WordPressは、世界中で広く使用されているコンテンツ管理システム(CMS)であり、その柔軟性と使いやすさにより、多くのユーザーに支持されています。WordPressには、ユーザーの管理を効率的に行うための「ユーザーの役割(ロール)」と「権限(パーミッション)」がしっかりと設定されており、それによりサイトのセキュリティや運営効率を高めることができます。この記事では、WordPressの「役割」と「権限」について、詳細かつ包括的に解説していきます。
1. WordPressのユーザー役割とは?
WordPressでは、ユーザーに異なる「役割」を与えることで、それぞれのユーザーがサイト内でどのような作業を行えるかを制限または許可します。これにより、サイト管理者は各ユーザーがアクセスできる範囲を細かくコントロールできます。デフォルトで設定されている役割は以下の通りです。

1.1 管理者(Administrator)
管理者は、WordPressサイトの最も強力な権限を持つユーザーです。管理者はサイト全体の設定、テーマの変更、プラグインのインストール、投稿やページの管理、ユーザーの追加や削除、バックアップの作成など、あらゆる操作を行うことができます。サイトの完全な管理を担当する役割です。
1.2 編集者(Editor)
編集者は、サイト内のすべてのコンテンツを管理する権限を持っています。彼らは投稿やページの作成、編集、公開を行うことができ、他のユーザーが作成したコンテンツにもアクセスして編集が可能です。ただし、テーマやプラグインの設定など、サイトのシステム全体に関わる管理は行えません。
1.3 投稿者(Author)
投稿者は、自分が作成した投稿を管理する権限を持つユーザーです。投稿者は自分の投稿を作成し、編集し、公開することができますが、他のユーザーの投稿にはアクセスできません。また、ページの作成や、サイト全体の設定を変更することもできません。
1.4 寄稿者(Contributor)
寄稿者は、自分の投稿を作成し保存することはできますが、公開することはできません。投稿者と異なり、寄稿者は投稿を公開する権限がないため、編集者や管理者に公開を依頼する必要があります。これは、複数のライターが関与するサイトなどで有用です。
1.5 購読者(Subscriber)
購読者は、サイト上のコンテンツを閲覧するだけの最も制限された役割を持つユーザーです。彼らは自分のプロフィールを管理することはできますが、コンテンツの作成や編集は一切できません。主にサイトにログインしてニュースレターの購読やコメントを行うユーザーに適しています。
2. WordPressの役割ごとの権限
各ユーザーの役割には、それぞれ異なる「権限」が設定されています。これにより、ユーザーが実行できるアクションが決まります。以下に、主な役割ごとの権限について説明します。
2.1 管理者(Administrator)の権限
管理者は、WordPressサイトのあらゆる設定にアクセスし、変更することができます。具体的には、以下の権限があります:
- サイトの設定やテーマの変更
- プラグインのインストールや削除
- 投稿、ページ、コメントの管理
- ユーザーの追加、削除、役割変更
- サイトのバックアップと復元
2.2 編集者(Editor)の権限
編集者は、サイト内のすべてのコンテンツに対して完全な管理権限を持っていますが、サイト全体の設定にアクセスすることはできません。具体的な権限は以下の通りです:
- 自分を含むすべての投稿の作成、編集、公開
- ページの作成、編集、公開
- コメントの管理
- メディア(画像や動画)の管理
2.3 投稿者(Author)の権限
投稿者は、自分の投稿を作成、編集、公開する権限を持ちます。具体的な権限は以下の通りです:
- 自分の投稿の作成、編集、公開
- コメントの管理(自分が投稿したもののみ)
2.4 寄稿者(Contributor)の権限
寄稿者は、投稿を作成することはできますが、公開する権限は持っていません。具体的な権限は以下の通りです:
- 自分の投稿の作成、編集(公開はできません)
- コメントの管理(自分が投稿したもののみ)
2.5 購読者(Subscriber)の権限
購読者は、最も制限された権限を持つユーザーです。具体的な権限は以下の通りです:
- プロフィールの管理(名前やパスワードの変更など)
- コンテンツの閲覧
- コメントの投稿(サイトがコメント機能を有効にしている場合)
3. 権限のカスタマイズ
WordPressでは、デフォルトの役割と権限に加えて、管理者が各ユーザーの役割をカスタマイズすることもできます。これにより、サイトのニーズに応じた柔軟なユーザー管理が可能になります。例えば、特定のユーザーに特定の権限を付与したり、逆に不要な権限を削除したりすることができます。
これを実現するために、「User Role Editor」などのプラグインを使うと、権限の管理が簡単になります。このプラグインを使うと、管理者は詳細な権限設定が可能となり、役割ごとのアクセス範囲を一層細かく調整できます。
4. 役割と権限のセキュリティへの影響
ユーザーの役割と権限を適切に設定することは、サイトのセキュリティを確保するためにも非常に重要です。不適切に設定された権限は、サイトの管理者以外のユーザーに不必要な操作を許してしまい、悪意のある攻撃者がサイトにアクセスするリスクを高める可能性があります。
例えば、管理者権限を持つユーザーが誤って悪意のあるプラグインをインストールしたり、重要な設定を変更したりすることを防ぐために、管理者権限を持つユーザーは最小限に抑えるべきです。また、投稿者や編集者など、コンテンツに関連する権限を持つユーザーには、必要最低限の権限のみを付与することが推奨されます。
5. まとめ
WordPressのユーザー役割と権限は、サイトの管理を効率化し、セキュリティを強化するために非常に重要です。デフォルトで提供されている役割に加え、必要に応じて役割や権限をカスタマイズすることで、より細かくアクセス管理を行うことができます。ユーザーごとに適切な権限を付与し、不要な権限を削除することで、安全で効率的なサイト運営が可能となります。
WordPressを使用している場合は、ユーザーの役割と権限を慎重に設定し、サイトのセキュリティを維持することが大切です。