高プロラクチン血症の症状と原因
「どうしてプロラクチン（乳汁分泌ホルモン）が高いかを知る方法」についての完全かつ包括的な日本語の記事をお届けします。
はじめに
プロラクチン（乳汁分泌ホルモン）は、脳の下垂体前葉から分泌されるホルモンで、主に授乳に関与しています。通常、プロラクチンは妊娠や授乳中の女性において高いレベルで存在しますが、授乳していない場合でも何らかの理由でプロラクチンのレベルが高くなることがあります。このような状態を「高プロラクチン血症」と呼び、妊娠や授乳以外の理由で高くなる場合、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
この記事では、プロラクチンが高いかどうかを知る方法、原因、そしてその影響について詳しく解説します。
プロラクチンが高いことを示す症状
プロラクチンの値が異常に高い場合、いくつかの症状が現れることがあります。以下はその代表的な症状です。
-
不妊症
プロラクチンが高い状態が続くと、排卵に影響を与え、結果として妊娠しにくくなります。不妊症は、ホルモンバランスの乱れが原因の一つとなるため、プロラクチンの高値が関与していることがあります。 -
月経不順または無月経
プロラクチンの高値が続くと、月経周期に影響を及ぼし、月経が不規則になることがあります。ひどい場合、月経が完全に止まることもあります。 -
乳汁分泌（非妊娠・非授乳時）
高プロラクチン血症の特徴的な症状の一つに、授乳していないにもかかわらず乳房から乳汁が分泌されることがあります。この現象を「無月経性乳汁分泌症」と呼びます。 -
性欲の低下
プロラクチンが高いと、性ホルモンの分泌にも影響を与え、性欲が低下することがあります。 -
頭痛や視力障害
高プロラクチン血症の原因が下垂体腫瘍（プロラクチノーマ）である場合、頭痛や視力障害、場合によっては視野欠損が現れることがあります。これは腫瘍が視神経を圧迫するためです。
高プロラクチン血症の原因
プロラクチンの値が高くなる原因はさまざまです。以下の要因が考えられます。
-
下垂体腫瘍（プロラクチノーマ）
下垂体にできる良性の腫瘍（プロラクチノーマ）は、プロラクチンの過剰分泌を引き起こします。この腫瘍は一般的に良性ですが、腫瘍のサイズによっては視神経を圧迫し、視力に問題を引き起こすことがあります。 -
薬剤
抗精神病薬、抗うつ薬、降圧薬などの一部の薬物は、プロラクチンの分泌を促進することがあります。特にドパミン受容体を遮断する薬剤は、プロラクチンの分泌を高める可能性があります。 -
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足すると、プロラクチンの分泌が過剰になることがあります。これは、甲状腺ホルモンがプロラクチンの抑制に関与しているためです。 -
ストレス
精神的・身体的なストレスは、プロラクチンの分泌を刺激することがあります。ストレスが続くと、長期的にプロラクチンが高い状態になることがあります。 -
妊娠・授乳
妊娠中や授乳中の女性では、プロラクチンのレベルが自然に高くなります。これは、乳腺を発達させ、乳汁の分泌を促進するためです。
プロラクチンの測定方法
プロラクチンのレベルを正確に確認するためには、血液検査が必要です。この検査は、朝一番の空腹時に行われることが多いです。高いプロラクチン値が確認された場合、追加の検査が行われ、原因の特定が試みられます。
血液検査で高いプロラクチンが確認された場合、下垂体腫瘍の有無を調べるためにMRIやCTスキャンを実施することがあります。
治療方法
高プロラクチン血症が確認された場合、治療方法はその原因によって異なります。
-
薬物療法
プロラクチノーマによる高プロラクチン血症の場合、ドパミン作動薬（カベルゴリンやブロモクリプチンなど）が使用されることが一般的です。これらの薬剤は、プロラクチンの分泌を抑制する効果があります。 -
手術
下垂体腫瘍が大きく、薬物療法で効果が得られない場合、手術による腫瘍の摘出が行われることがあります。 -
甲状腺機能の治療
甲状腺機能低下症が原因で高プロラクチン血症が起きている場合、甲状腺ホルモンの補充が行われます。 -
薬剤の調整
薬剤が原因で高プロラクチン血症が発生している場合は、薬の変更や調整が必要です。医師と相談して、適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
プロラクチンの値が高いことは、体にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。不妊症や月経不順、乳汁分泌などの症状が現れる場合、まずは血液検査を受けて、プロラクチンのレベルを確認することが重要です。原因に応じて適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。もし高プロラクチン血症の疑いがある場合は、専門の医師に相談することが大切です。