血管疾患

心悸亢進の症状と原因

心拍数の異常:心悸亢進(胸のドキドキ)の症状と原因

心拍数が異常に速くなったり、ドキドキ感を感じることがあると、それが「心悸亢進(しんきこうしん)」と呼ばれる状態です。この症状は多くの人々が経験するもので、時には無害な場合もありますが、特定の病状が関与している場合もあります。この記事では、心悸亢進の症状、原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。

1. 心悸亢進の症状

心悸亢進とは、心拍数が普段より速くなることによって引き起こされる不快な症状を指します。具体的な症状としては以下のようなものがあります:

  • 胸のドキドキ感(胸部の鼓動):心拍数が速くなったり不規則になったりすると、胸の中で心臓がドキドキと感じられることがあります。これが最も一般的な症状です。

  • 動悸(どうき):心臓が速く、あるいは強く打つ感覚を感じることがあり、通常は安静時に感じることが多いです。

  • 息切れ:呼吸が急に浅くなったり、速くなったりすることがあります。特に運動や活動中でない時に息切れを感じることがあると、異常な心拍が原因であることが考えられます。

  • めまいやふらつき:心拍数が異常に速いと、血圧が急激に変動し、脳への血流が一時的に減少することがあります。これにより、めまいやふらつきが起こることがあります。

  • 胸痛:胸の痛みや圧迫感を感じる場合もあります。この痛みは心悸亢進が原因で、血液の循環が不安定になることで発生することがあります。

  • 失神または気絶:異常な心拍数やリズムが続くと、脳への酸素供給が不足し、失神や気絶を引き起こすこともあります。これは緊急の医療介入を要する症状です。

2. 心悸亢進の原因

心悸亢進の原因は多岐にわたります。通常は心臓や血管に関連する疾患が主な原因ですが、以下のようなその他の要因も関与することがあります:

  • 心臓疾患:不整脈(心房細動や心室性不整脈など)、心筋症、冠動脈疾患などが原因となることがあります。これらの疾患により、心臓が正常に拍動できなくなり、異常な心拍数が引き起こされることがあります。

  • ストレスや不安:精神的なストレスや不安が原因で、体が戦闘態勢を取ろうとする際にアドレナリンが分泌され、心拍数が上昇します。心理的要因が心悸亢進を引き起こす場合もあります。

  • カフェインやアルコール:カフェインやアルコールを過剰に摂取すると、心拍数が増加することがあります。特にカフェインは交感神経を刺激し、心拍数を増加させることがあります。

  • 薬物:一部の薬物(例えば、去痰薬や甲状腺ホルモン、減量薬など)が心拍数を速くすることがあります。また、薬の副作用として心悸亢進が引き起こされることもあります。

  • 高血圧:高血圧(高血圧症)は心臓に負担をかけ、心拍数を速くさせることがあります。血管が硬くなり、心臓がより強く、早く拍動する必要が生じるためです。

  • 内分泌異常:甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症など)は、体内のホルモンバランスを乱し、心拍数が異常に速くなることがあります。

  • 低血糖:血糖値が急激に低下すると、体が反応して心拍数が速くなることがあります。

3. 診断方法

心悸亢進の原因を特定するために、いくつかの診断方法が用いられます。主なものは以下の通りです:

  • 問診と身体検査:医師は患者の症状や病歴を聞き取り、心臓や血圧の状態をチェックします。

  • 心電図(ECG):心臓の電気的活動を測定し、心拍数や不整脈の有無を確認するための検査です。

  • 24時間ホルター心電図:患者が日常生活を送る中で、心拍数や不整脈を24時間連続的に記録する検査です。これにより、通常の生活の中でどのような状態で心悸亢進が発生するかを把握できます。

  • 心エコー検査(超音波検査):心臓の構造や機能を評価するために使用され、異常がないかどうかを確認します。

  • 血液検査:甲状腺ホルモンや血糖値などを測定することで、内分泌異常や代謝異常の有無を確認します。

4. 治療法

心悸亢進の治療は、その原因に応じて異なります。以下のような方法が一般的です:

  • 生活習慣の改善:カフェインやアルコールの摂取を控える、ストレスを減らすためのリラクゼーション法を試すなどの生活習慣の改善が推奨されます。

  • 薬物療法:不整脈が原因の場合、抗不整脈薬やβ遮断薬が処方されることがあります。また、高血圧や甲状腺疾患が関与している場合は、それらの治療が優先されます。

  • カテーテルアブレーション:重度の不整脈が原因で心悸亢進が発生している場合、カテーテルアブレーションという手術が考慮されることもあります。これにより、異常な電気信号を特定して取り除くことができます。

  • ペースメーカーや除細動器:重度の不整脈や心停止の危険がある場合、ペースメーカーや植込み型除細動器が必要になることがあります。

5. 予防と生活の質の向上

心悸亢進を予防するためには、健康的な生活を送ることが重要です。定期的な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理、十分な睡眠を心がけることが、心臓の健康を保つために役立ちます。また、定期的な健康診断を受けて、早期に異常を発見することが予防に繋がります。

結論

心悸亢進は一般的な症状であり、原因によっては軽度で一時的な場合もあれば、重篤な疾患の兆候であることもあります。異常を感じた際には、無理をせずに医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。

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