WordPress のブログファイルを FTP を使用して転送する方法は、比較的簡単で、サーバーの管理やバックアップ、トラブルシューティング時に非常に役立ちます。FTP(File Transfer Protocol)は、ファイルをサーバー間で転送するためのプロトコルで、特に WordPress のようなコンテンツ管理システム(CMS)では、インストール、アップデート、バックアップの際に頻繁に使用されます。
この記事では、FTP を使って WordPress のブログファイルを転送するためのステップを完全かつ包括的に説明します。
1. FTP クライアントの選定とインストール
FTP を使用するには、まず FTP クライアントをインストールする必要があります。一般的に使用される FTP クライアントには、次のようなものがあります。
- FileZilla: 無料でオープンソースの FTP クライアント。Windows、Mac、Linux で利用可能。
- Cyberduck: Mac と Windows 用の無料 FTP クライアント。インターフェースが使いやすく、初心者にも適しています。
- WinSCP: 主に Windows 用で、使いやすさと機能が豊富な FTP クライアント。
これらの FTP クライアントは、公式サイトからダウンロードし、インストールすることができます。例えば、FileZilla の場合は、公式サイト(https://filezilla-project.org/)からインストーラをダウンロードして、インストールします。
2. FTP アカウントの情報を取得
次に、FTP を使用するために必要な情報をホスティングプロバイダーから取得します。通常、以下の情報が必要です。
- ホスト名(FTP サーバーのアドレス): 例えば「ftp.example.com」やサーバーの IP アドレス。
- FTP ユーザー名: ホスティングアカウントで設定した FTP アカウントのユーザー名。
- FTP パスワード: 上記ユーザー名に関連付けられたパスワード。
- ポート番号: 一般的に FTP はポート 21 を使用しますが、SFTP(セキュア FTP)を使用する場合はポート 22 が使用されます。
これらの情報は、ホスティングプロバイダーのコントロールパネルやサポートから取得できます。
3. FTP クライアントを使って接続
インストールした FTP クライアントを起動し、先ほど取得した FTP アカウント情報を使用してサーバーに接続します。ここでは、FileZilla を例に説明します。
- FileZilla を起動します。
- 画面上部にある「ホスト」フィールドに、ホスティングサーバーのアドレス(例:ftp.example.com)を入力します。
- 「ユーザー名」フィールドには、提供された FTP ユーザー名を入力します。
- 「パスワード」フィールドには、対応するパスワードを入力します。
- 「ポート」フィールドには、通常の FTP ポート番号「21」を入力します。SFTP の場合は「22」を使用します。
- 「クイック接続」ボタンをクリックします。
接続が成功すると、FTP クライアントの画面にサーバーのディレクトリ(ファイル構造)が表示されます。
4. WordPress ファイルの転送方法
WordPress のファイルは通常、サーバーの「public_html」ディレクトリまたは「www」ディレクトリ内に保存されています。FTP クライアントを使ってこれらのファイルをローカルコンピュータにダウンロードしたり、逆にアップロードしたりできます。
1. ファイルをダウンロードする場合
- FTP クライアントの右側(サーバー側)に表示される WordPress のファイルを選択します。
- ダウンロードしたいファイルやフォルダを右クリックし、「ダウンロード」を選択します。
- ダウンロード先としてローカルコンピュータの保存場所を指定します。これにより、サーバーからローカルマシンにファイルが転送されます。
2. ファイルをアップロードする場合
- ローカルコンピュータ(左側)に保存されている WordPress のファイルを選択します。
- アップロードしたいファイルやフォルダを右クリックし、「アップロード」を選択します。
- これにより、ローカルコンピュータからサーバーへファイルが転送されます。
アップロードする際は、ファイルの整合性を保つために、WordPress のコアファイルやテーマ、プラグイン、アップロードフォルダをすべて正確にアップロードするように注意してください。
5. WordPress のバックアップの作成
FTP を使用して WordPress のファイルをサーバーにバックアップすることもできます。バックアップを作成するためには、以下の手順に従います。
- FTP クライアントを使って、サーバーの WordPress ファイルをすべて選択します(通常は「wp-admin」、「wp-content」、「wp-includes」、「index.php」などのフォルダとファイルが含まれます)。
- 選択したファイルをローカルコンピュータにダウンロードします。このバックアップを定期的に作成することで、万が一のトラブルに備えることができます。
6. セキュリティの考慮
FTP は基本的にセキュリティが弱いプロトコルであるため、可能な限り SFTP(Secure FTP)や FTPS(FTP Secure)を使用することが推奨されます。これにより、転送中のデータが暗号化され、第三者による盗聴や改ざんを防ぐことができます。
- SFTP: SSH(Secure Shell)を利用した FTP のセキュアなバージョンで、ポート 22 を使用します。
- FTPS: 通常の FTP に SSL/TLS 暗号化を追加したバージョンで、ポート 990 や 21 で動作します。
FTP クライアントの設定で、SFTP または FTPS を選択し、安全な接続を使用してください。
7. トラブルシューティング
FTP 接続に問題が生じた場合、以下の点を確認してください。
- ファイアウォールの設定: ローカルおよびサーバー側のファイアウォール設定が接続をブロックしている場合があります。必要に応じてファイアウォール設定を見直します。
- パスワードとユーザー名の確認: FTP ユーザー名やパスワードが正しいか確認します。
- FTP サーバーのステータス確認: サーバーがダウンしていないか、またはメンテナンス中でないか確認します。
まとめ
FTP を使って WordPress のファイルを転送する方法は非常に便利で、特にバックアップやトラブルシューティング時に役立ちます。FTP クライアントをインストールし、必要な情報を入力してサーバーに接続すれば、簡単にファイルをアップロードしたりダウンロードしたりできます。ただし、セキュリティを考慮して SFTP や FTPS を使用することを強くお勧めします。また、定期的なバックアップを取ることで、予期せぬデータの損失を防ぐことができます。
