各国の経済と政治

世界の大型ホテルチェーン

世界には数多くのホテルチェーンが存在しますが、その中でも特に規模が大きく、国際的に影響力を持つ10のホテルグループを紹介します。これらのホテルチェーンは、客室数、運営ブランド数、世界各地での展開、そして収益力の面でも他を圧倒しています。本記事では、各チェーンの歴史、主なブランド、特徴、展開国数、総客室数など、信頼できるデータと共に網羅的かつ詳細に解説します。


1. マリオット・インターナショナル(Marriott International)

本社所在地:アメリカ・メリーランド州

総客室数:約160万室以上(2024年時点)

展開国数:138か国以上

主なブランド

  • ザ・リッツ・カールトン

  • マリオット・ホテル

  • ウェスティン

  • シェラトン

  • ルネッサンス・ホテル

  • エディション

  • オートグラフ コレクション

  • アロフト

  • モクシー

マリオット・インターナショナルは、2016年にスターウッド・ホテル&リゾートを買収したことで一気に世界最大のホテルグループとなりました。この買収により、リッツ・カールトンやシェラトン、ウェスティンといった高級ブランドが傘下に加わり、ポートフォリオが一段と多様化しました。マリオットはビジネスからレジャーまであらゆる層の顧客をターゲットにし、ロイヤリティプログラム「Marriott Bonvoy」により顧客維持に成功しています。


2. ワンダ・グループ(Jin Jiang International / Wanda Hotels)

本社所在地:中国・上海

総客室数:約130万室

展開国数:100か国以上

主なブランド

  • Jin Jiang Hotels

  • Radisson Hotel Group

  • Vienna Hotels

  • 7 Days Inn

中国最大のホテルチェーンであり、政府系企業でもあるワンダ・グループ(またはジンジャン・インターナショナル)は、2018年にラディソン・ホテル・グループを買収するなどして急成長を遂げています。特にエコノミーおよびミッドスケール市場に強く、中国国内では圧倒的な存在感を持ちます。世界のホテル業界の中でも、急成長を遂げた企業の代表格と言えます。


3. ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ(Hilton Worldwide)

本社所在地:アメリカ・バージニア州

総客室数:約120万室

展開国数:123か国以上

主なブランド

  • ウォルドルフ・アストリア

  • コンラッド

  • ヒルトン・ホテル

  • ダブルツリー

  • エンバシー・スイーツ

  • ハンプトン・バイ・ヒルトン

  • ヒルトン・ガーデン・イン

ヒルトンは1925年に創業され、世界的に知名度の高いホテルブランドです。ラグジュアリーからエコノミーまで幅広く展開しており、観光客とビジネスパーソン双方に支持されています。ロイヤリティプログラム「Hilton Honors」は世界中で人気を集めています。


4. インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)

本社所在地:イギリス・デンハム

総客室数:約90万室

展開国数:100か国以上

主なブランド

  • インターコンチネンタル

  • ホリデイ・イン

  • ホリデイ・イン・エクスプレス

  • キンプトン・ホテルズ

  • クラウンプラザ

  • voco

  • avid hotels

IHGは、観光・ビジネス両面での利便性を提供するミッドスケールブランドに強みを持っています。特に「ホリデイ・イン」ブランドは世界中で広く展開されています。持続可能性に注力した施策にも積極的です。


5. ウィンダム・ホテルズ&リゾーツ(Wyndham Hotels & Resorts)

本社所在地:アメリカ・ニュージャージー州

総客室数:約85万室

展開国数:95か国以上

主なブランド

  • ラマダ

  • デイズイン

  • スーパー8

  • トラベロッジ

  • ラ・キンタ

  • ウィンダム・グランド

ウィンダムは、世界最大級のホテルフランチャイザーとして知られ、特にバジェット(低価格)市場で存在感があります。家族旅行や短期滞在を目的とした顧客に人気で、地域密着型のホテルが多いのも特徴です。


6. アコー(Accor)

本社所在地:フランス・パリ

総客室数:約80万室

展開国数:110か国以上

主なブランド

  • ソフィテル

  • ノボテル

  • イビス

  • メルキュール

  • プルマン

  • フェアモント

  • モーベンピック

ヨーロッパを中心に展開するアコーは、フランス発祥のホテルチェーンで、ラグジュアリーからエコノミーまで幅広い価格帯を網羅しています。持続可能な観光業への投資やデジタルイノベーションに積極的です。フランス国内や旧フランス領国での影響力は特に大きいです。


