離乳食期の赤ちゃんにとって、卵は栄養価が高く、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを豊富に含む重要な食材です。しかし、卵はアレルギーのリスクもあるため、月齢に応じて段階的に与えることが重要です。本記事では、赤ちゃんの月齢に合わせて、栄養バランスに優れた5つの卵レシピを紹介します。すべてのレシピは6か月頃から12か月頃までの赤ちゃん向けに設計されていますが、導入の際には必ず小児科医の指導に従ってください。
【1】卵黄ペースト(6か月頃~)
対象月齢:生後6か月以降(初めての卵として、卵黄のみ使用)
材料:
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卵黄(1個分)
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湯冷まし(適量)
作り方:
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卵を固ゆでにする(沸騰後、12~15分)。
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卵白と卵黄を分け、卵黄のみを取り出す。
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卵黄を茶こしなどで裏ごしし、湯冷ましを少しずつ加えながら滑らかになるまでのばす。
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スプーン1杯程度からスタートし、様子を見ながら量を増やす。
栄養ポイント:卵黄には鉄分、ビタミンA、D、Eが豊富に含まれ、脳や免疫の発達を支えます。
【2】卵黄とさつまいものマッシュ(7か月頃~)
対象月齢:生後7か月以降(モグモグ期)
材料:
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卵黄(1個分)
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さつまいも(20g)
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湯冷まし(少量)
作り方:
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卵黄を固ゆでにし、裏ごしする。
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さつまいもは皮をむき、小さく切って柔らかくゆでる。
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さつまいもをつぶし、卵黄と混ぜる。
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滑らかになるように湯冷ましで調整する。
栄養ポイント:さつまいもは食物繊維が豊富で、便通を助ける効果があります。卵黄と組み合わせることで、ビタミンCと鉄分の吸収率もアップします。
【3】卵と豆腐のおかゆ(8か月頃~)
対象月齢:生後8か月以降(カミカミ期)
材料:
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全卵(1/2個)
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絹ごし豆腐(30g)
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7倍がゆ(50g)
作り方:
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卵をよく溶いておく。
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豆腐は湯通しして、スプーンなどで潰しておく。
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7倍がゆを温め、豆腐を加えてさらに温める。
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火を止める直前に溶き卵を加え、よくかき混ぜて火を通す(卵がしっかり固まるまで)。
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食べやすい温度まで冷ます。
栄養ポイント:豆腐は良質なたんぱく質とカルシウムを含み、卵と合わせることでアミノ酸バランスの良い食事になります。
【4】ほうれん草と卵のスフレ風(9か月頃~)
対象月齢:生後9か月以降(カミカミ期)
材料:
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全卵(1個)
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ほうれん草(葉先のみ15g)
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片栗粉(小さじ1/2)
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水(大さじ2)
作り方:
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ほうれん草は柔らかくゆで、みじん切りにする。
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卵をよく溶き、片栗粉と水を加えて混ぜる。
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そこにほうれん草を加え、よく混ぜる。
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耐熱容器に流し込み、ラップをして電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する。
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竹串を刺して火が通っていることを確認する。
栄養ポイント:ほうれん草に含まれる葉酸や鉄分は、赤ちゃんの造血や成長をサポートします。
【5】卵と野菜の蒸しパン(11か月頃~)
対象月齢:生後11か月以降(パクパク期)
材料(約4個分):
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卵(1個)
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薄力粉(50g)
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ベーキングパウダー(小さじ1/2)
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人参すりおろし(20g)
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かぼちゃペースト(20g)
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牛乳または育児用ミルク(30ml)
作り方:
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ボウルに卵を割り入れて混ぜる。
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牛乳、人参、かぼちゃを加えて混ぜる。
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薄力粉とベーキングパウダーをふるい入れ、さっくり混ぜる。
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シリコンカップなどに生地を分け入れ、蒸し器で15分ほど蒸す。
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竹串を刺して生地がつかなければ完成。
栄養ポイント:人参やかぼちゃにはβカロテンが豊富で、視力や免疫機能の発達に効果的です。蒸しパンの形状は手づかみ食べにも適しています。
アレルギーへの注意と導入のコツ
卵はアレルゲンとなる可能性のある食材です。初めて与える場合は、ごく少量から始め、午前中に与えることが推奨されています。また、新しい食材と同時に与えず、単独で卵のみを与えることで、万が一の反応に早く気づくことができます。
以下の表は、卵の導入スケジュールの目安を示しています:
| 月齢 | 推奨される卵の部位 | 目安量 | 与え方のポイント |
|---|---|---|---|
| 6か月頃 | 卵黄(固ゆで) | 耳かき1さじ程度から | 単独で午前中に試す |
| 7~8か月 | 卵黄(量を増やす) | 小さじ1~2 | 他食材と混ぜる |
| 8~9か月 | 全卵(加熱済) | 1/4個 | 火をしっかり通す |
| 9~11か月 | 全卵(調理済) | 1/2個~ | おかゆなどと一緒に |
| 12か月~ | 全卵(完熟) | 1個まで | 手づかみ食べも可 |
まとめ
卵は赤ちゃんにとって非常に優れた栄養源であり、月齢に応じて少しずつ丁寧に取り入れることで、健康的な食生活の基礎を築くことができます。今回紹介した5つのレシピは、調理も簡単で応用が利き、味や食感の変化も楽しめる内容になっています。赤ちゃんの好みや成長に合わせて、ぜひ日々の離乳食に取り入れてみてください。
なお、卵に対するアレルギーの心配がある場合や、家族に食物アレルギーの既往がある場合は、必ず医師に相談したうえで進めましょう。
参考文献
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厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」2021年改訂版
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日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン」
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独立行政法人 国立健康・栄養研究所「食品成分データベース」
赤ちゃんの食育は、人生最初の“冒険”ともいえる大切なステージです。卵という身近な食材を通して、味覚や栄養の多様性を学ぶ素晴らしい機会にしていきましょう。
