開発運用

Ubuntu 14.04から16.04へのアップグレード

Ubuntu 14.04 LTS から 16.04 LTS へのアップグレードは、システム管理者にとって非常に重要な作業の一つです。この作業を正しく行うことで、安定したセキュリティの更新、最新のソフトウェア、パフォーマンスの向上が得られます。以下に、Ubuntu 14.04 LTS から 16.04 LTS へのアップグレードを完全かつ包括的に解説します。

1. アップグレードの準備

1.1 バックアップの作成

アップグレードを行う前に、重要なデータや設定ファイルをバックアップすることは非常に重要です。万が一、アップグレード中に問題が発生した場合でも、元の状態に戻すことができます。

  • バックアップツールの使用: Ubuntuには標準で「Déjà Dup(デジャ・デュップ)」というバックアップツールが用意されています。これを使って、ホームディレクトリやシステム設定ファイルをバックアップします。
  • 外部メディアへのバックアップ: データが重要である場合、外付けHDDやUSBメモリにデータを保存しておくこともおすすめです。

1.2 システムの更新

アップグレード前に、まずUbuntu 14.04 LTSを最新の状態に更新します。これにより、システムが最適な状態でアップグレードを迎えることができます。

bash
sudo apt update sudo apt upgrade sudo apt dist-upgrade

これらのコマンドを順番に実行し、必要なパッケージの更新を行います。これによって、最新のセキュリティアップデートやバグ修正が適用されます。

1.3 不要なパッケージの削除

不要なパッケージを削除して、システムのクリーンアップを行います。次のコマンドで不要なパッケージを削除できます。

bash
sudo apt autoremove

これにより、使われていないパッケージや依存関係が削除され、ディスクスペースを確保できます。

2. アップグレードツールのインストール

Ubuntuでは、do-release-upgrade というコマンドを使って、次のLTSバージョンにアップグレードすることができます。このコマンドを使用するには、まずアップグレードツールをインストールする必要があります。

bash
sudo apt install update-manager-core

インストール後、設定ファイルが適切に設定されていることを確認します。/etc/update-manager/release-upgrades ファイルを開き、Prompt の値が lts になっていることを確認してください。

bash
sudo nano /etc/update-manager/release-upgrades

ファイル内の Prompt=lts の行がコメントアウトされていないか確認します。これにより、LTSバージョン間でのアップグレードが可能になります。

3. アップグレードの実行

準備が整ったら、いよいよアップグレードを開始します。以下のコマンドを実行して、アップグレードプロセスを開始します。

bash
sudo do-release-upgrade

コマンドを実行すると、システムはUbuntu 16.04 LTSへのアップグレードを開始します。アップグレード中に、いくつかの確認メッセージが表示されることがあります。ここでは、以下のような点に注意して進めていきます。

3.1 パッケージの変更

新しいバージョンでは、一部のパッケージが削除されたり、名前が変更されたりすることがあります。これらの変更について確認し、必要に応じて新しいパッケージをインストールするか、古いパッケージを削除するかを選択します。

3.2 設定ファイルの確認

システムの設定ファイルに変更が加わることがあります。/etc/ 配下の設定ファイルが変更された場合、アップグレード後に手動で確認し、必要に応じて調整を加えます。

4. アップグレード後の確認と調整

アップグレードが完了したら、いくつかの確認作業を行うことが重要です。

4.1 システムの再起動

アップグレードが完了したら、システムを再起動して新しい設定が反映されるようにします。

bash
sudo reboot

4.2 依存関係の確認

アップグレード後、依存関係に問題がないかを確認します。dpkg コマンドを使用して、依存関係のエラーがないかチェックします。

bash
sudo dpkg --configure -a sudo apt -f install

これにより、未解決の依存関係があれば修正されます。

4.3 必要なパッケージのインストール

新しいUbuntu 16.04 LTSに合わせて、必要なパッケージをインストールします。例えば、Ubuntu 16.04では新しいバージョンのGNOMEが使われることがありますので、GNOME関連のパッケージをインストールすることを考慮しましょう。

bash
sudo apt install ubuntu-gnome-desktop

また、特定のアプリケーションやツールが必要な場合も、その都度インストールを行います。

5. 注意点とトラブルシューティング

アップグレードにはいくつかのリスクがあります。特に、サーバー環境や重要な作業中のシステムでは、慎重に進める必要があります。以下は、アップグレード中に直面する可能性のある問題とその解決方法です。

5.1 ネットワークの問題

アップグレード中にインターネット接続が途切れると、アップグレードが中断されることがあります。これを避けるために、安定したネットワーク接続を確保することが重要です。

5.2 アプリケーションの不具合

新しいバージョンにおいて、いくつかのアプリケーションが正常に動作しない場合があります。これを解決するためには、アプリケーションのアップデートを確認するか、再インストールを試みます。

5.3 カスタム設定のバックアップ

特にサーバー用途でカスタム設定を行っている場合、その設定がアップグレードによって上書きされることがあります。設定ファイルを事前にバックアップしておくことで、必要な設定を復元できます。

6. まとめ

Ubuntu 14.04 LTSから16.04 LTSへのアップグレードは、シンプルで効率的に行えるプロセスですが、適切な準備と確認作業が欠かせません。システムをアップデートすることにより、セキュリティの強化や新しい機能を利用できるようになり、システムのパフォーマンス向上にもつながります。アップグレード作業を計画的に実行し、問題が発生した際には適切に対処できるように準備をしておきましょう。

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