一般外科

多汗症の外科的治療法

多汗症(発汗過多)は、日常生活に支障をきたすことがあり、その治療方法として手術が選択されることもあります。特に薬物療法やボトックス注射などで効果が得られない場合、外科的なアプローチが検討されることがあります。この記事では、過剰発汗に対する外科的治療方法について、具体的に紹介します。

1. 胸部交感神経切除術(ETS)

過剰発汗の治療法として最も広く行われているのが、胸部交感神経切除術(ETS)です。この手術は、過剰発汗を引き起こしている交感神経を切除または切断することによって、発汗を抑制するものです。特に、手のひらや足の裏、顔などに発生する多汗症に対して有効とされています。

手術の流れ

ETSは一般的に内視鏡を使って行われます。胸部に小さな切開を加え、内視鏡を挿入して、交感神経を見つけ出します。交感神経の一部を切除または切断することにより、発汗の制御を行います。この手術は、通常1〜2時間程度で終了し、入院は1〜2日間です。

手術の利点と欠点

利点:

  • 効果が非常に高く、ほとんどの場合、手のひらや足の裏などの過剰な発汗が完全に治まります。

  • 手術は比較的短時間で終了し、回復が早いです。

欠点:

  • まれに、手術後に代償性発汗(体の他の部分で過剰な発汗が起こる)が発生することがあります。

  • 一部の患者では、手術後に神経が再生してしまい、発汗が再発することもあります。

  • 長期的なデータにおいて、再発率や代償性発汗の問題が指摘されています。

2. 吸引式脂肪吸引法

吸引式脂肪吸引法は、主に腋窩(脇の下)の多汗症に対する外科的治療法です。この方法では、発汗腺が多く存在する脂肪層を吸引することで、発汗を抑制します。手術は局所麻酔で行われ、数日間の回復期間を必要とします。

手術の流れ

脂肪吸引法では、小さな切開を入れ、そこから吸引管を挿入して脂肪を取り除きます。この際、発汗腺を破壊し、発汗を減少させます。通常、腋窩のみに適用されますが、効果的に過剰な発汗を抑えることができます。

手術の利点と欠点

利点:

  • 腋窩の多汗症に非常に効果的であり、手術後に発汗が大幅に減少します。

  • 手術時間が比較的短く、回復も早いです。

欠点:

  • 腋窩以外の部位には適用できません。

  • 脂肪吸引による副作用や感染症のリスクもあります。

3. 交感神経ブロック法

交感神経ブロック法は、手術に頼らずに過剰発汗を一時的に改善する方法として、神経をブロックする治療法です。特に、薬物療法やボトックス注射が効果を示さない場合に試みられることがあります。

手法

交感神経ブロック法では、局所麻酔を使用して交感神経を一時的にブロックします。これにより、発汗を抑える効果が得られますが、その効果は一時的であり、繰り返しの治療が必要です。

手術の利点と欠点

利点:

  • 手術を避けたい患者には適した方法です。

  • 短期間で効果を得られる場合があります。

欠点:

  • 効果は一時的であり、定期的な治療が必要です。

  • 長期的には効果が持続しないことが多いです。

4. まとめ

過剰発汗の治療には多くの方法がありますが、手術は最も効果的な選択肢の一つです。特に、ETS手術や脂肪吸引法は、発汗を劇的に減少させることができます。しかし、どの方法にも利点と欠点があり、患者の状態や希望に応じて最適な治療法を選択することが重要です。手術を検討する前に、専門医と十分に相談し、メリット・デメリットを理解した上で決定することをお勧めします。

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