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Tradosの翻訳メモリ設定ガイド

トラドス(Trados)は、プロフェッショナルな翻訳作業を効率化するための翻訳支援ツール(CATツール)の一つで、特に翻訳メモリ(TM)機能が優れています。この記事では、Tradosの使用開始方法と翻訳メモリの設定方法について、完全かつ包括的に解説します。

Tradosのインストールと初期設定

まず、Tradosを使用するためには、公式ウェブサイトからソフトウェアを購入し、ダウンロードする必要があります。インストール後、アカウントにサインインすることで、すぐに使用を開始できます。初めてTradosを開くと、初期設定画面が表示されます。この設定では、言語の選択や翻訳メモリの設定など、重要な項目を決定することができます。

プロジェクトの作成

Tradosでは、翻訳作業を「プロジェクト」として管理します。新しいプロジェクトを作成するためには、次のステップを踏みます:

  1. プロジェクトの新規作成:メイン画面から「新しいプロジェクト」を選択します。
  2. 翻訳ファイルのインポート:翻訳したいドキュメント(Word、Excel、PDFなど)をインポートします。
  3. ターゲット言語の設定:翻訳する言語を選択します。
  4. 翻訳メモリの設定:プロジェクトに翻訳メモリを関連付けます。これは後述する翻訳メモリの活用に直結します。

翻訳メモリの設定と使用方法

Tradosの最大の特徴は、その強力な翻訳メモリ(TM)機能です。翻訳メモリは過去に翻訳した内容を保存し、それを再利用することで、翻訳作業の効率を飛躍的に向上させます。翻訳メモリを設定するためには、以下の手順を踏みます。

1. 新しい翻訳メモリの作成

  1. メモリの管理画面を開く:Tradosのメイン画面で「翻訳メモリ」オプションを選択します。
  2. 新規メモリの作成:新しい翻訳メモリを作成するためには「新規作成」ボタンをクリックします。
  3. メモリの設定:作成時に、メモリ名、言語ペア(例えば、日本語から英語)、および保存場所を指定します。

2. 既存の翻訳メモリのインポート

他のプロジェクトで使用した翻訳メモリがある場合、それをインポートすることで、過去の翻訳内容を再利用できます。インポート方法は以下の通りです。

  1. 翻訳メモリのインポート:メモリ管理画面で「インポート」ボタンをクリックします。
  2. ファイルの選択:インポートする翻訳メモリのファイルを選択します。

3. 翻訳メモリの最適化と管理

翻訳メモリは時間とともに成長し、膨大なデータが蓄積されます。しかし、不要なエントリや古い翻訳を削除することで、メモリの効率を保つことができます。

  1. 最適化ツールの使用:Tradosにはメモリを最適化するためのツールが組み込まれています。これにより、冗長なエントリや重複を削除できます。
  2. 手動でエントリの削除:翻訳メモリを手動で編集し、不要なエントリを削除することも可能です。

翻訳作業の開始

翻訳メモリを設定した後、実際に翻訳作業を開始できます。Tradosでは、インポートしたファイルをエディタ画面で開き、翻訳作業を行います。翻訳エディタには次のような便利な機能があります。

  • セグメント化された翻訳:Tradosは文書を「セグメント」と呼ばれる単位に分割します。これにより、翻訳メモリが適用されるべき部分を明確にすることができます。
  • 翻訳メモリの提案:以前に翻訳したことがあるフレーズや文を翻訳メモリから提案します。これにより、作業のスピードが大幅に向上します。
  • 自動翻訳の統合:TradosはGoogle翻訳やDeepLなどの自動翻訳ツールとも連携しています。これにより、さらに効率的に翻訳を進めることができます。

翻訳メモリの効果的な活用方法

  1. 一致率の確認:Tradosは、翻訳メモリの一致率(Match Rate)を表示します。完全一致(100%)から部分一致(例えば、85%)まで、どの程度一致するかが分かるため、どの部分に手を加えるべきかが明確になります。
  2. 新しい翻訳メモリの作成:特定のプロジェクトやクライアント用に翻訳メモリを分けて作成することで、管理がしやすくなります。
  3. 品質保証機能の活用:Tradosには品質保証ツールが備わっており、誤訳や不一致を検出するのに役立ちます。

まとめ

Tradosは強力な翻訳支援ツールで、翻訳メモリを活用することで、翻訳作業の効率を大幅に向上させることができます。最初の設定やメモリの作成は少し手間がかかるかもしれませんが、その後の作業をスムーズに進めるためには不可欠です。翻訳メモリを適切に管理し、効率的に使用することで、より高品質な翻訳を短時間で提供することが可能となります。

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