祈りの方法:昼の祈り(ズフル)
昼の祈り(ズフル)は、イスラム教徒にとって毎日欠かすことのできない重要な義務のひとつです。ズフルは、5回の定期的な祈り(サラート)の中で2番目の祈りであり、日中の太陽が中天に達した後、夕方までの時間帯に行われます。この祈りは、心を清め、神への奉仕の気持ちを新たにする大切な儀式です。以下に、ズフルの完全かつ包括的な行い方を説明します。

1. ズフルの祈りの構成
ズフルの祈りは、通常、4つのラクア(礼拝の回)から成り立っています。この4回の礼拝は、祈りの一部として次のように分かれています。
1.1 初めの2回のラクア
最初の2回は、通常の祈りと同様に静かに行われます。各ラクアでは、以下の手順を順守します。
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立つ(キヤーム): 両足を肩幅に広げ、手を胸の前で合わせて「アッラフ・アクバル」(神は偉大なり)と唱えます。その後、ソラ(コーランの一節)を声に出して読むことが求められます。通常、「アル=ファティハ」(開かれし章)と、その後任意のコーランの章が読まれます。
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お辞儀(ルクー): 次に、「アッラフ・アクバル」を唱えて腰を曲げ、膝を伸ばして背筋をまっすぐに保ちながらお辞儀をします。この状態で数秒静止し、神を賛美します。
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立ち上がる(キヤーム): ルクーから立ち上がる際には、「サミアッラフ・リマン・ハミダ」(神を賛美する者を称える)と唱えます。
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しゃがむ(サジュダ): その後、頭を床に着けて、額、鼻、両手、膝、足の指が床に触れるようにします。このポーズで神を賛美します。サジュダは心を落ち着け、神への服従を象徴する重要な部分です。
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座る(ジャルサ): サジュダ後、短く座り、再度サジュダを行います。
1.2 残りの2回のラクア
残りの2回のラクアでも基本的に同様の手順を踏みますが、最終的なサジュダの後に**タシャフ(座る姿勢)**で「アッタフ(挨拶)」を行います。ここで、右手と左手をそれぞれ「アッサラーム・アライクム」(平安がありますように)と言って、自分の右と左に向かって平和の挨拶を行います。これにより、ズフルの祈りが完了します。
2. ズフルの祈りを行うための準備
ズフルの祈りを行う前に、いくつかの準備が必要です。これらの準備は、祈りの純粋さを保つために欠かせません。
2.1 アブデ(浄化)
イスラム教では、祈りを始める前に浄化が必要です。この浄化はアブデと呼ばれ、手、口、鼻、顔、足を洗うことによって行われます。もし、体が汚れている場合(例:用を足した後など)は、グスル(完全な浄化)を行う必要があります。
2.2 清潔な場所を確保
ズフルの祈りを行う場所が清潔であることは重要です。床にゴミや汚れがないようにし、清潔な衣服を着用して祈りを行います。
2.3 祈りの時間
ズフルの祈りは、太陽が中天に達した後から、夕方のマグリブの祈りが始まるまでの間に行うことが求められます。ズフルの祈りには時間制限があり、この時間内に行うことが必要です。
3. ズフルの祈りの特別な側面
ズフルの祈りには、特に意識すべきいくつかの重要な要素があります。
3.1 心の清浄さ
祈りを行う際には、心を清らかに保ち、神に対する畏敬の念を持ちながら行うことが大切です。ズフルは、ただの儀式ではなく、神との直接的な対話の時間であると考えるべきです。
3.2 意識を持った祈り
ズフルの祈りの間、単に動作をこなすのではなく、一つ一つの言葉と動作に意味を込めて行うことが重要です。コーランを読んでいるときや、サジュダの時に感じる神の偉大さを深く考え、心を込めて祈りを捧げます。
4. ズフルの後の重要な行為
ズフルの祈りを終えた後は、心を落ち着けて神に感謝の意を表し、祈りの意味を反芻する時間を持ちましょう。また、他の信者との挨拶やお祈りの時間を共有することも、コミュニティとの絆を深める良い方法です。
まとめ
昼の祈り(ズフル)は、イスラム教徒として毎日行うべき重要な宗教的義務です。その祈りは、心の浄化を促し、神との繋がりを深める大切な時間です。ズフルの祈りを行うには、事前の準備や心構えが必要です。清潔な場所で、心を清め、神に感謝の気持ちを込めて祈りを行うことが求められます。