7. チョイス・ホテルズ(Choice Hotels International)

本社所在地:アメリカ・メリーランド州

総客室数:約60万室

展開国数:40か国以上

主なブランド

  • コンフォート・イン

  • クオリティ・イン

  • スリープ・イン

  • カントリーイン&スイーツ

  • エコノロッジ

  • メインステイ・スイーツ

主にミッドスケールからエコノミークラスの宿泊施設を提供し、アメリカ国内では非常に知名度が高いホテルチェーンです。個人経営の宿泊施設がフランチャイズ契約により参加する形が多く、地方都市にも多数展開しています。


8. ベスト・ウェスタン・ホテルズ&リゾーツ(Best Western Hotels & Resorts)

本社所在地:アメリカ・アリゾナ州

総客室数:約50万室

展開国数:100か国以上

主なブランド

  • ベスト・ウェスタン

  • ベスト・ウェスタン・プラス

  • ベスト・ウェスタン・プレミア

  • BW シグネチャー コレクション

  • ワールドホテルズ

中価格帯ホテルの代名詞ともいえるベスト・ウェスタンは、一定の品質と安心感を提供するブランドとして親しまれています。フランチャイズ制でありながら、統一された品質管理がなされているのが強みです。


9. ハイアット・ホテルズ・コーポレーション(Hyatt Hotels Corporation)

本社所在地:アメリカ・イリノイ州

総客室数:約35万室

展開国数:70か国以上

主なブランド

  • パークハイアット

  • グランドハイアット

  • アンダーズ

  • ハイアット・リージェンシー

  • ハイアット・プレイス

  • トンプソン・ホテルズ

高級ホテルに特化したハイアットは、宿泊体験の質に重きを置いたブランド展開をしています。近年ではブティックホテルの買収にも積極的で、多様な旅のニーズに応えるラインナップを強化しています。


10. オヨ(OYO Hotels & Homes)

本社所在地:インド・グルグラム

総客室数:約30万室以上(変動あり)

展開国数:80か国以上(縮小傾向)

主なブランド

  • OYO Rooms

  • OYO Townhouse

  • Capital O

  • Collection O

スタートアップとして急成長を遂げたOYOは、テクノロジーを活用して中小ホテルのブランド統一を図る独自のモデルを持っています。特にインド、中国、東南アジア市場において圧倒的な存在感を誇りましたが、近年は事業再編を進めています。


表:世界最大のホテルチェーン比較(2024年版)

ランキング ホテルチェーン名 本社国 総客室数 展開国数 主なブランド例
1 マリオット・インターナショナル アメリカ 1,600,000室以上 138か国 リッツ・カールトン、ウェスティン
2 ワンダ・グループ(ジンジャン) 中国 1,300,000室 100か国 ラディソン、7デイズイン
3 ヒルトン・ホテルズ アメリカ 1,200,000室 123か国 ヒルトン、コンラッド
4 IHG イギリス 900,000室 100か国 ホリデイ・イン、クラウンプラザ
5 ウィンダム アメリカ 850,000室 95か国 ラマダ、デイズイン
6 アコー フランス 800,000室 110か国 イビス、ソフィテル
7 チョイス・ホテルズ アメリカ 600,000室 40か国 コンフォート・イン
8 ベスト・ウェスタン アメリカ 500,000室 100か国 ベスト・ウェスタン
9 ハイアット アメリカ 350,000室 70か国 パークハイアット、アンダーズ
10 OYO インド 300,000室以上 80か国 OYO ルームズ

これらのチェーンは、規模の大きさだけでなく、デジタル戦略、サステナビリティ、人材開発といった観点からも他のホテル企業に大きな影響を与えています。世界中の旅行者にとって、信頼できる宿泊先を選ぶ指針としても役立ち、旅行業界全体におけるスタンダードの形成にも貢献しています。

世界最大のホテルチェーンを知ることは、グローバル観光業の構造を理解するうえでも重要な一歩です。宿泊施設を選ぶ際の参考にしつつ、それぞれの企業が持つビジネス戦略や成長の鍵についても注目する価値があります。

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