血管疾患

寝ている時の動悸の原因

寝ている時の心臓の動悸(心拍数の急激な増加)には、さまざまな原因が考えられます。心拍数が異常に速くなる状態は、医学的には「心悸亢進(しんきこうしん)」として知られており、夜間に特に頻繁に感じることがあります。この記事では、寝ている時の心悸亢進の原因について詳しく解説します。

1. ストレスと不安

日中のストレスや不安は、夜間に心拍数の増加を引き起こすことがあります。睡眠中は自律神経が活発に働く時間帯ですが、過剰なストレスや不安が続いていると、交感神経が過剰に活性化され、心拍数が早くなることがあります。これは「心身症」とも関連しており、特に寝る前に心配事やストレスが増すと、寝ている間にも影響を与えることがあります。

2. 睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に一時的に呼吸が停止する病気で、この状態が繰り返されると心拍数が異常に高くなることがあります。無呼吸が繰り返されると、酸素不足を補うために心臓が速く拍動し、その結果として動悸を感じることが多いです。この症状は、いびきや息切れと共に現れることがあります。

3. 睡眠の質と不規則な生活習慣

不規則な睡眠パターンや睡眠の質が低いと、体内のリズムが乱れ、自律神経のバランスが崩れやすくなります。寝る時間が不規則であったり、過剰なカフェインやアルコールの摂取があると、体内時計が乱れ、夜間に心拍数が上昇することがあります。また、寝る前の激しい運動や食事も心臓に負担をかけ、動悸を引き起こすことがあります。

4. カフェインやアルコールの摂取

カフェインやアルコールは、心拍数に影響を与えることがある物質です。カフェインは中枢神経を刺激し、覚醒作用を持っていますが、これが寝る前に摂取されると、心臓が速く拍動する原因となります。同様に、アルコールも初めはリラックス効果をもたらしますが、その後、脱水症状や体温の低下を引き起こし、心拍数の変動を引き起こすことがあります。

5. 薬物の副作用

一部の薬剤は、副作用として心拍数を増加させることがあります。特に抗うつ薬や血圧を下げる薬、喘息薬などが該当します。これらの薬を使用している場合、その影響で寝ている間に動悸を感じることがあるため、薬の種類や用量について医師と相談することが重要です。

6. 低血糖

寝ている間に低血糖になることも、心拍数の急激な増加を引き起こすことがあります。特に糖尿病患者や食事を抜いたり遅くに食事を取る場合、血糖値が急激に低下することがあります。これにより、体はエネルギーを確保するために交感神経を活性化し、心拍数が速くなります。

7. 心臓の異常

心臓自体の異常が原因で寝ている間に動悸を感じることもあります。たとえば、心房細動や不整脈などが挙げられます。これらの疾患では、心臓のリズムが乱れ、異常なタイミングで心拍数が増加することがあります。心臓の異常は命に関わることもあるため、動悸を頻繁に感じる場合は、早期に医師に相談することが推奨されます。

8. ホルモンの変動

ホルモンの変動も、寝ている時の心拍数に影響を与えることがあります。特に女性は月経周期や更年期など、ホルモンバランスの変動が大きいため、これが心拍数に影響を及ぼすことがあります。また、妊娠中や甲状腺疾患などもホルモンの不安定を引き起こし、動悸の原因となることがあります。

9. 遺伝的要因

家族に心臓病や不整脈の症状がある場合、遺伝的な要因が関与していることもあります。遺伝的な素因によって、心臓のリズムが乱れやすくなることがあり、これが寝ている間に動悸を引き起こすことがあります。

10. 精神的・身体的疲労

身体的または精神的な疲労が極度に溜まると、交感神経が過剰に働き、心拍数が速くなることがあります。睡眠不足や過労が続くと、体がそのストレスに反応して心拍数が増加することがあり、特に寝ている時に感じることがあります。

まとめ

寝ている時の心悸亢進は、さまざまな原因によって引き起こされます。ストレスや不安、睡眠時無呼吸症候群、薬物の副作用など、多岐にわたる要因が絡んでいます。もし頻繁に動悸を感じる場合や、その他の異常が伴う場合は、早期に医師に相談し、原因を特定して適切な治療を受けることが重要です。また、生活習慣を見直し、ストレス管理や規則正しい睡眠を心がけることで、心悸亢進を予防することが可能です。

Back to top button