YUM(Yellowdog Updater Modified)は、主にRed Hat系Linuxディストリビューション(Red Hat Enterprise Linux、CentOS、Fedoraなど)で使用されるパッケージ管理ツールです。このツールは、ソフトウェアパッケージのインストール、更新、削除、検索などを効率的に管理するためのコマンドラインベースのインターフェースを提供します。YUMを使用することで、システム管理者は簡単に必要なソフトウェアパッケージを管理できます。この記事では、YUMの基本的な使い方から、さまざまなコマンド例までを詳細に解説します。
1. YUMのインストールと設定
YUMは、ほとんどのRed Hat系ディストリビューションにはデフォルトでインストールされていますが、もしインストールされていない場合は、以下のコマンドでインストールできます。
bashsudo yum install yum
また、YUMの設定ファイル(/etc/yum.conf
)を適切に設定することで、特定のリポジトリやミラーサイトを指定することができます。これにより、より高速で安定したパッケージ管理が可能になります。
2. パッケージのインストール
YUMを使ってソフトウェアパッケージをインストールするのは非常に簡単です。以下のコマンドを実行することで、指定したパッケージをインストールできます。
bashsudo yum install パッケージ名
例えば、vim
エディタをインストールする場合は次のように入力します。
bashsudo yum install vim
インストール中に必要な依存関係がある場合、YUMはそれらも自動的にインストールします。
3. パッケージの更新
インストールされているすべてのパッケージを最新のバージョンに更新するには、以下のコマンドを使用します。
bashsudo yum update
これにより、システム内のすべてのパッケージが最新バージョンに更新されます。また、特定のパッケージのみを更新したい場合は、パッケージ名を指定します。
bashsudo yum update パッケージ名
4. パッケージの削除
不要なソフトウェアを削除するには、次のコマンドを使用します。
bashsudo yum remove パッケージ名
例えば、vim
エディタを削除したい場合は、以下のように入力します。
bashsudo yum remove vim
5. インストール済みパッケージの一覧表示
システムにインストールされているすべてのパッケージの一覧を表示するには、以下のコマンドを使用します。
bashyum list installed
これにより、現在インストールされているすべてのパッケージが表示されます。また、特定のパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを使用します。
bashyum list installed | grep パッケージ名
6. パッケージの検索
特定のパッケージをリポジトリから検索するには、次のコマンドを使用します。
bashyum search パッケージ名
例えば、httpd
というWebサーバーパッケージを検索する場合は次のように入力します。
bashyum search httpd
これにより、httpd
に関連するすべてのパッケージが表示されます。
7. パッケージの情報表示
インストールされているパッケージやリポジトリ内のパッケージに関する詳細情報を表示するには、次のコマンドを使用します。
bashyum info パッケージ名
例えば、vim
パッケージに関する詳細情報を表示する場合は、次のように入力します。
bashyum info vim
8. リポジトリの管理
YUMでは、使用するリポジトリを設定することができます。リポジトリの設定ファイルは/etc/yum.repos.d/
ディレクトリに保存されており、このディレクトリ内の設定ファイルを編集することでリポジトリを追加したり、無効にしたりすることができます。
例えば、新しいリポジトリを追加するには、リポジトリ設定ファイルを作成して、必要な情報を入力します。
bashsudo vi /etc/yum.repos.d/新しいリポジトリ.repo
9. キャッシュのクリア
YUMは、ダウンロードしたパッケージやメタデータをキャッシュとして保存しますが、キャッシュが大きくなることがあります。キャッシュをクリアしてディスク容量を確保するには、以下のコマンドを使用します。
bashsudo yum clean all
これにより、すべてのキャッシュが削除され、再度パッケージの情報をダウンロードすることになります。
10. リポジトリメタデータの再取得
リポジトリのメタデータが古くなっている場合、以下のコマンドでリポジトリメタデータを再取得できます。
bashsudo yum makecache
これにより、リポジトリのメタデータが最新の状態に更新されます。
11. グループパッケージのインストール
YUMでは、複数のパッケージをまとめてインストールする「グループインストール」がサポートされています。例えば、Development Tools
という開発ツール群をインストールするには、次のコマンドを使用します。
bashsudo yum groupinstall "Development Tools"
12. YUMでのパッケージのバージョン指定
特定のバージョンのパッケージをインストールする場合、パッケージ名の後にコロン(:)を付けてバージョンを指定します。
bashsudo yum install パッケージ名-バージョン番号
例えば、vim
の特定のバージョンをインストールするには、次のように入力します。
bashsudo yum install vim-8.0.1763-1.el7
13. YUMのリポジトリ情報の表示
YUMが利用可能なリポジトリを表示するには、次のコマンドを使用します。
bashyum repolist
これにより、現在設定されているすべてのリポジトリの一覧が表示されます。
14. YUMのトランザクションログの確認
YUMは、インストールやアップデート、削除などのトランザクションをログとして記録しています。これらのログを確認するには、次のコマンドを使用します。
bashcat /var/log/yum.log
これにより、過去のパッケージ操作の履歴を確認できます。
15. YUMでの依存関係の解決
YUMは、インストールするパッケージに必要な依存関係を自動的に解決します。もし依存関係が解決できない場合、エラーメッセージが表示されることがあります。その際は、yum deplist
コマンドで依存関係の詳細を確認できます。
bashyum deplist パッケージ名
16. YUMのパフォーマンス向上
YUMのパフォーマンスを向上させるためには、複数のミラーサイトを利用したり、メタデータのキャッシュを長期間保持したりする設定を行うことが有効です。設定ファイルでこれらの設定を調整することで、より高速にパッケージを管理できます。
17. パッケージのエクスポート
YUMでは、インストールしたパッケージのリストをエクスポートして、他のシステムに転送することができます。これには、次のコマンドを使用します。
bashyum list installed > installed-packages.txt
このリストを使って、別のシステムに同じパッケージをインストールすることができます。
18. YUMのヘルプ
YUMのコマンドに関する詳細なヘルプ情報を表示するには、以下のコマンドを使用します。
bashyum --help
これにより、使用可能なコマンドやオプションがすべて表示されます。
YUMは、Linuxシステムのパッケージ管理を効率的に行うための強力なツールです。上記のコマンドを活用することで、パッケージのインストール、更新、削除、検索などを簡単に行うことができます。システムの運用においては、YUMを使いこなすことが非常に重要です。