低カリウム食の完全ガイド:腎臓の健康を守るために知っておくべき食品と戦略
カリウムは人体にとって必須のミネラルであり、神経の伝達、筋肉の収縮、心臓の拍動調整などに深く関与している。しかし、慢性腎臓病(CKD)や透析患者にとっては、この重要なミネラルが過剰になると命に関わる危険性がある。腎機能が低下していると、血液中のカリウムを適切に排出することができず、高カリウム血症(高カリウム血)という状態に陥る可能性がある。
本稿では、腎機能が低下している方や医師からカリウム制限を指示されている方に向けて、低カリウムの食品について科学的かつ実践的に詳述する。低カリウム食の基準、具体的な食品例、調理の工夫、カリウムを避ける際の注意点など、完全な情報を提供する。
低カリウム食とは何か?
一般的に、「低カリウム食品」とは、100gあたりのカリウム含有量が200mg以下の食品を指す。1日のカリウム摂取量については、医師や管理栄養士の指導によって個別に設定されるが、腎疾患の患者では1日1,500mg〜2,000mg以下に制限されることが多い。
低カリウム食品の一覧
以下に分類別に低カリウムの代表的な食品を挙げる。食品のカリウム含有量は平均値であり、調理法や品種によって異なることを留意してほしい。
1. 野菜類(100gあたり200mg以下)
| 野菜名 | カリウム含有量(mg) |
|---|---|
| もやし(ゆで) | 約60 |
| きゅうり | 約160 |
| キャベツ(ゆで) | 約160 |
| 玉ねぎ(ゆで) | 約100 |
| 白菜(ゆで) | 約110 |
| レタス | 約200 |
※注意:生よりもゆでた方がカリウムは減少する。
2. 果物類
果物はカリウムが高いものが多いが、以下の果物は比較的低カリウムである。
| 果物名 | カリウム含有量(mg) |
|---|---|
| りんご(1/2個) | 約90 |
| 梨(1/2個) | 約110 |
| もも(缶詰、シロップ漬け) | 約130 |
| ぶどう(10粒) | 約150 |
| パイナップル(缶詰) | 約110 |
3. 主食類
| 食品名 | カリウム含有量(mg) |
|---|---|
| 白ごはん(150g) | 約40 |
| 食パン(6枚切1枚) | 約70 |
| うどん(ゆで) | 約20 |
| 素麺(ゆで) | 約25 |
※全粒粉や玄米はカリウムが高いため白米・精製されたものを選ぶことが推奨される。
4. たんぱく質源(肉・魚・卵)
| 食品名 | カリウム含有量(mg) |
|---|---|
| 鶏ささみ(ゆで) | 約150 |
| 白身魚(たら) | 約180 |
| 卵(1個) | 約90 |
| 豚もも肉(ゆで) | 約190 |
※ハムやソーセージなどの加工食品はリンや塩分も多いため注意。
5. 飲み物・調味料
| 飲食品名 | カリウム含有量(mg) |
|---|---|
| 麦茶(200ml) | 0 |
| 黒豆茶 | 5 |
| 砂糖(大さじ1) | 0 |
| 醤油(小さじ1) | 約40 |
| 食塩(小さじ1) | 0 |
高カリウム食品の避け方
低カリウム食を実践するうえで、カリウムの多い食品を知っておくことも重要である。以下の食品は**高カリウム食品(100gあたり200mg以上)**として避ける必要がある。
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バナナ(360mg)
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アボカド(700mg)
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ほうれん草(490mg)
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じゃがいも(410mg)
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かぼちゃ(450mg)
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納豆(660mg)
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牛乳(150mlで約200mg)
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カリウムを減らす調理テクニック
腎臓病患者にとって、調理方法は食事療法の成功を大きく左右する。特に野菜や芋類など、カリウムが高めの食材を用いる際は**「カリウム抜き」**の手法を活用することが推奨されている。
1. 水さらし
薄切りまたは細切りにした野菜を30分〜1時間程度水にさらすことで、カリウムを15〜30%減少させることができる。
2. 二度茹で
じゃがいもや大根などを一度茹でてお湯を捨て、再度水を変えて茹でることで、カリウムの50%以上を除去できる。
3. 缶詰を活用
フルーツ缶(シロップ漬け)は生の果物よりもカリウムが少なく、安全に摂取できる。シロップは捨てて、水洗いするのが理想的。
低カリウム食の落とし穴と注意点
低カリウム食には注意点も存在する。以下に重要なポイントをまとめる。
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栄養バランスが偏りやすいため、ビタミンや食物繊維が不足しないよう注意。
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調味料に含まれるカリウム(減塩しょうゆでもカリウム添加の場合あり)を確認する。
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カリウム除去のための調理で味が落ちる場合は、酸味や香味野菜(生姜や酢など)で風味を補う。
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カリウム添加の薬やサプリメントにも注意を払う(例:スポーツドリンクや「カリウム補給」製品)。
専門医との連携の重要性
低カリウム食は自己判断で実施するのではなく、腎臓専門医や管理栄養士の助言を受けながら調整する必要がある。血清カリウム値は一定ではなく、透析の状況、薬の内容、体調によって変動するからだ。
特に以下のような場合には医療機関での相談が不可欠である:
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食事制限をしても血清カリウム値が下がらない
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筋肉のけいれん、しびれ、脱力感がある
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不整脈や胸の違和感を感じる
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便秘が続いている(便秘はカリウム値を上げる要因)
まとめ
低カリウム食は、腎臓の負担を軽減し、高カリウム血症による合併症を予防するために極めて重要である。しかし、「低カリウム=健康食」というわけではなく、バランスを考慮した個別対応が求められる。毎日の食事で無理なく低カリウムを実践するには、食品の選び方と調理法の工夫、そして医療スタッフとの連携が不可欠である。
健康を守るために、科学的根拠に基づいた正確な情報と、日々の実践が結びついた低カリウム食を習慣化していくことが、長期的な生活の質(QOL)向上へとつながる。
参考文献:
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日本腎臓学会 編『慢性腎臓病(CKD)診療ガイドライン 2023』
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厚生労働省 e-ヘルスネット「カリウム」
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公益社団法人日本栄養士会「腎疾患と食事療法」資料
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国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「食品成分データベース」
日本の読者の皆様が自身とご家族の健康を守るために、この記事が確かな支えとなることを心より願っている。

