有利に感じられることがあります。
IELTS:
IELTSのスピーキングセクションは、試験官と直接対面して行われます。このため、実際の会話に近い形で英語のコミュニケーション能力を試されることになります。対面のインタビュー形式を好む受験者にはこちらが適していると言えるでしょう。
5. 受験者の選択に影響を与える要因
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地域と目的: TOEFLはアメリカを中心とする大学への進学に有利ですが、IELTSはイギリス、オーストラリア、カナダなどへの移住や就職、または学術目的に幅広く利用されています。
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試験形式: コンピュータを使って受験したい場合や、試験時間を短縮したい場合にはTOEFLが適しています。一方で、対面でのインタビューを希望する受験者にはIELTSが向いています。
結論
TOEFLとIELTSは、どちらも優れた英語能力を証明するための試験ですが、それぞれに特徴があります。受験者は自分の目的や受験する場所、試験の形式を考慮して、どちらの試験を受けるかを選ぶべきです。どちらの試験も世界中で認知されており、高い英語能力を証明するための有力なツールとなるでしょう。
