WordPressは、世界中で最も人気のあるコンテンツ管理システム(CMS)であり、数百万のウェブサイトがこのプラットフォームを利用しています。しかし、その人気の高さゆえに、セキュリティのリスクも増加しています。WordPressを安全にインストールし、運用するためにはいくつかの重要な手順があります。本記事では、WordPressを安全にインストールするための完全かつ包括的なガイドを紹介します。
1. 必要なサーバー環境を整える
WordPressをインストールするためには、特定のサーバー環境が必要です。以下の要件を満たしていることを確認してください。

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ウェブサーバー: ApacheまたはNginxを使用するのが一般的です。
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PHPバージョン: 最新のPHPバージョン(推奨: PHP 7.4以上)。
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データベース: MySQLまたはMariaDB。
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HTTPS: セキュアな通信を確保するため、SSL証明書を取得してhttps通信を有効にしましょう。
2. WordPressのダウンロードとインストール
WordPressを公式サイトからダウンロードします。公式サイト(https://ja.wordpress.org)から最新の安定版を取得し、サーバーにアップロードしてインストールします。以下の手順を守りましょう。
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WordPressのダウンロード
公式サイトから最新バージョンをダウンロードします。 -
サーバーへのアップロード
ダウンロードしたファイルを解凍し、FTPまたはファイルマネージャーを使ってサーバーにアップロードします。 -
データベースの作成
サーバーのコントロールパネル(cPanelなど)からMySQLデータベースを作成し、その情報を控えておきます。 -
WordPressのインストール
ブラウザからインストールスクリプトを実行します。必要な情報(データベース名、ユーザー名、パスワード)を入力し、インストールを完了させます。
3. セキュリティの基本設定
インストールが完了したら、まず最初にセキュリティ設定を行いましょう。以下は基本的なセキュリティ対策です。
3.1. 強力なパスワードを使用する
管理者アカウントには、簡単に予測されない強力なパスワードを設定しましょう。パスワードには、英数字および記号を含む8文字以上のものを使用します。パスワードマネージャーを活用することをお勧めします。
3.2. 管理者アカウントのユーザー名を変更する
デフォルトの「admin」というユーザー名は、攻撃者によって簡単に推測されます。インストール後、管理者アカウントのユーザー名を変更することをお勧めします。
3.3. 二段階認証(2FA)の有効化
WordPressにログインする際、二段階認証を有効にすると、セキュリティが大幅に向上します。Google AuthenticatorやAuthyなどのアプリを使用して、ログイン時に追加の認証を行うように設定します。
4. プラグインとテーマのセキュリティ
WordPressの強力な機能の一つは、プラグインとテーマを追加することでサイトをカスタマイズできることです。しかし、これらを適切に管理しないとセキュリティリスクを招く可能性があります。
4.1. 信頼できるプラグインとテーマを使用する
公式のWordPressリポジトリからプラグインやテーマをインストールしましょう。信頼性の低いソースからダウンロードしたプラグインは、マルウェアを含んでいる可能性があるため注意が必要です。
4.2. 不要なプラグインやテーマの削除
使用していないプラグインやテーマは削除しておきましょう。これにより、潜在的なセキュリティリスクを減らすことができます。
4.3. プラグインの定期的な更新
プラグインやテーマは、定期的に最新バージョンに更新しましょう。開発者はセキュリティ修正を行っていることが多いため、最新のバージョンを使用することが重要です。
5. セキュリティプラグインの導入
WordPressには、セキュリティ強化をサポートするプラグインが数多く存在します。以下のプラグインを使用することで、セキュリティレベルをさらに向上させることができます。
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Wordfence Security: ファイアウォール機能やマルウェアスキャン機能を提供し、サイトを保護します。
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iThemes Security: ログイン試行の制限、ファイル変更の監視、強力なパスワードの推奨など、さまざまなセキュリティ機能を提供します。
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Sucuri Security: サイトのセキュリティ監視、マルウェアスキャン、攻撃防止機能を提供します。
6. HTTPSの導入
HTTPS(SSL/TLS)は、データの暗号化を行い、サイトと訪問者の通信を保護します。SSL証明書をサーバーにインストールし、サイトをHTTPSでアクセスできるように設定しましょう。
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SSL証明書の取得: 多くのホスティングプロバイダーが無料でSSL証明書を提供しています。Let’s Encryptを利用すると、無料で証明書を取得できます。
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HTTPSリダイレクトの設定: サイトがHTTPでアクセスされた場合に、HTTPSに自動的にリダイレクトされるように設定します。
7. 定期的なバックアップ
サイトが攻撃を受けたり、データが失われたりした場合に備えて、定期的にバックアップを取得しておくことが重要です。バックアップは、手動で行うこともできますが、自動化ツールを使用することで、定期的にバックアップを取ることができます。
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UpdraftPlus: WordPressのバックアップを自動で取ることができ、複数の保存先(クラウド、ローカル)にバックアップを保存できます。
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BackupBuddy: 定期的なバックアップを簡単に作成し、復元するためのプラグインです。
8. サイトの監視とメンテナンス
サイトが安全であるかを確認するためには、定期的な監視とメンテナンスが欠かせません。
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セキュリティログの監視: サイトに不正アクセスがないか、ログを確認して早期に発見することが大切です。
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定期的なセキュリティスキャン: プラグインやセキュリティツールを使用して、マルウェアや脆弱性を定期的にスキャンしましょう。
9. セキュリティのための最適なプラクティス
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管理者アカウントへのアクセス制限: 管理者アカウントには、特定のIPアドレスからのみアクセスできるように制限をかけると、攻撃リスクを減らせます。
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ファイルパーミッションの設定: サーバー上のファイルやフォルダーのアクセス権を適切に設定し、不正な変更が行えないようにします。
まとめ
WordPressのセキュリティは、インストール後の初期設定や定期的なメンテナンスを通じて強化できます。サイトの保護を怠らず、セキュリティプラグインの導入、HTTPSの使用、定期的なバックアップの実施を行い、安全な運用を心がけましょう。