WordPressは世界中で最も利用されているコンテンツ管理システム(CMS)ですが、その人気のためにセキュリティリスクにもさらされています。WordPressサイトを運営している場合、そのセキュリティを強化することは非常に重要です。本記事では、WordPressの完全かつ包括的なセキュリティチェック方法について説明します。これにより、サイトを安全に保つために必要な手順とツールを理解できるようになります。
1. サイトのバックアップを取る
まず最初に、サイトのセキュリティチェックを始める前に、サイト全体のバックアップを取得しておくことが最も重要です。何か問題が発生した場合でも、バックアップがあれば迅速に復元できます。バックアップには、データベースとファイルの両方を含めるようにしましょう。

バックアップの方法としては、以下の方法があります:
- 手動バックアップ: FTPクライアントを使ってWordPressファイルを手動でダウンロードし、MySQLデータベースをエクスポートします。
- バックアッププラグインの使用: UpdraftPlusやBackWPupなどのバックアッププラグインを使用して、自動的にバックアップを作成することができます。
2. WordPressのバージョンとプラグインを最新に保つ
WordPress本体やプラグインが古いバージョンのままであると、セキュリティホールが残る可能性があります。WordPressは定期的にセキュリティアップデートを行っており、最新バージョンにアップデートすることはセキュリティを保つために非常に重要です。
- WordPressのアップデート: WordPressの管理ダッシュボードにアクセスし、利用可能なアップデートを確認して、すべてを最新の状態に保ちましょう。
- プラグインとテーマのアップデート: 同様に、プラグインやテーマも最新バージョンにアップデートします。古いバージョンは、既知の脆弱性を持つ可能性があるため、常に更新が必要です。
3. 不要なプラグインやテーマの削除
不要なプラグインやテーマがインストールされていると、それらがセキュリティリスクとなる可能性があります。使っていないプラグインやテーマは削除し、常に必要最小限に留めておくことが推奨されます。
- プラグインとテーマの管理: 管理ダッシュボードから、使っていないプラグインやテーマを削除します。また、テーマが数多くインストールされている場合は、デフォルトテーマ以外のものも削除しましょう。
4. 強力なパスワードの使用
管理者アカウントやユーザーアカウントのパスワードが弱いと、ブルートフォース攻撃などの脅威にさらされる可能性があります。強力なパスワードを設定することは、セキュリティの基本です。
強力なパスワードには、以下の要素が含まれるべきです:
- 英数字および記号の組み合わせ
- 最低12文字以上
- 辞書に載っている単語は使用しない
また、WordPressの管理者やユーザーアカウントには、二要素認証(2FA)を導入することを強く推奨します。これにより、パスワードが漏洩しても、ログインを保護することができます。
5. ファイアウォールとセキュリティプラグインの使用
ファイアウォールやセキュリティプラグインを導入することで、サイトへの攻撃を防ぐことができます。これらのツールは、悪意のあるIPアドレスからのアクセスをブロックし、一般的な攻撃手法を防ぐのに役立ちます。
おすすめのセキュリティプラグイン:
- Wordfence Security: 高度なファイアウォール、マルウェアスキャン、ログイン試行の制限などを提供します。
- iThemes Security: ブルートフォース攻撃を防ぐための機能や、セキュリティチェックのためのツールを提供します。
6. サイトのURL設定とSSLの導入
HTTPSを使用してサイトの通信を暗号化することは、セキュリティの基本です。SSL証明書をサイトにインストールし、URLを「http://」から「https://」に変更しましょう。これにより、データの盗聴や改竄を防ぐことができます。
SSL証明書は、多くのホスティングプロバイダーで無料で提供されており、簡単に導入できます。Let’s Encryptなどの無料SSL証明書を利用するのも一つの方法です。
7. ログイン試行の制限とユーザー権限の管理
ブルートフォース攻撃を防ぐために、ログイン試行回数を制限することが重要です。無制限にログイン試行を許可する設定は、攻撃者にとって非常に有利になります。
- ログイン試行の制限: プラグイン(例えば、Login LockdownやLimit Login Attempts)を使って、ログイン試行の回数を制限し、一定回数以上の失敗があった場合にIPアドレスをブロックします。
- ユーザー権限の管理: 不要なユーザーアカウントを削除し、必要なユーザーには最小限の権限を付与します。管理者権限を持つユーザーは最小限にしましょう。
8. セキュリティログの監視と定期的なスキャン
サイトのセキュリティログを定期的に監視し、不審な活動を検出することも重要です。セキュリティプラグインを使用すると、ログの監視や自動スキャンを行うことができます。
また、マルウェアやウイルスがサイトに感染していないかを定期的にスキャンすることも重要です。WordfenceやSucuri Securityなどのプラグインは、サイトのファイルやデータベースをスキャンし、潜在的な脅威を検出します。
9. データベースのセキュリティ強化
WordPressのデータベースは非常に重要な部分です。データベースを安全に保つために、以下の手順を実施しましょう:
- データベースプレフィックスの変更: インストール時にデフォルトで使用される「wp_」プレフィックスを変更しておくことで、SQLインジェクション攻撃を防ぎやすくなります。
- データベース接続情報の保護: wp-config.phpファイルに記載されているデータベース接続情報を、適切に保護します。必要に応じてファイルの権限を変更します。
10. サーバーのセキュリティ
最後に、サーバーのセキュリティも重要です。ホスティングプロバイダーによっては、サーバーのセキュリティ強化に対しても支援を提供しているところがあります。
- サーバーのセキュリティ設定: サーバーでセキュリティパッチが最新であることを確認し、SSHアクセスやFTPアクセスの制限を行いましょう。
- サーバーログの確認: サーバーログを定期的に確認し、不正アクセスや異常なアクティビティを監視します。
結論
WordPressサイトのセキュリティチェックは、サイトを安全に保つために不可欠な作業です。定期的にバックアップを取り、WordPress本体やプラグインを最新の状態に保つことが最も重要です。また、強力なパスワードやセキュリティプラグインの導入、SSL証明書の使用、サーバーのセキュリティ強化など、さまざまな手段を講じることで、サイトを多層的に保護できます。セキュリティ対策は一度だけでなく、継続的に行うべきですので、定期的なチェックとアップデートを忘れずに行いましょう。