アルゼンチンの公用語はスペイン語です。スペイン語は、アルゼンチン全土で広く使用され、政府、教育機関、メディアなどで使用されますが、アルゼンチン特有の方言や発音もあります。この方言は「リオ・プラテンセ（Rioplatense）」と呼ばれ、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを中心に広まっています。リオ・プラテンセ方言は、他のスペイン語圏の国々のスペイン語といくつか異なる特徴を持っています。
まず、リオ・プラテンセでは「シェ」を使用することが特徴的です。これは、スペイン語で「tú（あなた）」にあたる代名詞を「vos（ボス）」と呼び、動詞の活用が少し異なります。例えば、「hablar（話す）」という動詞は「hablo（私は話す）」と「hablas（あなたは話す）」になりますが、リオ・プラテンセでは「hablás（あなたは話す）」のように活用されます。これは「ボセオ（voseo）」と呼ばれ、アルゼンチンのスペイン語の特徴の一つです。
アルゼンチンのスペイン語には、他にも「lunfardo」と呼ばれるスラングや言葉の使い方が存在します。これは、主にブエノスアイレスの都市部で発展した言葉で、特にサッカーや音楽、ポピュラーカルチャーにおいてよく使われます。「lunfardo」には、イタリア語やフランス語、ポルトガル語、そして先住民の言葉が影響を与えており、アルゼンチンの独自の文化を反映しています。
また、アルゼンチンのスペイン語は、イタリア系の移民が多かった影響を受けており、イタリア語の発音が反映されている点も特徴です。特に、言葉の抑揚や強調の仕方がイタリア語に似ており、これがアルゼンチンのスペイン語に特有のリズムを生んでいます。
アルゼンチンの他の地域でも、標準的なスペイン語が使用されますが、リオ・プラテンセ方言が最も広く知られています。アルゼンチンのスペイン語は、他のスペイン語圏の国々と同様に、時代とともに進化を続けています。