レーシック(LASIK)とは、視力矯正手術の一つで、特に近視、遠視、乱視などの屈折異常を改善するために広く使用されています。LASIKは、”Laser-Assisted in Situ Keratomileusis”の略で、直訳すると「角膜内層におけるレーザー補助角膜切除術」という意味です。この手術は、角膜の形状を変えることによって、光の屈折を正し、視力を改善します。レーシック手術は、眼鏡やコンタクトレンズに頼らずに視力を回復させる方法として、多くの人々に選ばれています。
1. レーシック手術の背景と歴史
レーシック手術の起源は1980年代に遡ります。もともと角膜を薄く削る手術方法として角膜切除術(PRK)が開発され、その後、より精密で安全な方法としてレーシックが発展しました。1990年代に入り、レーシックはアメリカでFDA(米国食品医薬品局)の承認を受け、急速に普及しました。現在では、世界中で数百万件のレーシック手術が行われており、安全性や効果が高く評価されています。
2. レーシックの仕組み
レーシック手術は、レーザーを使用して角膜の形状を変更することで視力を改善する方法です。手術の流れは以下のようになります:
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麻酔
手術の前に、目の表面に局所麻酔の点眼薬が投与されます。これにより、手術中の痛みを感じることはありません。 -
フラップの作成
レーシックでは、まず角膜の表面を薄く切り開いて「フラップ」を作成します。フラップは、特殊な微細な刃(マイクロケラトーム)またはフェムト秒レーザーによって作られます。フラップは、手術後に元の位置に戻すため、非常に薄く繊細に作られます。 -
レーザー照射
フラップをめくった後、エキシマレーザーを使用して角膜の形を変更します。エキシマレーザーは、角膜の内部層を非常に精密に削ることができるため、近視、遠視、乱視を矯正できます。近視の場合、角膜を薄く削ることで光が網膜に正しく焦点を合わせるようにします。 -
フラップの戻し
最後に、削った角膜のフラップを元に戻します。このフラップは自然に癒合し、特別な縫合を必要としません。手術後、角膜は数日内に完全に回復します。
3. レーシック手術の利点
レーシック手術の最大の利点は、視力が即座に改善される点です。手術後、患者は通常、翌日には日常生活に支障がないレベルの視力を取り戻します。その他の利点としては以下が挙げられます:
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高い成功率
現代のレーシック手術は非常に高い成功率を誇り、多くの患者が視力を回復します。手術後の視力回復率は90%以上と言われています。 -
短い回復期間
手術後、患者は通常1〜2日で仕事や日常活動に復帰することができます。痛みもほとんどなく、目の不快感は数時間以内に軽減します。 -
眼鏡やコンタクトレンズからの解放
レーシック手術によって、視力矯正のための眼鏡やコンタクトレンズを必要としなくなることが多く、生活の質が向上します。 -
長期的な効果
一度手術を受けることで、多くの人々は視力の維持に成功し、長期間にわたり眼鏡やコンタクトレンズから解放されます。
4. レーシック手術のリスクと副作用
レーシック手術は非常に安全で効果的である一方で、いくつかのリスクや副作用も存在します。以下はその主なものです:
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ドライアイ
手術後、眼の乾燥感を感じることがあります。これは通常、数週間から数ヶ月以内に改善しますが、長期的に続く場合もあります。 -
視力の不安定性
一部の患者では、手術後に視力が安定するまでに時間がかかることがあります。夜間に視界がぼやけたり、光のハロー(光輪)が見えることもあります。 -
過矯正または未矯正
手術が成功しなかった場合、視力が完全に回復しないことがあります。そのため、再手術(追加のレーザー照射)を行う必要がある場合もあります。 -
角膜の感染症
稀に、手術後に角膜に感染が発生することがありますが、適切な抗生物質の使用により治療可能です。
5. レーシック手術の候補者
レーシック手術はすべての人に適しているわけではありません。以下の条件に該当する場合、手術の候補として適している可能性があります:
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年齢
手術を受けるには、通常18歳以上で、視力が安定している必要があります。視力が安定していない場合、手術後に再度視力が変化する可能性があります。 -
屈折異常の安定性
近視、遠視、または乱視が安定している必要があります。視力が急激に変化している場合、手術の効果が十分に発揮されないことがあります。 -
眼科的な健康状態
眼に疾患がないことが求められます。例えば、角膜疾患や網膜疾患がある場合、手術を受けることができません。 -
健康状態
妊娠中や授乳中の女性、または重篤な全身疾患を持っている人には手術を避けることが推奨されます。
6. レーシック手術後のケアと注意点
レーシック手術後、いくつかの注意点があります。以下は、手術後に行うべきケアと注意事項です:
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目の保護
手術後、目を強く擦ったり、圧力をかけたりしないようにします。特に初めの数週間は目を守るため、アイシールドやサングラスを使用することが勧められます。 -
薬の使用
手術後、抗生物質や抗炎症薬を使用することがあります。指示に従い、定期的に点眼薬を使用しましょう。 -
定期的な検査
手術後は定期的に眼科で検査を受け、視力や眼の状態をチェックすることが大切です。 -
激しい運動の制限
手術後しばらくの間、激しい運動や水泳は避けるようにしましょう。特に最初の数週間は目を保護することが重要です。
7. 結論
レーシック手術は、視力を劇的に改善する効果的な方法であり、多くの人々にとって眼鏡やコンタクトレンズを必要としない生活を提供します。手術は比較的短時間で行うことができ、回復も早いため、日常生活への影響も少なくて済みます。しかし、全ての人に適しているわけではなく、手術前に十分な検査と医師との相談が必要です。リスクや副作用もあるため、手術を受ける前にその内容をしっかりと理解し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
視力矯正の選択肢として、レーシックは非常に有望であり、多くの人々の生活を大きく改善することができる手段となっています。
