ドイツ語を学ぶ際、文法の理解は非常に重要です。その中でも、「主格」「対格」「与格」「属格」といった格(ケース)の使い分けは、ドイツ語の文法の基本的な部分を形成します。この記事では、ドイツ語における「主格(Nominativ)」「対格(Akkusativ)」「与格(Dativ)」「属格(Genitiv)」の使い方について、具体的な例を交えて説明します。
1. 主格(Nominativ)とは
主格は、文の主語を示す格です。主語は、文の中で動作を行う者や状態を表す者を指します。日本語における「が」に相当します。

主格の例:
- Der Hund läuft schnell. (その犬は速く走る。)
- Die Frau liest ein Buch. (その女性は本を読んでいる。)
このように、主語が文の主格として使われるとき、「der」や「die」などの定冠詞が変化します。
2. 対格(Akkusativ)とは
対格は、動作の対象を示す格です。つまり、動詞が何かに作用する対象を表します。日本語の「を」に相当します。
対格の例:
- Ich sehe den Hund. (私はその犬を見ている。)
- Er trinkt das Wasser. (彼は水を飲んでいる。)
対格の場合、定冠詞が「der」から「den」に変化することに注目してください。
3. 与格(Dativ)とは
与格は、何かを与える相手を示す格です。日本語の「に」に相当します。与格を使う動詞も多く、動詞により与格を使うか対格を使うかが決まります。
与格の例:
- Ich gebe dem Hund einen Ball. (私はその犬にボールをあげる。)
- Er hilft der Frau. (彼はその女性を助ける。)
与格の定冠詞は「dem」や「der」になります。与格を使う動詞は「geben(与える)」「helfen(助ける)」などがあります。
4. 属格(Genitiv)とは
属格は、所有や関係を示す格です。日本語の「の」に相当します。現代ドイツ語では、属格の使用頻度は減少していますが、書き言葉やフォーマルな表現で見かけることが多いです。
属格の例:
- Das ist das Buch des Mannes. (それはその男性の本です。)
- Die Farbe des Autos ist rot. (その車の色は赤いです。)
属格では、定冠詞が「der」から「des」に変化し、名詞の所有格が付加されます。
5. 格の使い分けのポイント
ドイツ語では、動詞や前置詞によって格の使い分けが異なります。以下は、代表的な動詞や前置詞における格の使い分けの例です。
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動詞による格の使い分け:
- Akkusativ(対格)を使う動詞: sehen(見る)、haben(持っている)、essen(食べる)
- Dativ(与格)を使う動詞: helfen(助ける)、geben(与える)、antworten(答える)
- Genitiv(属格)を使う動詞: sich erinnern an(思い出す)、sich freuen über(嬉しい)
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前置詞による格の使い分け:
- Akkusativ(対格)を使う前置詞: durch(〜を通って)、für(〜のために)、gegen(〜に対して)
- Dativ(与格)を使う前置詞: mit(〜と一緒に)、nach(〜の後に)、bei(〜の近くで)
- Genitiv(属格)を使う前置詞: während(〜の間に)、wegen(〜のために)
6. 格変化のまとめ
ドイツ語では、名詞、代名詞、形容詞のすべてにおいて、格によって形が変化します。特に、定冠詞(der, die, das)や不定冠詞(ein, eine)の形が格によって変わるので、それをしっかりと覚えることが重要です。
定冠詞の変化(例: der)
- Nominativ(主格): der Hund
- Akkusativ(対格): den Hund
- Dativ(与格): dem Hund
- Genitiv(属格): des Hundes
不定冠詞の変化(例: ein)
- Nominativ(主格): ein Hund
- Akkusativ(対格): einen Hund
- Dativ(与格): einem Hund
- Genitiv(属格): eines Hundes
7. 結論
ドイツ語の格(ケース)は、文法の基礎となる重要な部分であり、正しい格の使い分けを習得することで、より自然で正確なドイツ語を話すことができます。特に動詞や前置詞に伴う格変化を理解し、練習することが、ドイツ語の上達に繋がります。