WBC(ホワイトブラッドセル:白血球)は、私たちの体の免疫系の一部として、感染症と戦う重要な役割を果たします。WBCの分析は、血液検査の一環として行われ、白血球の数や種類を調べることで、体内の健康状態を把握する手助けになります。この記事では、WBCの重要性、測定方法、異常値が示す可能性のある病気、そしてその解釈について詳しく説明します。
WBCの基本的な役割
白血球は、体内に侵入した細菌、ウイルス、真菌、その他の病原体を識別し、攻撃することで免疫反応を引き起こします。白血球にはいくつかの種類があり、それぞれが特定の役割を果たしています。主な白血球の種類には、以下のものがあります:

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好中球(Neutrophils):
好中球は最も多く存在する白血球で、細菌や真菌と戦う重要な役割を担っています。体内で炎症反応が起きると、好中球は最初に現れて感染源を攻撃します。 -
リンパ球(Lymphocytes):
リンパ球は、ウイルスやがん細胞に対する免疫応答に関与します。リンパ球には、B細胞、T細胞、自然免疫細胞(NK細胞)があります。B細胞は抗体を産生し、T細胞は感染細胞を直接攻撃します。 -
単球(Monocytes):
単球は、感染を発見したり、死んだ細胞や異物を取り込んで消化する役割を持っています。単球は、好中球に比べて数は少ないですが、重要な免疫機能を果たします。 -
好酸球(Eosinophils):
好酸球は、主に寄生虫感染やアレルギー反応に関与しています。アレルギー反応では、特にアトピーや喘息などの症状に関わることがあります。 -
好塩基球(Basophils):
好塩基球は、アレルギー反応に関連するヒスタミンを放出します。これにより血管の拡張や炎症が引き起こされます。
WBCの測定方法
WBCの測定は、通常の血液検査(CBC:Complete Blood Count)で行われます。この検査は、血液のサンプルを採取し、顕微鏡下で白血球の数を数えることで行われます。血液検査は、白血球の総数を「WBC数」として報告し、その結果を他の血液成分(赤血球、血小板など)と合わせて評価します。白血球の正常値は一般的に、1立方ミリメートルあたり4,000~11,000個とされていますが、これは年齢や健康状態によって異なる場合があります。
WBCの異常値とその意味
WBCの異常値は、体内での何らかの健康問題を示す可能性があります。以下は、WBCの異常値が示唆するいくつかの病気です。
1. 高WBC数(白血球増加症)
白血球が正常範囲を超えて増加することを「白血球増加症」と呼びます。これには以下のような原因があります:
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感染症:細菌、ウイルス、真菌などの感染症に対する免疫反応として白血球が増加します。
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炎症性疾患:自己免疫疾患や炎症性疾患(関節リウマチ、クローン病など)によって白血球が増加することがあります。
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がん:特に白血病などの血液のがんでは、白血球の異常な増加が見られることがあります。
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ストレス反応:手術後や身体的なストレスにより、一時的に白血球数が増えることがあります。
2. 低WBC数(白血球減少症)
白血球数が正常範囲よりも低くなることを「白血球減少症」と呼びます。低いWBC数は以下の原因で発生することがあります:
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ウイルス感染:インフルエンザやHIVなど、一部のウイルス感染症は白血球数を減少させることがあります。
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骨髄の障害:骨髄は白血球を生成する場所ですが、骨髄の障害や癌(骨髄腫や白血病)などによって白血球の産生が妨げられることがあります。
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薬剤の副作用:一部の薬剤(抗がん剤や免疫抑制剤など)は、白血球の生成を抑制することがあります。
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栄養不良:ビタミンB12や葉酸の不足は、白血球の数を減少させる原因となります。
WBCの異常の解釈
WBCの数が異常値を示す場合、その原因を特定することが非常に重要です。医師は、患者の症状、病歴、その他の血液検査結果をもとに、異常なWBC数が示す病気を診断します。また、WBCの異常は必ずしも重篤な病気を示すものではなく、例えば感染症に対する一時的な免疫反応として一過性に増加することもあります。
結論
WBCは免疫系の重要な構成要素であり、体内の健康状態を反映する指標となります。WBCの測定は、病気の早期発見や治療効果のモニタリングに役立ちます。異常なWBC数は感染症や炎症、がんなどの病気の兆候である可能性があり、医師による詳細な評価と診断が必要です。定期的な健康診断でWBCをチェックすることは、早期の問題発見に繋がります。