小児および青少年の疾患

新生児の黄疸の原因と治療

赤ちゃんの黄疸:原因、症状、治療法について

赤ちゃんの黄疸(いわゆる「黄疸症」)は、生後間もない新生児によく見られる健康状態の一つです。通常は生後2~3日目に最も顕著になりますが、多くの場合は軽度で時間の経過とともに自然に回復します。それでは、黄疸がどのような症状を引き起こすのか、なぜ発生するのか、またその治療法について詳しく説明します。

1. 黄疸とは?

黄疸は、血液中の「ビリルビン」という物質が過剰になることによって、皮膚や目の白い部分(眼球結膜)が黄色くなる状態を指します。ビリルビンは、赤血球が分解される過程で生成される物質で、通常は肝臓で処理されて体外に排出されます。新生児の場合、肝臓がまだ十分に機能していないため、ビリルビンが体内に蓄積しやすく、それが原因で黄疸が発生します。

2. 新生児の黄疸の原因

新生児の黄疸は大きく分けて二つのタイプに分類されます:生理的黄疸病的黄疸です。

2.1 生理的黄疸

生理的黄疸は、ほとんどの新生児に見られる自然な現象で、通常は生後2~3日目に現れます。これは赤ちゃんの肝臓が未発達であるため、ビリルビンを効率よく処理できず、体内に溜まることから生じます。生理的黄疸は数日から1週間ほどで自然に回復します。

2.2 病的黄疸

病的黄疸は、生理的なものではなく、何らかの健康問題によって引き起こされる黄疸です。病的黄疸の原因としては以下のようなものがあります:

  • 母乳による黄疸: 母乳に含まれる成分が赤ちゃんのビリルビンの処理を遅延させることがあります。これは通常、授乳を続けることで改善します。

  • 血液型不適合: 母親と赤ちゃんの血液型が異なり、抗体が赤ちゃんの赤血球を破壊することが原因となります。この場合、ビリルビンが急激に増加し、より深刻な黄疸を引き起こすことがあります。

  • 肝臓の異常: 新生児の肝臓に問題があると、ビリルビンの処理が適切に行われず、黄疸が持続することがあります。これには肝炎やその他の肝疾患が関連することがあります。

3. 黄疸の症状

黄疸が現れると、最初に赤ちゃんの皮膚や眼球が黄色く見えます。軽度の場合、顔や目の周りが黄色くなることが多いですが、症状が進行すると全身が黄色くなることもあります。

その他の症状としては:

  • 食欲不振: 黄疸のある赤ちゃんは、飲みが悪くなることがあります。

  • 倦怠感: 赤ちゃんがいつもよりも元気がない、または眠りが深くなったように見えることがあります。

  • おしっこや便の色の変化: ビリルビンの蓄積が進むと、尿が濃くなることがあります。

4. 黄疸の診断

黄疸が疑われる場合、医師は赤ちゃんの皮膚の色を確認し、ビリルビンのレベルを血液検査で測定します。また、黄疸が進行している場合や病的黄疸が疑われる場合には、追加の検査(肝機能検査や血液型検査など)が行われることがあります。

5. 黄疸の治療法

大多数の新生児における黄疸は、特別な治療を必要とせずに自然に回復しますが、ビリルビンのレベルが非常に高くなる場合や、病的な黄疸が疑われる場合には治療が必要です。主な治療方法には以下があります:

5.1 光線療法(光治療)

光線療法は、ビリルビンを体外に排出しやすくするための一般的な治療法です。赤ちゃんは青い光を浴びることで、体内のビリルビンが化学的に変化し、より速やかに排出されるようになります。この治療は一般的に病院で行われますが、家庭用の光治療器が使われることもあります。

5.2 血液交換療法

血液交換療法は、黄疸が重度でビリルビンのレベルが危険な状態にある場合に行われます。これは、赤ちゃんの血液の一部を交換する方法で、ビリルビンを取り除くために使われます。この方法は非常に重篤な場合に限られます。

5.3 母乳や授乳の調整

母乳による黄疸の場合、授乳を続けることが勧められます。赤ちゃんに十分な量の母乳を与えることで、体内のビリルビンのレベルが正常化します。場合によっては、母乳を一時的に控える必要があることもありますが、これは医師の指示に従って行うべきです。

6. 予防と管理

黄疸を完全に予防することはできませんが、いくつかの方法で管理することが可能です。赤ちゃんが黄疸の兆候を示す前に、定期的に健康チェックを受けることが重要です。特に、早産児や低出生体重児は黄疸を発症しやすいため、注意が必要です。

7. 黄疸の回復と予後

ほとんどの新生児の黄疸は数日以内に改善します。生理的黄疸の場合、通常は1週間以内に完全に回復し、特別な後遺症も残りません。病的黄疸の場合でも、早期に適切な治療を受けることで、予後は良好であることが多いです。

まとめ

新生児の黄疸は一般的な現象であり、多くの場合は自然に回復します。しかし、黄疸が進行したり、病的な要因がある場合には早期の治療が必要です。親は赤ちゃんの様子をよく観察し、異常があればすぐに医師に相談することが大切です。

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