ownCloudは、ユーザーが自分のクラウドストレージサーバーをセットアップして、ファイルを同期、共有、および管理するためのオープンソースのソフトウェアです。ownCloudは、個人または企業のニーズに合わせて、セキュアでスケーラブルなクラウドストレージソリューションを提供します。この記事では、Ubuntu 16.04サーバーにownCloudをインストールし、設定する手順を詳細に説明します。
1. 必要なパッケージのインストール
ownCloudをインストールする前に、必要なパッケージをUbuntuサーバーにインストールする必要があります。これには、Webサーバー(Apache)、データベース(MySQLまたはMariaDB)、およびPHPが含まれます。
1.1. パッケージの更新
まず、Ubuntuサーバーを最新の状態に更新します。以下のコマンドを実行して、システムのアップデートを行います。
bashsudo apt update sudo apt upgrade
1.2. Apache Webサーバーのインストール
ownCloudはApache Webサーバー上で動作します。次のコマンドでApacheをインストールします。
bashsudo apt install apache2
インストールが完了したら、Apacheを起動し、自動起動を有効にします。
bashsudo systemctl start apache2
sudo systemctl enable apache2
1.3. MariaDBデータベースのインストール
次に、ownCloudのデータを保存するためのデータベースをインストールします。MariaDBはMySQLの代替であり、安定性とパフォーマンスが優れています。
bashsudo apt install mariadb-server mariadb-client
インストール後、MariaDBサービスを起動し、自動起動を有効にします。
bashsudo systemctl start mariadb
sudo systemctl enable mariadb
次に、MariaDBの設定を行います。セキュリティ設定を強化するために、次のコマンドを実行します。
bashsudo mysql_secure_installation
プロンプトに従って、ルートパスワードの設定やその他のセキュリティ設定を行います。
1.4. PHPのインストール
ownCloudにはPHPが必要です。必要なPHPパッケージをインストールします。
bashsudo apt install php php-cli php-fpm php-mysql php-xml php-mbstring php-curl php-zip php-gd php-json
これにより、ownCloudが正常に動作するために必要なすべてのPHPモジュールがインストールされます。
2. MariaDBデータベースの設定
ownCloudのデータベースを作成し、データベースユーザーを設定します。以下のコマンドを実行して、MariaDBのインタラクティブシェルに入ります。
bashsudo mysql -u root -p
次に、ownCloud用のデータベースとユーザーを作成します。
sqlCREATE DATABASE owncloud;
CREATE USER 'ownclouduser'@'localhost' IDENTIFIED BY 'yourpassword';
GRANT ALL PRIVILEGES ON owncloud.* TO 'ownclouduser'@'localhost';
FLUSH PRIVILEGES;
EXIT;
'yourpassword'
は、安全なパスワードに置き換えてください。
3. ownCloudのダウンロードとインストール
ownCloudの最新バージョンをownCloudの公式ウェブサイトからダウンロードします。
3.1. ownCloudのダウンロード
次のコマンドを使用して、ownCloudの最新バージョンをダウンロードします。
bashcd /var/www/
sudo wget https://download.owncloud.org/community/owncloud-complete-archive.tar.bz2
3.2. ownCloudの解凍
ダウンロードが完了したら、tarコマンドを使用してファイルを解凍します。
bashsudo tar -xjf owncloud-complete-archive.tar.bz2
解凍後、ownCloudのディレクトリ名をowncloud
に変更します。
bashsudo mv owncloud-complete-archive owncloud
3.3. ディレクトリの権限設定
ownCloudのディレクトリに適切な権限を設定します。
bashsudo chown -R www-data:www-data /var/www/owncloud
4. Apacheの設定
次に、Apacheの設定を行います。ownCloud用の新しい仮想ホストを設定します。
4.1. 仮想ホストの設定ファイルの作成
以下のコマンドで、Apacheの仮想ホスト設定ファイルを作成します。
bashsudo nano /etc/apache2/sites-available/owncloud.conf
設定ファイルに以下の内容を追加します。
apache
DocumentRoot /var/www/owncloud ServerName your_domain_or_ip Options +FollowSymLinks AllowOverride All Require all granted ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/error.log CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/access.log combined
your_domain_or_ip
は、自分のサーバーのIPアドレスまたはドメイン名に置き換えてください。
4.2. mod_rewriteの有効化
ownCloudでは、mod_rewrite
モジュールが必要です。このモジュールを有効にするには、次のコマンドを実行します。
bashsudo a2enmod rewrite
4.3. サイトの有効化
作成した仮想ホスト設定を有効にするため、次のコマンドを実行します。
bashsudo a2ensite owncloud.conf
4.4. Apacheの再起動
設定を反映させるため、Apacheを再起動します。
bashsudo systemctl restart apache2
5. ownCloudのセットアップ
ブラウザを開き、http://your_domain_or_ip
にアクセスします。ownCloudのセットアップ画面が表示されます。
5.1. 管理者アカウントの作成
最初に表示される画面で、ownCloudの管理者アカウントを作成します。適切なユーザー名とパスワードを入力します。
5.2. データベースの設定
次に、ownCloudが使用するデータベースの設定を行います。データベースタイプには「MySQL/MariaDB」を選択し、以下の情報を入力します。
- データベース名:
owncloud
- ユーザー名:
ownclouduser
- パスワード: データベースユーザーのパスワード
- データベースホスト:
localhost
入力後、「完了」をクリックしてインストールを完了させます。
6. SSL(HTTPS)の設定(オプション)
セキュリティを強化するため、ownCloudをHTTPSで保護することをお勧めします。Let’s Encryptを使用してSSL証明書を取得し、Apacheで設定する方法は以下の通りです。
6.1. Certbotのインストール
Let’s Encryptの証明書を取得するために、Certbotをインストールします。
bashsudo apt install certbot python-certbot-apache
6.2. SSL証明書の取得
次のコマンドで証明書を取得します。
bashsudo certbot --apache
プロンプトに従って、証明書をインストールし、HTTPSを有効にします。
7. 終わりに
これで、ownCloudがUbuntu 16.04サーバーにインストールされ、設定が完了しました。ownCloudを使用して、ファイルのアップロード、同期、共有などを行うことができます。また、サーバーのパフォーマンスやセキュリティを定期的に監視し、アップデートを適用することをお勧めします。